『ねえ』
ねえ、
春の日の日向の匂い
ねえ、
包み込んでくれるやわらかな毛並み
ねえ、
甘えてすり寄るくすぐったさ
ねえ、
もうおしまいになっちゃったの?
あれだけ一緒だといったのに?
あれだけ離れないといっていたのに…
ねえ、
おいていっちゃうの?
ねえ、
憎まれ口をきいたり
わがままを言ったり
駄々をこねたり
手を焼かせたり
だけど
ねえ、
無くてはならない存在だったんだよ…
傍にいてくれるだけで
見つめていてくれるだけで
良かったのに…
ごめんね
やっぱり笑っては見送れない
やっと痛みから解放されて
自由になれたのにね…
喪失感のあまりの重さに
押し潰されそうだから
笑えない
泣けない
ねえ、
ねえ、ねえ…
十一月八日 午後十時四十分 れおん猫が永眠しました。