姫猫日記29

んにゃあ。兄姫(えひめ)にゃ。めえたんって呼ばれているにゃ。
ご主人がまたあたちの替え歌を作ったにゃ。
「さっちゃん」のメロディで。
めえたんはね
えひめっていうんだホントはね
だけどおバカだから略してめえたんて呼ばれるんだよ
アホだよね めえたん

にゃあ。あんまりだと思わない?
確かにあたちってば、お母さんとご主人の声を聞き分けられないし、しょっちゅうご主人の行方をお家の中で見失うし。
う~ん、結構頭が良くないのは認めるけど…。
でもこの歌をお母さんに歌われるとむっとするのよね。
あたちの悪口を言って良いのはご主人だけにゃんだぞ!
あたちはご主人になら何を言われてもいいんにゃ。
だってそこには悪口でも叱責でも愛情があるからにゃ。
あたちはご主人が大好きにゃから、何を言われても気にならないし、気にかからない。
うん。やっぱり育ての親だから、という絶対の信頼関係があるにゃよね。
え?お母さんはどうなのかって?
あのね、確かにお母さんにも世話にはなっているんにゃけど、あれはいつもご主人のことを連れ去っちゃうの。
にゃから、あたちはあれが大嫌いにゃの!
にゃから滅多にお母さん、とも呼んでやらないの。
「あれ」で十分だと思うの。
ふん。あたちにだって意地はあるにゃ。
これからも貫き通すにゃ。

姫猫日記28

んにゃ。兄姫(えひめ)にゃ。めえたんと呼ばれているにゃ。
季節柄か、我が家にもたろうさんとか呼ばれる黒い堅い脂ぎった昆虫が出没するようになったにゃ。
うちのご主人はこいつが大嫌いで、見かける度、きゃあきゃあ言っているんにゃ。
ああちは結構、あのかさこそ動くやつと遊ぶのは嫌いじゃないの。
かなり観察欲を誘うのよね、あれって。
にゃから、見つけるとじいっと見て、それから追いかけておもむろに猫パンチ。
逃げ出すところをすかさず第二激。
飛びつきながら第三激。
そして軽く押さえつけながら様子を観察。
まだ動く元気があるようなら、引き続き猫パンチの嵐。
ペペペペン!
すっかり失神したことを確かめたらくわえていそいそとご主人の元に。
褒めてもらうんにゃ。プレゼントしたら喜んでくれるよね?あたちの獲物。
ご主人の目の前でまだ完全には死んでいないあいつをぽとん。
ねえ、ほら、獲物だよ!褒めて!
にゃけどご主人ったら一声「きゃー!」
そのあと、急速に息を吹き返したたろうさんが、速攻、逃げ出しにかかったから余計に騒ぎが大きくなったの。
ご主人はきゃあきゃあ言いながら逃げ回り、たろうさんはまた自分勝手に逃げ回る…。
あたちにはもう状況を収束させる術はにゃかった…。
そこに登場したのはお父さん。
新聞紙をくるくると丸めたかと思うとぱん!ぱん!
ほんの数発でたろうさんをしとめるとティッシュでくるんでゴミ箱にぽい。
そのあまりの手際の良さに、ご主人からは感謝の視線が。
そしてそれにひきかえあたちには、ご主人の冷たい視線…。
え?何故?どうして?
意味も分からず戸惑うあたちなのです…。

