黒猫日記148

にゃ~。朔太郎にゃ。
うにゃあ。ちび猫が死んじゃったにゃあ…。
あんなにご主人が一生懸命育てていたにゃあに…。
一時はミルクも飲めるようになって、ご主人もお母さんも喜んでいたにゃあよ。
でも、ご主人が忙しい時間にはさすがに面倒は見られなくて、動物病院に預かって貰っていたんにゃ。
そしたら夕方、急に肺炎を起こして、そのまま入院の手続きを取っている間に、すうっと逝っちゃったんにゃって。
ご主人は、「お昼まではあんなに元気だったのにね。でも、最後を看取ってあげられただけよかった。」って。
せっかくおうちの猫として、僕も認め始めていたところだったんにゃけどなあ。
お医者さんは「母猫から初乳を貰っていなかったのかも。余りに免疫がなかった。だから簡単に肺炎を起こした。」って言っていたそうにゃ。
仮にちび猫、って呼んでいたけど、その日の朝には「輝夜(かぐや)」って名前に決まったばかりにゃったよ。
やっぱり僕と同じ黒猫で、僕がおぱんつをはいているのとはちょっと違って、よだれかけをしているみたいに首から胸にかけて白い、女の子にゃったんにゃ。
だからお母さんが夜二ちなんだ名前にしたんにゃよ。
「やんちゃ姫になりそうだしね。」って言いながら。
残念ながらその予想ははずれちゃったにゃあね。
ご主人は一生懸命だった分だけ寂しそうにゃ。
僕としては仲間が増えなかった残念さより、ご主人を独り占めに出来ることの安心感が勝っているかにゃあ。
ちょっと複雑。
まったく、嵐のようにやってきて、嵐のように去っていったちび猫にゃったにゃ。

黒猫日記147

んなあご。朔太郎にゃ。
まったく、うちのご主人の人の良さときたら…。
新入り子猫は余りに小さすぎて、対処のしようが判らなくて急遽動物病院へ。
そこで判明したのが、「まだ臍の緒がついていますよ。」
パニックを起こしていたご主人の頭は再び破裂。
とにかく、病院で一通りのレクチュアを受けて、湯たんぽとほ乳瓶とミルクを購入し、ちび猫はご主人と帰宅。
それからが人間達のてんてこ舞いの始まりにゃったよ。
三時間ごとのトイレとミルク。体温維持のための湯たんぽのお湯の管理。
「このへんは人間と変わらないのね。懐かしいわあ。」とはお母さんの呟き。
でも、世話を焼くご主人の方は必死。
ミルクを飲むのが下手くそなちび猫は、ご主人のおっぱいにしがみついて心臓の音を聞いていると落ち着くらしく、その位置でうとうとしちゃう始末。
「もうちょっと飲んでくれるといいのにな。」とご主人は目を細めて眺めているにゃ。
う~。にゃんだか誰も彼も僕の存在を忘れていにゃい?
僕がちびちゃんにちょっかい出したり虐めたりしないように、という警戒からなのかしらん。僕はちび猫のミルクタイムにはゲージに入れられちゃうにゃ。
「まあ、月猫と姫猫の時は大丈夫だったから、用心だけ、ね。」とは言ってくれているけど、僕ってそんなに信用ないのかにゃあ。
ちび猫はあんなに小さいから、僕はちょっとの間だけご主人を貸してあげようかなあ。
なんて横目で見ながら考えているんにゃ。
ん?僕って偉い?うふっ。もっと褒めて。

黒猫日記146

ふんぎゃあ。朔太郎にゃ。
前回の日記でいやあな予感のしていた僕。
その予感が大当たりしちゃったにゃ。
そうにゃの。お母さんとご主人たら、子猫を拾っちゃったにゃ。
それもまだ生まれて四・五日の、目も開いていない子猫にゃ。
今日の午後、おうちの近所は突然の雷とそれに伴う大粒の雨。
お洗濯中だった二人は、雨の音に紛れて子猫が鳴いているのに気づいたんにゃ。
「雨に濡れているよね。」
「かわいそうだよね。」
二人の意見はあっと言う間に一致。ご主人はダッシュでお外へ。
鳴き声を頼りに捜索すること五分。
おうちの壁と塀の間で、もぞもぞ動くものを発見。
最初は小さすぎて子猫とは思えなかったんにゃって。
でも、鳴き声は確かに猫。
引っ張り出したらそるは、小さな生まれたての子猫。
まだ目も耳も開いてないくらいの。
でも、辺りに親猫の姿はなく…。
「このまま雨に濡れていたら死んじゃう。」そう考えてご主人は子猫を保護。
急遽おうちに搬送。
濡れた体を拭いてやって改めてその小ささを認識。
「子猫と言うより鼠サイズだね。」とはお母さんのご意見。
ご主人がそうやって子猫のお世話をしている間、僕は雷に怯えてこたつの中。
ある意味、ご主人の邪魔をする心配がなくて助かった、んにゃって。
そうして乾いたタオルに包まれて、ご主人の体温に温もりながら、子猫はうちの猫の仲間入りをしたのにゃ。

