黒猫日記227

なあご。朔太郎にゃ。
おうちは築五十年を軽く越える古い家にゃから、ねずみさんがいっぱいいるみたいなんにゃよね。
先代の白猫れおん君はとってもハンティングが得意で、お外から侵入してくるねず軍団を片っ端から捕獲してご主人にプレゼントしていたんにゃ。
お母さん曰く「頭が良くて気は優しくて力持ち。それでいて頼りになって気配りができる、理想的な猫だった。」んにゃって。
お母さんは僕の性格が判ってから、れおん君と比べたりは極力しないようにしてくれているけど、れおん君を愛していた分だけ話がでるのはしようがないよね。
僕も「僕は僕」という立場を貫いて、ねずは捕らないし太郎さんのハンティングもしない。
撫でられるのは好きだけど抱っこは嫌い。
うん。だから「へたれ」と言われるのかな。
でも、気は優しいんだよ。
めえたんのお尻に敷かれている、と専らの評判だし。
まあ、めえたんは可愛いお嫁さんだからね。かまわないけど。
そうやって総評すると僕はやっぱり「ヘタレのだめ猫」らしいんだけど。まあ、いいか、と言う気分にゃんだ。
世の中波風立てないで生きていくのが一番だと思っているせいかな。
余りに偉い先輩猫と強い妻を持った悲劇かしらん。
まあ、あんまり気にしないで生きていくしかないよね。
にゃあ。諦めが肝心かしら…。にゃんにゃん。

黒猫日記226

んにゃ。朔太郎にゃ。
お父さんの晩酌のおかずにお刺身がでると、その臭いにつられて、僕とめえたんはお父さんのお膝の横に整列するんにゃ。
お母さんとご主人は、お父さんが僕たちに餌付けするのを楽しみにしていることを知っているから、お刺身は多めに買っておいてくれるんにゃ。
そう、僕たちの大好物の甘エビさんつきで!
お父さんは生のエビは嫌いで食べない人なの。
だから、僕たちにしっかりお裾分けが回ってくるの。
期待を込めて整列している僕たちは、お父さんにとって凄く可愛らしく見えるみたい。
目尻を下げてにこにこ顔になるの。
そしておもむろに僕たちの頭を撫で撫でしてくれてから、待望のエビさんを分けてくれるの。
ちゃんと順番に不公平なく、めえたんと僕、って一匹ずつ。
でも、時々エビさんが奇数の時があって、そんな時はお父さんは必ず僕の頭を撫でながら「レディーファーストな。」とか言ってめえたんにあげちゃう。
ちえっ。結局お父さんはめえたんの方が可愛いんにゃ。
にゃんだかめえたんの方が贔屓されている気がする…。
僕は、お父さんが「黒猫が飼いたい」とのご希望でもらわれてきた猫なんにゃ。
だから、僕はお父さんの猫のはずなんにゃけど、お父さんはめえたんの方がより好きみたい。
お気に入りめえたん。
だから、僕はしょっちゅうイジケてしまう…。
だって家族全員がめえたんを優先しているように見えるんにゃもん。
とか何とか言ってもその僕が一番めえたんに甘いかは仕方ないのかも…。
んにゃあ。めえたんには勝てない僕なのでした。にゃんにゃん。

黒猫日記225

にゃおん。朔太郎にゃ。
雨の日は嫌いにゃ。
お外に出てはいけない僕が、唯一ドアの外に出て良いのは、ご主人に抱っこされて、なの。
ご主人の後を追いかけて、追いすがって、それでもせがむとご主人は、時々お外に連れ出してくれるの。
その時のお外の音や臭い。
僕は鼻をひくひく耳をぱたぱたしてお外を満喫するの。
風さんがいろんな臭いを運んできてくれるし、鳥さんの鳴き声も聞こえるよ。
僕にとっては有意義な一時にゃんだ。
ご主人とのスキンシップを図りながら、そうやってお外を満喫するのがこのところの僕の楽しみにゃんだ。
にゃから、どんなにせびっても、ご主人がお外に連れだしてくれない雨の日は嫌いにゃ。
もともと僕ら猫族は水に濡れるのは嫌い。
にゃから雨の日は雨に濡れるからお外は無理。
結果、僕は余計に雨の日が嫌い。
この季節、雨の日が多いよね。
梅雨って言うんだってことぐらい、僕も知っているにゃ。
この雨の季節が終わると、あの暑い夏がやってくるけど、僕は今日もドアの陰からお外を伺い見ながら、ご主人がお外に連れだしてくれるのを待っているんにゃ。

