黒猫日記107

にゃ。朔太郎にゃ。
僕ね、お留守番が大嫌いなんにゃ。
にゃから本当は、お見送りも嫌いにゃの。
ご主人がお出かけするのを後追いしたいんにゃけど、玄関の外は怖いから、仕方なしにそこで立ち止まっているだけなんにゃ。
ご主人は頭を撫でて「良い子だね。」って言うけれど、僕はそういうつもりじゃあないんにゃ。
にゃから、僕も頭を使ったんにゃ。
どうしたらご主人はお出かけをしないでくれるかにゃ、って。
それで編み出したのが「必殺携帯隠し。」
そうにゃの。ご主人の携帯の上に寝転がって、行方不明にさせちゃうの。
そうしたら、携帯依存症のご主人は、見つけるまで絶対お出かけ出来にゃい。
僕の考えは図星を指して、携帯の行方を探してご主人はおたおた。
しめしめと思いながら僕は、のびのびをしてしっかりと体の下の携帯が見つからないようにしてたんにゃ。
にゃけどそうやって知らんぷりを決め込んでいた僕を、ご主人はいきなり睨みつけたんにゃ。
「さくにゃあ、まさか?!」
その声に目を逸らした僕を、ご主人はさっと持ち上げたんにゃ。
「やっぱり。」
ご主人、苦笑い。僕、ため息。
「さくちゃあ、そこまでれおん君の真似をしなくたって…。」
ご主人の呟きに僕の神経はピキッ。「僕は真似をしたわけにゃないもん!自分で考えたんにゃもん!僕オリジナルにゃもん!」
猛抗議する僕の声は、ご主人には届かず、ご主人はどうやら怒る気にもなれずに僕の頭をぽんぽんして、寂しそうに笑ったにゃ。
なんにゃかれおん猫のことを思い出しちゃったみたい。
いつもよりちょっぴり大人しく出かけていくご主人を見ていたら、僕は複雑な気分に襲われたにゃ。
う~。僕の必殺技は結局、失敗に終わってしまったのでした。にゃあ。
でも、さ。にゃんか、この気分のもやもやは晴れにゃいんにゃ。
僕はいつになったられおん君を越えられるんにゃろう…。