姫猫日記28

んにゃ。兄姫(えひめ)にゃ。めえたんと呼ばれているにゃ。
季節柄か、我が家にもたろうさんとか呼ばれる黒い堅い脂ぎった昆虫が出没するようになったにゃ。
うちのご主人はこいつが大嫌いで、見かける度、きゃあきゃあ言っているんにゃ。
ああちは結構、あのかさこそ動くやつと遊ぶのは嫌いじゃないの。
かなり観察欲を誘うのよね、あれって。
にゃから、見つけるとじいっと見て、それから追いかけておもむろに猫パンチ。
逃げ出すところをすかさず第二激。
飛びつきながら第三激。
そして軽く押さえつけながら様子を観察。
まだ動く元気があるようなら、引き続き猫パンチの嵐。
ペペペペン!
すっかり失神したことを確かめたらくわえていそいそとご主人の元に。
褒めてもらうんにゃ。プレゼントしたら喜んでくれるよね?あたちの獲物。
ご主人の目の前でまだ完全には死んでいないあいつをぽとん。
ねえ、ほら、獲物だよ!褒めて!
にゃけどご主人ったら一声「きゃー!」
そのあと、急速に息を吹き返したたろうさんが、速攻、逃げ出しにかかったから余計に騒ぎが大きくなったの。
ご主人はきゃあきゃあ言いながら逃げ回り、たろうさんはまた自分勝手に逃げ回る…。
あたちにはもう状況を収束させる術はにゃかった…。
そこに登場したのはお父さん。
新聞紙をくるくると丸めたかと思うとぱん!ぱん!
ほんの数発でたろうさんをしとめるとティッシュでくるんでゴミ箱にぽい。
そのあまりの手際の良さに、ご主人からは感謝の視線が。
そしてそれにひきかえあたちには、ご主人の冷たい視線…。
え?何故?どうして?
意味も分からず戸惑うあたちなのです…。