黒猫日記224

みゃお。朔太郎にゃ。
このところ僕もめえたんも太りすぎ宣言を受けているんにゃ。
僕が七,八キロ、めえたんが四,七キロあるんにゃよ。
それじゃあしょうがないね、って思う?
確かに下腹がたぷたぷしてきたのも、お腹周りがまあるくなってきたのも認めるけど。
ご主人ったら、僕のそのお腹を摘んで「た~ぷたぷ〓」って遊ぶんだよ。
ぷるんぷるんするのが楽しいんにゃって。
お母さんにゃんか、僕が重くなりすぎて出窓にジャンプできずに大好きな日向ぼっこもできなくなるんじゃないかって心配してくれているのにね。
やっぱり若いと笑いに偏ってしまうのかしらん…。
と言ってもご主人はもうお箸が転がってもおかしいお年頃をとうにすぎているんにゃけどね。
お母さんたら、「このまま母親の介護で終わるなんて不憫…。」って嘆くけど、本人はいたって青春を謳歌しているみたい。
僕たちよりきつくダイエット命令が出ているそうだけど、マイペースな性格だから成功するとは僕には思えないんにゃ。
にゃんだかダイエットは我が家の課題になっているみたいにゃね。
まあ、お父さん以外はみんな丸い、というこの現象はどうにかならないものかと僕も思うけどね。
でも、お父さんもお母さんも食べさせるのが大好きで、食べているのを見るのも大好き、ときているから、僕らが痩せられるはずもなく…。
勿論ご主人も。
お腹のお肉が気になる僕のちょっとしたグチなのでした。
にゃんにゃん。

黒猫日記223

にゃおん。朔太郎にゃ。
春にゃねえ!
お外が僕を呼んでいるう!
野生の本能が僕を突き動かすにゃ!
おかげでおうちの中は僕のマーキングの臭いで大変なことになっちゃったにゃ。
ご主人はファブリーズを片手に僕に蹴りを炸裂させようとするし、めえたんは盛りの付いた僕を冷たい目で眺めているし。
めえたんも悪いんだよ。
僕のこと、全然構ってくれないんにゃもの。
僕のお嫁さんのくせにね。
って恨めしげに呟いていたら、ご主人に睨まれたにゃ。
「めえたんを朔のお嫁にやった覚えはない!」にゃって。
うにゃあ。そう言われれば、僕が本能のままにおそってお嫁さんにしちゃったんだっけ。
とほほ。僕は身も蓋もない立場にゃのか…。
でも、世の中は春なのにゃ!
僕がその気になってどこが悪いんにや!
常になく強気の僕です。

黒猫日記222

にゃあお。朔太郎にゃ。
このところお母さんの調子が悪いのにゃ。
ずうっと風邪をひいた状態で、精神的にも不安定なんにゃ。
食欲がなくて、この分だと飢え死にするな、なんてさらっと言ってのけるものだから、うちのご主人も焦っているにゃ。
「人間、一週間食べないと死ぬんだよね。」と三日食べてない人に言われると結構マジに受け取らざるを得ない…。うちのご主人は真面目にゃから…。
お母さんはお医者さんから鬱のお薬を処方して貰ったりして、なんとか復帰しようという意識はあるらしく、そのへんまだマシなのかにゃあ。
まったく、うちのお母さんは手間のかかる人にゃんだにゃあ。
こうやってご主人のことを独り占めしてしまうんにゃから。
僕にゃんかちっとも構ってもらえない…。
んにゃあ。寂しいよお。

黒猫日記221

にゃおん。朔太郎にゃ。
えらくご無沙汰していたにゃ。
お母さんがめえちゃんを贔屓にしているせいか、僕の出番が凄く減っているような気がするにゃ。
ねえ、誰か僕の気のせいだと言って。
みんなの愛情が僕から離れていってしまっているなんて、そんなことないって言って。
にゃあ。
あのね、この頃お父さんが恐いの。
すぐに怒るの。
僕がおとなしく抱っこされていないとか、お返事をしないとか、猫にとってかなりな無理難題を仕掛けてくれるの。
僕は恐怖のあまり固まってしまって反応ができないでいると、また怒るの。
お母さんとご主人が「朔はへたれだから怖がっているんだよ。」って庇ってくれるんだけど、お父さんは聞く耳持たずなの。
お父さんはめえたんは可愛いらしくて、ごはんをいっぱいあげたりしてるし。
うちの人はみんな、めえたんが好きなんだ。
どうせどうせ僕なんか…。
やっぱり多頭飼いされていると、愛情に偏りができるんにゃね。
これが哀しい現実にゃんだ。
にゃあ。ひたすら落ち込んでしまう…。
結局、僕がヘタレで意気地なしなのが悪いってこと?
僕の悩みは尽きない…。
やっぱ性格の問題なのかにゃあ。
にゃんにゃん。