姫猫日記27

にゃ。兄姫(えひめ)にゃ。
この頃はめえたんと呼ばれているにゃ。
それはそうと、何故かこのところ、朔にゃあの株が上がってきている気がするの。
あたちにはいつも通り、気が弱くてヘタレで温和しい朔にゃあにしか見えないんにゃけど、ご主人とお母さんには見えているものが違うみたい。
確かに、お出迎えもお見送りもするし、お返事もするし、お手とお代わりと両手も上手なのは認める。
あたちには出来ない…。
あたちにはその代わり、お父さんにお愛想とお腹撫で撫でをさせてあげるという必殺技があるにゃ。
お腹を撫でられると後ろ足で蹴りを入れたり甘噛みをしたりのオプションも付くけどね。
お父さんにはこれは凄く好評なんにゃ。
ビール飲みながら目尻下げてるもん。
だけどご主人とお母さんはシビアなの。
あたちがいくらおべっかを使って、ほっぺを舐めてあげようと、簡単にはおやつをくれたりしないの。
「めえたんは性格が良くないから魂胆が丸見えなのよねえ。」って笑うだけ。
朔にゃあはへたれだけども正直なんだって。
策略なんて使わずに一生懸命アピールする健気さが可愛いんにゃって。
なんだかあたちが原黒悪女みたいじゃない。
お母さんにはさんざん「女王様」って言われているけどね。
だからこの頃、ご主人がお布団に連れていくのは朔にゃあなの。
でもあたちは負けていない。
夜中には朔にゃあを追い出して、しっかりあたちがご主人と寝ているにゃ。
ふん。結局は実力主義にゃよね。
あれ?やっぱりあたちは悪女なのかしらん?

姫猫日記26

みゃおん。兄姫(えひめ)にゃ。この頃はめえたんと呼ばれているにゃ。
そういえば、ご主人はよくツイッターにあたちの写真をアップしているんにゃけど、それが「可愛い」と結構人気があるんにゃって。
あたちがご主人の肩に乗っかっているところなんかが評判がいいんにゃって。
乳離れする前からあたちは、ご主人の肩や頭に乗る術を覚えて、里親探しをして貰っていたんにゃけど。
あたちは結局、器量が悪くて貰い手が見つからず、ここんちの猫になったんにゃけどね。
だからあたちは、正面からまじまじと見られるとご主人にも「不細工だなあ。」って言われちゃうの。
目の回りにくっきりとアイラインが入っていて目つきが悪く見えるし、お顔が白いのに鼻筋だけが黒いからアンバランスでおへちゃに見えるんにゃって。
性格は女王様だし、お母さんなんか今まで飼ったことのないタイプの猫だって苦笑しているにゃ。
ご主人も時々手を焼いて「可愛くない!」って叫ぶけど、やっぱり育てた手前、可愛いみたいにゃ。
あたちはあたち以外の何者にもなれないけど、女の子に器量のことを言うのは違反にゃよね。
あたちだって好きでこんな風に生まれた訳じゃないもん。
にゃから、あたちの写真の評判がいいのはちょっとうれしいにゃ。
まあ、おうちの人たちがあたちのことを愛していてくれているのは良く判っているけど、女心が微妙なことも判ってほしいにゃ、と思う今日この頃なのでした。
にゃんにゃん。

姫猫日記25

にゃ。兄姫(えひめ)にゃ。
この頃はめえたんと呼ばれているにゃ。
お母さんは昔からお歌が好きな人で、あたちのことを替え歌にして喜んでいるにゃあよ。
いい年して何やっているんにゃか。付き合ってやるこっちの身にもなれっつーの。
あ、お母さんの作品、ついでに紹介するね。
「ぞうさん」のメロディで。
めえたん めえたん
だあれが好きなあの?
あのね ご主人が好きなのよ
めえたん めえたん
だあれが嫌いなの?
もちろんお母さんが嫌いなの
にゃおん。そうなの。あたち、お母さんがどうしても気に入らないの。
あ、まだ続きがあるんにゃ。
めえたん めえたん
ふわふわ毛皮だね
そうよ ご自慢の毛皮なの
にゃんにゃん。
まったくお母さんときたら、いくつになっても子供みたいなんにゃから。
ほんと、相手をするうちのご主人もあたちも苦労するんにゃ。
え?お母さんだから仕方ないだろうって?
それを言ったら全部お終いになっちゃうじゃにゃい!いじわるにゃね!