黒猫日記145

みゃ。朔太郎にゃ。
今朝、おうちに猫さんのお客さんが来たんにゃよ。
黒茶白のまだらぶちの三毛猫さん。
僕ぐらいの大きさだった、って言うから、女の子にしてはかなり大柄だったみたいにゃ。
お母さんとご主人が病院に行こうとしておうちを出た時、出会ったんにゃって。
猫好きの二人のことにゃから、通りすがりの猫さんには必ず声をかけるんにゃよ。
そして、その声に応えてその猫さんはやって来たんにゃ。
汚れてもいないし、痩せ細ってもいないけど、飼い猫の証拠の首輪をしていない。そして、思いっきりなつっこくて人間大好き。
お母さんは一目見て、捨て猫か、迷子猫だな、って思ったんにゃって。
「お腹空いてる?」って聞いてみると「んにゃあ。」って良いお返事。
ご主人はおうちに引き返してかりかりを持ち出したにゃ。
そのまま三毛さんの前に置くと早速食べ始め、ご主人とお母さんは暫しにこにことそれを眺めていたにゃ。
僕はといえば、風のように引き返してきて出て行ったご主人の後を追っかけて玄関へ。
どうやら扉の向こうにはご主人とお母さんの気配。
そうと判れば追っかけ鳴きしない訳ないじゃない?
僕はひたすら「にゃあにゃあ。」
そうしたらやっぱり三毛さんもその声が気になったみたい。
扉に近寄って様子を伺いだしたんにゃって。
お母さんはちょっとだけ、「もう一匹猫がいても良いな。」って思ったんにゃって。
だから三毛さんに「おうちの子になる?」って聞いてみたんにゃって。
「にゃあ。」って色好いお返事をした三毛さんに「でも、先住猫がいるから、その子と仲良くしてくれるのが条件だよ。」って言い聞かせたんにゃって。
そして、そっと扉を開けて、僕とご対面。
僕の方は匂いを嗅いで微妙な表情だったんにゃけど、三毛さんは首筋の毛を逆立てて「ふ~!」
ご主人は慌てて扉を閉めると「こりゃ、ダメだわ。」
それでその三毛さんはおうちの猫になることはなかったんにゃけど、お出かけから二人が帰ってきた時にもまだ玄関脇にいて、お母さんとご主人はとっても後ろ髪を引かれたんにゃって。
猫好きはこれだから困るんにゃよ。
仲間が増える…。う~ん、ご主人を独り占めにできなくなるのはイヤだにゃあ。
でも、去年の例もあるから、うちの連中には油断できないよね?

黒猫日記144

なあお。朔太郎にゃ。
この頃、お父さんのお仕事が不規則なもので、僕はおこぼれがいただけにゃいんにゃ。
にゃからお母さんからかりかりを貰っても、にゃんだか物足りないまま、ってことが多いんにゃ。
「この食欲魔猫。」ってご主人は言うけど、ご主人にだけは言われたくないにゃ。にゃって、お母さんが呆れるぐらいスゴい食欲なんにゃよ。
まあ、そのお母さんだって結構食いしん坊で、おやつをあちこち貯めておくのが趣味らしいんにゃ。
そのおやつ、っていうのも、物によっては魅力的なんにゃよ。
この間、僕が見つけたのはチーズ蒲鉾。
無造作に置きっぱなしにしているものにゃから、空腹な僕は思いっきり食いついちゃったのにゃ。
チューブ状のビニールに包まれたチーズ蒲鉾三本。無茶苦茶に食い散らかして気が済んだ僕。
我に返ってまず脳裏に浮かんだのは、怒り狂ったご主人の顔。
にゃ~。でもやってしまったことは仕方にゃい。
クワバラクワバラ、と取りあえず軽くこたつの中に隠れてみる。
そこに帰ってきたお母さんとご主人。
一目で僕のやらかしたことは露見。瞬間、ご主人の口調ががらりと変わる。
「さくにゃあ!」
流石ご主人。僕の隠れ場所なんか心得ていらっしゃる。
僕はすぐさまこたつの中から引っ張り出されて、法廷の罪人よろしく、ご主人とお母さんの前に引き据えられる。
にゃあ…。暫し無言の二人。でもその視線は僕にとっては針のむしろ。
ぺたん耳をしてひたすら伏せているしかないにゃ。
そんな僕にご主人は、長~いお説教を始めたにゃ。
まあ、お説教だけなら害はにゃい。にゃんて、馬耳東風ならぬ猫耳東風を決め込もうとしていた僕。
そんな僕の様子を見て、ご主人もとうとう切れたにゃ。
「さくにゃあ!」とうとう雷が落ちたにゃ。一緒にゲンコツも落ちたにゃ。
まあ、滅多に強硬手段に訴えたりしないご主人。本気で怒らせた僕が悪い…。
すごすごと尻尾を丸めて反省。
やっと怒りの矛先を納めてくれたご主人。まだちょっと怖い顔…。
ふにゃあ。少しだけ反省したふりをして、あとはご機嫌伺いをしておこうっと。
でも、猫に鰹節ならぬ僕にチーズ蒲鉾は、余りにも無謀だと解ってくれにゃいかなあ。
食欲にはどうやっても勝てないもん…。

