にゃおん。朔太郎にゃ。
にゃー!にゃー!にゃー!暗いよ!怖いよ!
あれは何にゃ?!ぴかぴかごろごろどかーん!って…。
ふにゃあ、また光ったあ。ふぎゃあ!
がらこん、がらこん、どっかーん、って…。
にゃ~ん…、ご主人様あ、どこ行ったんにゃよお。んぎゃあ!
怖いよお…。頭のすぐ上で、ごろごろ、どっかーん。ひにゃあ。もう、このさい贅沢は言わにゃい、ご主人じゃなくても、お父さんでもお母さんでも誰でもかまわにゃいから…、帰って来てー!!
(ゲリラ豪雨の中、帰宅してみると、黒猫が部屋の隅っこで小さくなっておりました。耳はぺたん、尻尾は縮こまり、見るも哀れな有様…。よっぽど雷が怖かった、と見える。小心者の朔太郎は雷も苦手のようです。by飼い主)
黒猫日記107
にゃ。朔太郎にゃ。
僕ね、お留守番が大嫌いなんにゃ。
にゃから本当は、お見送りも嫌いにゃの。
ご主人がお出かけするのを後追いしたいんにゃけど、玄関の外は怖いから、仕方なしにそこで立ち止まっているだけなんにゃ。
ご主人は頭を撫でて「良い子だね。」って言うけれど、僕はそういうつもりじゃあないんにゃ。
にゃから、僕も頭を使ったんにゃ。
どうしたらご主人はお出かけをしないでくれるかにゃ、って。
それで編み出したのが「必殺携帯隠し。」
そうにゃの。ご主人の携帯の上に寝転がって、行方不明にさせちゃうの。
そうしたら、携帯依存症のご主人は、見つけるまで絶対お出かけ出来にゃい。
僕の考えは図星を指して、携帯の行方を探してご主人はおたおた。
しめしめと思いながら僕は、のびのびをしてしっかりと体の下の携帯が見つからないようにしてたんにゃ。
にゃけどそうやって知らんぷりを決め込んでいた僕を、ご主人はいきなり睨みつけたんにゃ。
「さくにゃあ、まさか?!」
その声に目を逸らした僕を、ご主人はさっと持ち上げたんにゃ。
「やっぱり。」
ご主人、苦笑い。僕、ため息。
「さくちゃあ、そこまでれおん君の真似をしなくたって…。」
ご主人の呟きに僕の神経はピキッ。「僕は真似をしたわけにゃないもん!自分で考えたんにゃもん!僕オリジナルにゃもん!」
猛抗議する僕の声は、ご主人には届かず、ご主人はどうやら怒る気にもなれずに僕の頭をぽんぽんして、寂しそうに笑ったにゃ。
なんにゃかれおん猫のことを思い出しちゃったみたい。
いつもよりちょっぴり大人しく出かけていくご主人を見ていたら、僕は複雑な気分に襲われたにゃ。
う~。僕の必殺技は結局、失敗に終わってしまったのでした。にゃあ。
でも、さ。にゃんか、この気分のもやもやは晴れにゃいんにゃ。
僕はいつになったられおん君を越えられるんにゃろう…。
黒猫日記106
んぎゃあお。朔太郎にゃ。
ご主人ったらどういう気まぐれか、「猫の気持ち」なる雑誌を持ち出して、僕の性格診断なるものをやり出したんにゃよ。
え?結果を聞きたい?
そんなの決まりきっているにゃないの。
「ご主人様一筋」そして「小心者。」
にゃー!大笑いしたにゃね!ふにゃあ。
なにもそんなに笑わなくたって良いじゃにゃいの…。
ふにゃあ。まあ、確かにご主人は大好きにゃ。それがなんなんにゃ?どこが悪いにゃ?
ふん!って居直るところが可愛くない、って言うのはお母さんにゃ。
そういうところが「ご主人第一」にゃんだろうが!
と、僕がジト目でお母さんを見ていると、ご主人曰く「何も、れおん君の真似をしなくてもいいんだよ。」
にゃー!真似なんかしていないもん!
いかにれおん君がご主人べったりの猫だったか、話を聞いていれば分かるもん!
