なあお。朔太郎にゃ。
この頃、お父さんのお仕事が不規則なもので、僕はおこぼれがいただけにゃいんにゃ。
にゃからお母さんからかりかりを貰っても、にゃんだか物足りないまま、ってことが多いんにゃ。
「この食欲魔猫。」ってご主人は言うけど、ご主人にだけは言われたくないにゃ。にゃって、お母さんが呆れるぐらいスゴい食欲なんにゃよ。
まあ、そのお母さんだって結構食いしん坊で、おやつをあちこち貯めておくのが趣味らしいんにゃ。
そのおやつ、っていうのも、物によっては魅力的なんにゃよ。
この間、僕が見つけたのはチーズ蒲鉾。
無造作に置きっぱなしにしているものにゃから、空腹な僕は思いっきり食いついちゃったのにゃ。
チューブ状のビニールに包まれたチーズ蒲鉾三本。無茶苦茶に食い散らかして気が済んだ僕。
我に返ってまず脳裏に浮かんだのは、怒り狂ったご主人の顔。
にゃ~。でもやってしまったことは仕方にゃい。
クワバラクワバラ、と取りあえず軽くこたつの中に隠れてみる。
そこに帰ってきたお母さんとご主人。
一目で僕のやらかしたことは露見。瞬間、ご主人の口調ががらりと変わる。
「さくにゃあ!」
流石ご主人。僕の隠れ場所なんか心得ていらっしゃる。
僕はすぐさまこたつの中から引っ張り出されて、法廷の罪人よろしく、ご主人とお母さんの前に引き据えられる。
にゃあ…。暫し無言の二人。でもその視線は僕にとっては針のむしろ。
ぺたん耳をしてひたすら伏せているしかないにゃ。
そんな僕にご主人は、長~いお説教を始めたにゃ。
まあ、お説教だけなら害はにゃい。にゃんて、馬耳東風ならぬ猫耳東風を決め込もうとしていた僕。
そんな僕の様子を見て、ご主人もとうとう切れたにゃ。
「さくにゃあ!」とうとう雷が落ちたにゃ。一緒にゲンコツも落ちたにゃ。
まあ、滅多に強硬手段に訴えたりしないご主人。本気で怒らせた僕が悪い…。
すごすごと尻尾を丸めて反省。
やっと怒りの矛先を納めてくれたご主人。まだちょっと怖い顔…。
ふにゃあ。少しだけ反省したふりをして、あとはご機嫌伺いをしておこうっと。
でも、猫に鰹節ならぬ僕にチーズ蒲鉾は、余りにも無謀だと解ってくれにゃいかなあ。
食欲にはどうやっても勝てないもん…。