黒猫日記143

みゃ。朔太郎にゃ。
桜の花が咲いたんにゃってね。
僕は、この頃の暖かい陽気に誘われて、ご主人とお出かけしたいにゃあ、なんてつい思っちゃったんにゃ。
ご主人の後を追いかけて、玄関まで行って、足にまとわりついて「にゃあ。」
ご主人が気づいて「ん?さくにゃあ、一緒に行きたいの?」
僕はすかさず良いお返事で「にゃあ!」

ご主人はちょっと困った顔で「今は急ぐから、後でね。」にゃって。
僕は肩すかしを食らっちゃったのにゃ。
でもご主人は、僕の予想よりずうっと早くに帰ってきてくれて、僕がお出迎えすると「さくにゃあ、お待たせ。お散歩行く準備をシようね。」
ご主人は戸惑う僕を尻目に、リード付きのハーネスを取り出してにっこり。
(しまった!)内心僕は思ったにゃ。
あのハーネスってやつ、僕は苦手なんにゃ。
でもご主人はさっさと僕にそいつをはめ込んでリードを握って意気揚々と「さあ、準備はできた。お散歩行こうね、さくにゃあ。」
にゃあ。まさかこう来るとは思ってもみなかったんにゃよ。
ハーネスを付けた僕は、完全に腰が引けちゃって、もうお外に対する関心なんか頭になくなっちゃっているにゃ。
(このハーネスをどうにかして!)としか考えられにゃい。
でもご主人はお散歩する気満々。
僕を抱き上げてそのままお外へ。
「いやあ、さくにゃあとリード付けてお散歩するのが夢だったんだよね。」とチョーご機嫌。
僕はお外が怖いのとハーネスがきもちわるいのとで青息吐息。
ご主人がお隣の角を曲がった時、僕はようやく硬直から抜け出して悲鳴を上げたにゃ。
「いやにゃあ!」ご主人は、それが「抱っこはいや」、の事だと誤解して僕を地面の上へ。
僕は状況の変化にも対応できずに、尻尾は垂れて耳はぺたん。
そんな僕にご主人は、「大丈夫。怖くないよ。一緒にいるからね。お散歩行こう。」
ふにゃあ。にゃから、お散歩どころじゃにゃいんだってば!
色んな音が僕を脅かすし、車や自転車や子供は通るし、ハーネスは気持ち悪いし…。
リードを軽く引っ張りながらお目目きらきらのご主人にはわるいけど、どう考えても僕には無理にゃ!
その場にへたり込んじゃった僕を見て、ご主人はがっかりのため息。
でもそう簡単には諦めてくれにゃかった。
「だったら、少しづつでもお外に慣れようね。」
そう宣言すると僕をおうちの方向にむき直させて、リードをつんつん。
「にゃから、動けにゃいんだってば!」って訴えるとやっと僕を抱えて角を曲がってくれたにゃ。
どうにかおうちを認識できた僕は、地面に降ろされた途端猛ダッシュ。
一目散に玄関に駆け寄って、ご主人がドアを開けてくれる間も惜しんでお家の中に飛び込む。
「さくにゃあ。」僕の勢いに驚き半分おかしさ半分のご主人が入って来た時には、僕はこたつの中で縮こまっていたにゃ。
「ありゃりゃ。こりゃあダメだ。」
それが僕を見つけたご主人の感想。
悪かったね。小心者で。でも今回は色んな要素が重なっちゃっただけにゃんだよ。
僕だって本当はご主人とお散歩に行きたいんにゃよ。

(本当かなあ…?by飼い主)