黒猫日記220

にゃおん。朔太郎にゃ。
うちのご主人とお母さんは猫好きでぬいぐるみ好きなんにゃ。
お母さんなんて、透析に通う時の小物を入れる巾着もぬいぐるみ型なんにゃよ。
その子が僕に似ているっていうんで、名前はさくにゃあにゃあ。
僕には姫にゃあというお嫁さんがいるとしって、にゃあにゃあもお嫁さんが欲しくなったんにゃって。
お母さんに「お嫁さんをください」ってねだったんにゃよ。
お母さんは僕と比べていつも一人のにゃあにゃあに同情して、ご主人と一緒にお嫁さん探しをしたんにゃ。
そしてこの間、すごく可愛い白猫の小さなぬいぐるみを発見。
話し合いの後、お見合いをして、二人はめでたく結婚しましたにゃ。
お嫁さんの名前はめめちゃん。
勿論僕の姫にゃあにちなんでいるにゃ。
にゃあにゃあの赤い紐とめめちゃんのストラップが強く結ばれ、二人はラブラブ、幸せそうにゃ。
それを眺めるご主人とお母さんもうれしそうにゃ。
そうやって、ぬいぐるみ一人一人に人格を与え、会話をして、お付き合いをする人たちって、僕の目にも奇妙に見えるけど、まあ、ご主人が幸せなら良いかな、と思う僕なのでした。にゃんにゃん。

黒猫日記219

ふみぃ。朔太郎にゃ。
お家の人たちは全員アニおただって話はしたよね?
でもそれぞれ好みに差があって、三人が三人とも揃って気に入るアニメって少ないんにゃよね。
今は大概三ヶ月クールで放送されているにゃ。
その改変時に一本あればいいくらいにゃんだ。
今回その三人がそろって気に入ったのが「俺物語」ってアニメにゃんだ。
主人公の「ごうだたけお」にまずお母さんが惚れ込んで、次にご主人が引き込まれ、最後にそのコミカルさにお父さんが引き込まれた、って訳。
「質実剛健、気は優しくて力持ち。一途だし、理想的だよね。」とはお母さんの言葉。
「顔はともかく、あの性格はいいよね。理想的な旦那になりそう。」とはご主人。
「あれだけのがたいがあれば、うちの跡取りにもなれる。」とはお父さん。
家族三人してあのキャラが気に入ったみたい。
今は彼氏の影もないご主人。
いつか結婚するならあんなのがいいらしいにゃ。
まあ、結婚ってみんなに祝福されてするのが一番だっていうからね。
両親に気に入られたお婿さんなら最高だよね。
さて問題は、あんな男が実在して、しかも巡り会えるか、だよね。
にゃんだかかなり無理があるような気がするのは僕だけにゃろうか…。
にゃんにゃん。

黒猫日記218

なあ。朔太郎にゃ。
夏にゃね。
お家は誰かがいる時はエアコンとやらが作動していて快適にゃんだけど、誰もいないとかなり暑い状態になるにゃあよ。
だからこの頃、僕と姫は玄関の土間にいるのにゃ。
土間はコンクリート敷きだから、少しはひんやりしているにゃあよ。
大概、帰ってくるのはご主人で、僕たちはお出迎え猫のお仕事を完遂できるのにゃ。
そうするとご主人はとても喜んでくれるのにゃ。
僕たちもお出迎えした甲斐があるというものにゃ。
それにしても今年の暑さは異常な感じがしにゃい?
去年は台所の板間で十分に暑さしのぎが出来たにゃあよ。
それなのに今年ときたら!
ご主人が帰ってくると僕たちは、揃ってエアコンの風がくる場所に並んで涼む日々が続いている有様にゃんだ。
冷房の風は冷たすぎて、姫にゃんか苦手にしていたはずにゃのに、今年はその風も生温いような気がするし。
にゃあ。世の中いったいどうなるのかにゃあ。
考えてみるとまだ七月にゃんだよね。
これからが夏本番な訳にゃよね。
はたして僕は今年の夏を無事に過ごすことが出来るのにゃろうか。
エアコンなしで過ごす時間が少しでも少なくて済むように祈るだけにゃのかにゃあ。にゃんにゃん。