姫猫日記24

んにゃ。兄姫(えひめ)にゃ。
お母さんったらあたちの替え歌を作って喜んでいるんにゃょ。
まずは「ぞうさん」のメロディで。
「めえたん、めえたん
白黒ぶち猫ね
そうよ
いもうともぶち子なの」
ご主人も面白がって一緒に歌うから始末に悪い。
もうひとつが「森の子山羊」のメロディで。
「めえ、めえ。
うちのぶち猫、うちのぶち猫。
ぶち猫走れば黒猫追っかける
そしたら運動会
かなりうるさい
だからご主人
めえ!っと怒る」
にゃー!
結構お母さんは喜んでこんな歌を作っているみたいだけど、あたちとしては良い迷惑にゃわ。
他にも色々あるんにゃけど、ちょっと紹介できない物も多いんにゃもの。
お母さんは美味しいおやつをくれる貴重な存在にゃんだけど、時として迷惑なことをしでかしてくれるから、あたちとしては好きになれないんにゃよね。
もう少しあたちに気を使ってほしいにゃ、と思う今日この頃のあたちにゃのでした。
にゃんにゃん。

姫猫日記23

うにゃあ。兄姫(えひめ)にゃ。
あたちこの頃「めえたん」って呼ばれているの。
あたち、正式な名前は兄橘姫(えたちばなひめ)なんにゃよね。
にゃから、弟橘姫(おとたちばなひめ)っていう妹もいたんにゃ。
乳離れするとすぐにもらわれて行っちゃったけどね。
だから最初のうちは割とまともに「えひめ」「おとひめ」って呼ばれていたの。
それが、面倒臭がりのご主人はだんだんとあたちの名前を省略するようになり、いつの間にか「姫たん」。
そして「ひめ!」になり、とうとう「めえ!」にまで縮まっちゃったの。
さすがに「めえ!」じゃ山羊さんか羊さんみたいだっていうんで、やっと落ち着いたのが「めえたん」。
割と可愛い響きなんであたちは気に入っているの。
でもね、小ちゃい白猫のストラップ型のぬいぐるみの名前が「めめちゃん」っていうのがちょっと引っかかっているかにゃ。
にゃってその子は凄い美猫にゃんだもん。
にゃんだかご主人に贔屓されている気がするんにゃもん。
そりゃあ、あたちはご主人に言わせると「ぶちゃいく」らしいけど。
おまけにお母さんに言わせると女王様キャラなんにゃって。
要するにみんなあたちに甘いってことなんにゃよね。
うん。確かに朔にゃあとあたちとでは待遇が違うかも。
にゃあ。なんにせよ、あたちが可愛がられているのには変わりがないからいいかなあ、なんて思う今日この頃にゃのでした。
にゃん、にゃん。

姫猫日記22

みぃ。兄姫(えひめ)にゃ。
ご主人に言わせると、あたちってグルメなんにゃって。
ん~、確かに朝と夜に同じカリカリが出てくると断固拒否しちゃうし、二種類のかりかりを用意してくれないと食べてやらないしにゃあ。
朔にゃあが先にあたちのお気に入りの方のかりかりを食べちゃう時があるんにゃけど、そうなるとあたちはもうかりかりを食べないの。うん、軽く一食抜いちゃうの。
それに、おやつ。
好きなおやつが固定されていて、それら以外はふんしちゃう。
お魚だってそうにゃ。
厳密に言うと、焼き魚はブリだけ、生だと甘エビだけ。
エビさんには頭が付いていちゃだめなの。
頭が付いているとどこから食べて良いか判らなくなるんにゃもん。
朔にゃあは頭からがりがりかじるけど、あたちはお嬢様だもん。そんなお下品な真似はできにゃいわ。
そうにゃよね。お嬢様はグルメでも許されるのよね。
お母さんはあたちのことをうちのお姫様、ならぬ女王様だ、と笑うけど、どっちの方が偉いのかしらん。
まあ、ご主人もお母さんもお父さんもあたちのことをとっても好きで大事にしてくれている、って自覚はあるのよね。
にゃから、あたちはたぶん、このままでいいんにゃよね。
朔にゃあには時々睨まれるけど。