黒猫日記142

なあ。朔太郎にゃ。
僕はとうとう必殺技を生み出したんにゃ。
遊んで欲しい時、構って欲しい時にやるんにゃよ。
それはね、ご主人の背中から伸び上がって、両手で肩を猫パンチするんにゃ。
そうするとご主人はびっくりして、「なあに?さくにゃあ。」って振り向いてくれるにゃ。
そこですかさず僕はすりすりすれば抱っこだし、手ってでアピールすれば「遊んで」の合図にゃんだ。
ひたすら無口で通してきた僕にゃんだけど、忙しいご主人はこちらからアプローチしないと振り向いてもくれにゃいの。
にゃから、「こっち向いてよ」の猫パンチも出来るようになったし、「行っちゃやだ」の追っかけ鳴きも出来るようになったんにゃ。
必要は発明の母にゃって言葉もあるようにゃけど、僕としては妙に納得できるんにゃよ。
でも、ついつい力が入っちゃって、ご主人の肩に傷を付けちゃうのだけは気をつけなくちゃあ。
あれでもまだ嫁入り前にゃからね。

黒猫日記141

にゃん。朔太郎にゃ。
お隣の梅の木が満開にゃ。
薄いピンクのお花がとてもきれいにゃ。
ご主人を追いかけて、僕はおうちの玄関の段々を一番下までやっと降りることが出来るようになったんにゃよ。
「完全に及び腰だけどね。」ってご主人は笑うけど、僕としてはすごい進歩だと思うんにゃ。
うん。今年の目標としては、ご主人にリードを引かれてお散歩することにしようかにゃあ。
用意万端は出来ているんにゃよ。
お母さんが去年のうちに、もうれおん猫さんより体格の良くなっちゃった僕のために、ホームセンターでハーネスとリードのセットを買ってくれたんにゃ。
「猫用で探したんだけど、さくにゃあは犬用のになっちゃったわ。サイズ的に、ね。」って笑いながら言っていたにゃあ。
確かに、お母さんが両手の親指と中指で作った輪っかでは、僕のお腹は収まりきれないけど、それって僕の欠点にゃの?
「ふやっぱり猫はがりがりよりふっくらしていた方が可愛い。」とは、我が家の一致した意見。
「欲を言えば丸顔がベスト。」っていうのもあるんにゃけどね。
そうにゃの。僕っては、お腹回りは立派なのに、どんなに努力しても丸顔にはなれにゃい…。
ちょっと悲しいかも…。
ふにゃあ。出来るなら、完全にご主人好みの猫になりたい僕にゃのでした。

黒猫日記140

みぃ。朔太郎にゃ。
やっとお外で沈丁花の匂いが漂いだしたにゃ。
出窓での日向ぼっこも大分温くなってきたしね。
でも、今年はにゃんだか春が来るのが遅いような気がするのは僕だけにゃんだろうか。
暖かくなったらする、とか言っていたお母さんの足の手術は、少し先延ばしになったらしく、ご主人はほっとしているにゃ。
なにせ、ゴールデンウィークはきちきちに予定を組んじゃっているんにゃよ。
まったく、「若いから仕様がない、」と考えているお母さん達は良いけど、僕としては「僕の立場はどうなるの?!」と言いたくなっちゃう。
それでなくても「タイ・バニ」のオフ会だ、とか、やたら夜遅くのお帰りが多いにゃよ。
終電がお馴染みさんになっているにゃんて、嫁入り前の女の子のすることにゃの?
って、お母さんに質問したらお母さんは「さくにゃあ、それは古すぎる!」って逆に笑われたにゃ。
世の中、良い方に変わっていく訳じゃあにゃいんだね。
僕としては女性は慎み深くいて欲しいんにゃけど。
やっぱり大和撫子たるものは、凛と美しく強く、情け深く、貞操堅固じゃなくっちゃ。
え?言っている意味がわからにゃい?
人間たるもの、これぐらいのボキャブラリィがなくてどうするにゃ?!
え?そういう意味じゃにゃい?
にゃんにゃのさ?!う~!訳解らん!

黒猫日記139

んなあ。朔太郎にゃ。
地震にゃ!地震にゃ!地震にゃ!
にゃ~!地面が揺れているにゃ!
ヒゲでバランスを取ることが出来ないにゃ!
にゃー!にゃー!踏ん張っていてもよろけるにゃー!
ふぎゃあ!あ、おさまってきた…。
ふみぃ。ご主人、ご主人はどこ?
にゃあ、怖かったよぉ。抱っこしてよぉ。
「あれ?さくにゃあ。珍しく抱っこ?」
「あらまあ。結構大きい地震だったからねえ。大分怖かったんだねえ。」
ふみゃあ。何とでも言え。
今はこうしてご主人のお膝の上に抱っこされているのが一番なんだい。
「小心者の本性が出たかな。」
ふん。この安心感と温もりは、僕一人のものにゃんだぞ。お母さん、悔しかったら猫になってみろ、ってんだ。にゃあ。