でも僕は、僕の意志でご主人を愛しているんにゃよ。
それを分かって欲しくて、ご主人に一生懸命訴えたんにゃけど…。
そうにゃの。ご主人は悲しいことに猫語がわからにゃい。
僕の言葉は単に「にゃーにゃー」って音が続くだけ。
ねえ、世の中の猫さん達はどうやってご主人と意志の疎通を図っているのかにゃあ?
ご主人にいつか愛の告白をしたい僕にゃのです。
黒猫日記105
みゃ。朔太郎にゃ。
ねえ、鉤尻尾の猫は幸運を運んでくるんにゃって知っていた?
僕の尻尾は真っ黒で、しゅるんと長くて、先っぽのところでくにっと九十度に曲がっているんにゃ。
お母さんもご主人も尻尾のしゅるんと長い猫が好きで、僕の曲がった尻尾をとても残念がっていたんにゃ。
何故かおうちに代々いた猫さん達は、長い尻尾の猫さんばかりで、ご主人は特にれおん猫の尻尾が大のお気に入りにゃったみたい。
にゃものにゃから、僕の尻尾も真っ直ぐにならないかな、ってしばらくの間、暇があるといじっていたんにゃよ。
でも、一旦折れた尻尾は真っ直ぐに戻れないんにゃ。
にゃから「折れ尻尾」は僕の悪口の一つになっていたんにゃ。
でも先日、猫さんの番組を見ていたご主人とお母さんは、その中で「猫の鉤尻尾は幸運を呼ぶ。」って言われたのを聞いて、改めて僕の尻尾をまじまじ。
「そりゃあ、幸運を呼んでくれたら嬉しいけど、ね。」とは、お母さん。
「まあ、尻尾が曲がってようが真っ直ぐだろうが、さくにゃあはさくにゃあだもの。」とはご主人。
結局、僕の立場は変わらにゃい。
でも、それ以来、なんとなく「折れ尻尾」は僕の悪口に使われなくなったような気がするんにゃ。
これはある意味、良いことにゃんだろうにゃあ。にゃんにゃん。
黒猫日記104
んにゃ。朔太郎にゃ。
僕には色々としなくてはいけないことがあるんにゃよ。
毎朝、お母さんにお愛想をしてご飯を貰うことから始まって、ご主人を起こしに行くこと、お見送りをすること、などなど。
お仕事以外には、日向ぼっこに毛繕い、爪研ぎに柱登り、とかね。
このところ特に気を使っているのが、ご主人のお出迎えにゃんだ。
だってご主人ったら、時々物凄く遅くの帰宅になるんにゃもん。
僕は、家に来る宅配便のお兄さんも嫌いにゃんだ。
やたらご主人に馴れ馴れしいんにゃもん。
そんな僕にお母さんは「さくにゃあ、れおん君に似てきたね。すごい焼き餅焼きで。」にゃって。
にゃあ?これって焼き餅ってものにゃの?
僕はご主人の関心が他に行くのが我慢できないだけにゃんだけど。
だから、帰りの遅いご主人を心配しながら玄関でじいっと待っているんにゃ。
どうやられおん君もそうやって待っていたみたい。
「そんなところだけ似なくても良いのに…。」っていうのがご主人の率直な感想。
玄関に佇む僕を見ると、一瞬白い猫に見えるんにゃって。
結構、れおん君とは違うところが多い、と自分でも思っているんにゃけど、そうやってお出迎えする僕を嬉しそうにしているご主人に、大満足な僕にゃんだ。にゃん、にゃん。
黒猫日記103
ふにゃ。朔太郎にゃ。
おうちではご主人とお母さんがぽっちゃり体型にゃんだけど、何故かお父さんは、あだ名が『電信柱』って言うぐらい、すらっとしているんにゃよ。
お母さんは、「まるでうちで何も食べさせていないみたい。」って苦笑しているんにゃ。
ご主人やお母さんと違って、あんまり食べ物に拘らない、ってところがあるからにゃんだって。
朝ご飯は、「食べるより寝ていたい。」とかで食べないでお仕事に行っちゃうし。
お昼は外食。
夜はビールで晩酌。でも、この時のおかずにだけは拘っているんにゃよ。
絶対にお皿が三枚以上並んでいないと不機嫌にゃんだ。
だから、毎日、お母さんもご主人もメニューを考えるのが大変にゃんだって。
それに、好き嫌いも激しいんにゃ。
「よくあんなのと三十年もやっていたね。」というのが、ご主人がお母さんに告げた身も蓋もない感想。
お母さんはまたもや苦笑。
「まあ、甘やかしたのは認める…。」にゃって。
にゃあ、おかげで僕はいつもお裾分けをいただけるから何の問題もないんにゃけどね。
お父さんのおかずは美味しいし、猫の好物ばかりにゃんだよ。
でもこの頃、お父さんたら、僕にお裾分けしてくれる時、必ずお腹を触って一言言うようになったんにゃ。
「猫、うちの男は太っちゃあいけないんだぞ。」にゃって。
そのセリフを聞いて、ご主人は笑うんにゃ。
「さくにゃあは男じゃないよ。おかまだから。」
にゃー!去勢手術で僕のたまたまを取っちゃったのは、そういうご主人にゃ!
