黒猫日記143

みゃ。朔太郎にゃ。
桜の花が咲いたんにゃってね。
僕は、この頃の暖かい陽気に誘われて、ご主人とお出かけしたいにゃあ、なんてつい思っちゃったんにゃ。
ご主人の後を追いかけて、玄関まで行って、足にまとわりついて「にゃあ。」
ご主人が気づいて「ん?さくにゃあ、一緒に行きたいの?」
僕はすかさず良いお返事で「にゃあ!」

ご主人はちょっと困った顔で「今は急ぐから、後でね。」にゃって。
僕は肩すかしを食らっちゃったのにゃ。
でもご主人は、僕の予想よりずうっと早くに帰ってきてくれて、僕がお出迎えすると「さくにゃあ、お待たせ。お散歩行く準備をシようね。」
ご主人は戸惑う僕を尻目に、リード付きのハーネスを取り出してにっこり。
(しまった!)内心僕は思ったにゃ。
あのハーネスってやつ、僕は苦手なんにゃ。
でもご主人はさっさと僕にそいつをはめ込んでリードを握って意気揚々と「さあ、準備はできた。お散歩行こうね、さくにゃあ。」
にゃあ。まさかこう来るとは思ってもみなかったんにゃよ。
ハーネスを付けた僕は、完全に腰が引けちゃって、もうお外に対する関心なんか頭になくなっちゃっているにゃ。
(このハーネスをどうにかして!)としか考えられにゃい。
でもご主人はお散歩する気満々。
僕を抱き上げてそのままお外へ。
「いやあ、さくにゃあとリード付けてお散歩するのが夢だったんだよね。」とチョーご機嫌。
僕はお外が怖いのとハーネスがきもちわるいのとで青息吐息。
ご主人がお隣の角を曲がった時、僕はようやく硬直から抜け出して悲鳴を上げたにゃ。
「いやにゃあ!」ご主人は、それが「抱っこはいや」、の事だと誤解して僕を地面の上へ。
僕は状況の変化にも対応できずに、尻尾は垂れて耳はぺたん。
そんな僕にご主人は、「大丈夫。怖くないよ。一緒にいるからね。お散歩行こう。」
ふにゃあ。にゃから、お散歩どころじゃにゃいんだってば!
色んな音が僕を脅かすし、車や自転車や子供は通るし、ハーネスは気持ち悪いし…。
リードを軽く引っ張りながらお目目きらきらのご主人にはわるいけど、どう考えても僕には無理にゃ!
その場にへたり込んじゃった僕を見て、ご主人はがっかりのため息。
でもそう簡単には諦めてくれにゃかった。
「だったら、少しづつでもお外に慣れようね。」
そう宣言すると僕をおうちの方向にむき直させて、リードをつんつん。
「にゃから、動けにゃいんだってば!」って訴えるとやっと僕を抱えて角を曲がってくれたにゃ。
どうにかおうちを認識できた僕は、地面に降ろされた途端猛ダッシュ。
一目散に玄関に駆け寄って、ご主人がドアを開けてくれる間も惜しんでお家の中に飛び込む。
「さくにゃあ。」僕の勢いに驚き半分おかしさ半分のご主人が入って来た時には、僕はこたつの中で縮こまっていたにゃ。
「ありゃりゃ。こりゃあダメだ。」
それが僕を見つけたご主人の感想。
悪かったね。小心者で。でも今回は色んな要素が重なっちゃっただけにゃんだよ。
僕だって本当はご主人とお散歩に行きたいんにゃよ。

(本当かなあ…?by飼い主)