姫猫日記21

なん。兄姫(えひめ)にゃ。
新入りのぬいぐるみに大阪土産のたこやきのキャラクターがいるんにゃ。
この子の手触りがよいとかで、今、ご主人の大のお気に入りにゃの。
ご主人の携帯にくっついて、なんとなく鼻高々に見えるんにゃ。
にゃからあたち、そんな可愛くないやつに猫パンチをくらわせてやったの。
そしたらその場面をご主人に見られちゃって、あたちがお目玉を食らっちゃった。
「どうしてたこさん、虐めるの!」ってご主人は怒るけど、にゃってあいつはご主人にずっとくっついていられて、ご主人の愛情を独り占めしているようで気に入らないんにゃもん。
ご主人にはこんなあたちの乙女心が判らないのかしら…。
あたちはご主人の関心が他に向けられることがいやにゃの。
いつもあたちだけのご主人でいて欲しいの。
にゃから、時には朔にゃあもきらい。
お母さんはご主人を連れて、お外に行っちゃうから、もっと嫌い!
にゃんでご主人はあたちだけのご主人でいてくれにゃいのかしら…。
あたちの気持ちを判ってくれないのかしら…。
にゃあ。にゃんだかすごく落ち込んじゃった…。
あたち、しばらく立ち直れないかもしれない…。
ふにゃあ。ご主人、あたちを助けて!

姫猫日記20

みゃあ。兄姫(えひめ)にゃ。
暑い日が続いているにゃあね。
この間、ご主人があたちと朔にゃあにお土産を持って帰ってきてくれたの。
にゃんだと思う?
あのね、ねこじゃらしなの。
あ、玩具の猫じゃらしじゃなくて、天然の、草むらに生えている、牛さんや馬さんのごはんになるやつ。
アルファルファとかいうらしいんにゃけど、良く知らない。
うん、それをあたちと朔にゃあの分、二本ずつ、合計四本持って帰ってきてくれたんにゃよ。
玄関でお出迎えしていたら、ご主人は喜んでくれて、早速猫じゃらしを一本、ふりふりしてくれたの。
勿論あたちはたちまち目の色が変わって猫パンチを繰り出そうと身構えたの。
なのに、その一瞬の隙をついて朔にゃあが!
朔にゃあがパクリ。
一口で食べちゃった!
後に残されたのは軸の茎だけが残された悲しい猫じゃらし。
そのあまりの素早さにご主人とあたちは暫し固まったのでした…。
そうなの。朔にゃあは天然の猫じゃらしで遊ぶより食べる方が好きな猫なの。
あたちもご主人も頭の隅にその知識はあったんにゃけど、朔にゃあがそれほど早く行動するとは思わなかったの。
ご主人も猫と遊ぼうと思って摘んできたものだから呆気にとられてしまったにゃ。
でもまだご主人の手には三本の猫じゃらしが。
きらりと光る朔にゃあの目。
ご主人は慌てて猫じゃらしを隠し、玄関からお家の中に避難。
そこであたちはやっと朔にゃあを避けてご主人に猫じゃらしで遊んでもらえたの。
でも朔にゃあはそんなあたちの隙をついて二本目の猫じゃらしもゲット。
さっさと食べちゃった。
あたちとご主人は楽しく遊ぶのを朔にゃあに邪魔され、あまつさえ玩具を食べられてしまう、ということをその後二回も重ねられ…。
結局、四本全部の猫じゃらしは、朔にゃあのお腹に収まり、あたちとご主人は欲求不満に陥り…。
満足したのは朔にゃあだけ。
あたちはもう少し猫じゃらしで遊びたかったにゃあ。ま、夏になって、天然の猫じゃらしが手に入りやすくなったし、また、ご主人がお土産に持って帰ってきてくれるよね。
うん。楽しみにしておこうっと。にゃんにゃん。