ご主人の言葉を聞いてしょげる僕を、お父さんは慰めるように撫でてくれるにゃ。
「まったく、うちの女どもは…。」っていうのがお父さんの口癖。
「猫、男は辛いなあ…。」にゃって。
どうやら口ではお母さんやご主人にはかなわない、って言いたいみたい。
にゃあ。ご主人とお母さんに対抗しようなんて、考えるだけ無駄なような気がする僕にゃのでした。にゃん、にゃん。
黒猫日記102
みぃ。朔太郎にゃ。
僕も一歳を過ぎて、かなり大人になったんにゃよ。
このおうちに来てから二度目の夏にゃしね。
でも、今年の夏は去年より暑いような気がするのは僕だけなのかにゃあ。
「まあ、今年はエアコンの設定温度、高めになってはいるけど…。」っていうのがご主人の僕の疑問に対する答えにゃんだ。
「でも、新しいエアコンだから、そんなに差はないはず…。」
にゃあ。んにゃあ、どーして僕は暑がっているんにゃろう?
僕が首を傾げていると、お母さんが笑い出したんにゃ。
「そりゃあ、さくにゃあが太って、脂肪が付いたからじゃないの。」
にゃー!結局話はそこに行くのかよ!
僕がむっとしていると、ご主人が僕を捕まえてお腹をむにむに。
にゃ~、快感…、にゃんて悶えている場合じゃにゃい!
僕の下腹部の白くなっている部分、ご主人が「おぱんつ」と呼んでる場所は、お肉がたまっていて、僕としても弱点にゃんだ。
何故かお父さんもお母さんも、加えてご主人も、僕のお腹を撫でるのが大好き。それはれおん君がそうされるのが大好きだったから、って理由にゃんだけど、さ。
僕が思うに、普通、お腹を無警戒にさらけ出すには、よっぽどの信頼と愛情、おまけに快感が必要にゃ。
僕にはまだ、そこまでの覚悟が持てないのにゃ。
にゃって、僕は捨てられていた猫にゃもん。
人間に全面的な信頼と愛情にゃんて、笑っちゃうにゃ。
でも、にゃんとなく、この頃はたまにだけど、お腹を触らせてあげているんにゃよ。
それって、僕が大人になった、って立派な証拠だよね?にゃん、にゃん。
黒猫日記101
にゃお。朔太郎にゃ。
ご主人にハンズのでっかい紙袋を貰ったのにゃ。
僕が中に入ってもすごく余裕なくらいでっかいの。
しかも二重にしてくれているから丈夫にゃんだ。
縁に猫パンチをしても破けにくいし、紐にじゃれついても大丈夫。
にゃあ。僕は朝から出たり入ったり、飛び乗って潰してみたり、それから猫パンチで入り口をこじ開けてまた中に入ったり。
お母さんが調子に乗って、紙袋にねずみのおもちゃを入れてくれたものだから、僕のテンションも絶好調。
ひたすら出たり入ったり、飛び出したり、飛び乗ったり。
にゃー。午前中しっかり遊んでしまったのにゃあ。
おかげで疲れ果てて午後からはお昼寝三昧。
お母さんはにこにこしながら僕のお腹を子の時とばかりに撫でまくる…。
まったくもう、イヤだと思いながらも睡魔には勝てない僕にゃのだ。
お母さんはズルいにゃあ。
黒猫日記100
ふにぃ。朔太郎にゃ。
僕は、先輩猫のれおん君と比べられることが多いんにゃ。
おうちではどうしてなのか白猫さんの時代が続いていて、僕を貰う時にも「あれ?白くない。」って思ったんにゃって。
白くないのは僕のせいじゃにゃいんだけどね。
にゃ。勿論ご主人にゃって、そんなことは百も承知にゃ。
問題にするのは僕の性格にゃんだよね。
れおん君は、抱っこが好きで、ブラシが大好きで、お腹を撫でられるのが天国で、そっと寄り添ってくれる猫にゃったんにゃって。
僕の方は、といえば、極めて猫らしい、といえる性格にゃんだ。
すなわち、かまわれたくない、一人でいたい、触られたくない、出来ることなら一日中隠れていたい、気に入らないことはしたくない。
そりゃあ、気が向けばご主人をお出迎えしたり、後追いしたり、一緒に寝たりもするんにゃよ。
でも基本的には気まぐれな、典型的な猫にゃんだ。
ご主人も、お父さんもお母さんも、それが物足りないんにゃって。
ようするに、れおん君は物凄くマメな猫さんにゃったみたい。
僕もするけど、お父さんの晩酌のお付き合いは勿論のこと、ご主人やお母さんの話し相手もしていたんにゃって。
ご主人が病気になった時には、ずうっと寄り添って心配してくれていたんにゃって。
「れおん猫は優しかったよ。」ってご主人は僕が抱っこから逃げ出す度に言うんにゃよ。
しょうがないにゃ。僕は僕にゃんだから。
お父さんはもう半分諦めてくれたみたいにゃんだけど、ご主人とお母さんは時々寂しそうな声で僕に言うんにゃ。
「人間には猫をぎゅうって抱きしめて癒されたい、って思う時もあるんだよ。」にゃって。
にゃって、自由を束縛されるのは許せにゃいんだい!って反抗するのが僕。
結局、僕の性格とご主人の思惑は、相容れにゃい…。
にゃあ。これは夫婦なら性格の不一致、とやらで離婚問題になりかねにゃい大問題にゃ。
でも、ご主人もお母さんも初戦は猫好き。僕は猫である、ってだけで許されちゃうのでした。
文句をいくら言おうとも、猫のいない生活は考えられない一家にゃんだよ、このおうちは。
僕は、そういう訳で、我が儘を通すことが出来ているんにゃ。うにゃん。
黒猫日記99
みゃ。朔太郎にゃ。
暑いねえ。
余りに暑いものだから僕は、台所の床にノビていることが多いのにゃ。
そうすると、夜中なんかトイレに起きたご主人に、まともに踏んずけられるのにゃ。
ご主人ったら、「さくにゃあは完全に保護色なんだよね。逆に踏んずける方が驚くよ。」にゃって。
確かに僕の毛皮の感触にご主人は飛び上がっちゃうんにゃけど、やっぱり踏んずけられた僕の方が被害は甚大だと思うにゃ。
特に、ご主人は重いし。
世の中、節電とかで、おうちのエアコンも去年より控え目にゃものだから、僕も大好きなご主人のお布団の暑さに耐えかねて、冷たい床に避難しちゃうんにゃ。
本当、去年はちゃんとお布団にいたような覚えがあるんにゃよ。
でもお母さん曰く「去年と設定温度は変わらないよ。さくにゃあにお肉がついたせいじゃないの。」
にゃあ。確かに僕は去年よりだいぶ大きくなったけど…。
そしたらご主人が僕のお腹のお肉を掴んで、「ほら、ここなんか、ぱたぱた出来るぐらい。やっぱ、太ったよねえ、さくにゃあは。」にゃって。
ふみぃ。ご主人には言われたくにゃい。今、リバウンドが来ている、って騒いでる癖に。
そういえば、ご主人もやたらと暑がっている…。
にゃー!僕とご主人は同類?喜んで良いのかにゃあ。
複雑な思いの僕にゃのです。にゃんにゃん。