黒猫日記38

んにゃ~。朔太郎にゃ。
僕はやっとおうちに帰ってきたのにゃ…。
たった一晩、って言うけど、僕にはとっても長い一日にゃったのにゃ。何せ、朝御飯抜きのまま朝一番で病院に連れて行かれ、それからすぐに血液検査、麻酔の後は去勢手術…。にゃあ。とっても辛い日にゃったよ…。
一晩経ってやっとご主人がお迎えに来てくれた時、僕はご飯も食べず、ゲージの隅で小さく縮こまっていたんにゃ。いろんな事が一度に起きたので、完全に萎縮してしまった、ってお医者さんが言っていたにゃ。
ご主人は流石に可哀想に思ってくれたんにゃけど、帰り道、橋を渡りだしたら僕が大声で鳴き出したので、とっても恥ずかしい思いをしたとかで、おうちに帰るなり、「この内弁慶の朔太郎!」にゃって。
ふにゃあ。確かに、おうちに帰ってきた僕は、食欲がなかったのはどこの猫?って感じで食欲全開、台所の三角コーナーのゴミ漁りまでする始末。お母さんは「やっぱりストレスかしらねえ。」って撫でてくれたんにゃけど、僕の内弁慶はおうちでは確定されちゃったにゃ。
だから余計に、エリザベスカラーをはめられて、よたよた歩きの僕に、ご主人は全然同情してくれにゃいんにゃ。目測が完全に狂って、あちこちぶつかりまくるのが面白い、って笑うのにゃ。
僕はエリザベスカラーというこの邪魔ものが大嫌いにゃ。にゃって、動くのに思いっきり邪魔、っていうだけじゃなく、ご飯食べるのにも、トイレ行くのにも、ご主人に撫でてもらうのにも邪魔にゃんだ。早くはずしたくて猫パンチを放っても、しっかりホックで留まっているからとれてくれにゃい…。それを見てお母さん曰く、「傷が治るまではずしちゃいけないんだよ。」
にゃー!傷は痛いし、こんな変なのはくっついてるし、僕は!僕は!
にゃー!にゃー!にゃー!……

黒猫日記37

ふにゃあ。朔太郎にゃ。
僕のイヤな予感は大当たりにゃったのにゃ。二十七日の朝に、いつもならすぐ朝ご飯をくれるお母さんが、知らんぷりしていつまで経ってもご飯をくれにゃいのにゃ。
僕が少しイジケて、テーブルの下に隠れていると、いつもより早く支度を済ませたご主人が、ゲージを手に僕を猫撫で声で呼ぶのにゃ。
朝からそんなに優しい声で呼ばれたことがにゃかったから、僕は嬉しくて一目散に飛んでいったにゃ。
そしたらご主人たら、とってもいい笑顔で僕を抱き上げると、ひょい、ってゲージに押し込んじゃったにゃ。そして、一言。「さあ、病院行こうね。」
にゃー!病院は嫌いにゃ!とゲージの中でじたばたすれど時遅し。ご主人は僕に有無を言わせず病院へ。
病院で僕は去勢手術とやらと血液検査をされて、一晩お泊まりにされたのにゃ。
怖いよ~!痛いよ~!寂しいよ~!心細いよ~!おうちが恋しいよ~!ご主人の意地悪ぅ!

黒猫日記36

にぃ~。朔太郎にゃ。
急に寒くなったにゃね。僕は初めての秋にゃ。今年になって生まれた僕には初めての事がたくさんあって、僕は毎日がとても楽しいにゃ。
そんな日々がずっと続くんにゃと思っていたら、ご主人が「さくにゃあは病院に行かなくちゃ。」にゃって。
僕が「?」て、訳も分からずにいたら、お父さんが僕の顔を見ながら「お前も男じゃなくなるんだなあ…。痛そうだなあ。」
僕、再び「?」
二人ともいったい何のことを言っているのかにゃあ。僕は病院に行かなくちゃいけないほど体調が悪くもないし、怪我をしているわけでもにゃいのに。
「ねえ、お母さん、変だよね?」ってお母さんの顔を見上げたら、お母さんも微妙な表情。
にゃー。なんだかイヤな予感。僕、一度、病院には連れて行かれたことがあるにゃ。あっちこっちひっくり返されて触りまくられて、あんまり良い思いはしなかったにゃ。出来るならもう二度と行きたくないにゃ。だけど、なんだか強制的に連れて行かれそう…。不安、不安、不安…。

黒猫日記35

みゃあ。朔太郎にゃ。
ご機嫌の悪かったご主人は、にゃんだかお気に入りの連中のライブとかに行ってきて以来、ころりとご機嫌が治ったにゃ。
るんるんで帰って来たと思ったら、僕をぎゅうしてくれて「もう、気分が良いから全部許す!でも、今度やったら百叩き!」にゃって。
んにゃ?それって、僕の今までの苦労はにゃんだったの?それって、僕の努力は意味なかったって事?にゃあ…。にゃんだか力が抜けちゃったにゃあ。人間の女の子ってこんなものにゃのかにゃあ。
でも、久しぶりにぎゅうされたご主人の胸はとっても気持ちが良かったのにゃ。おっぱいのふにふには大好きかも。え?それって、人間の男共も同じにゃの?にゃー!それは大変にゃ!僕の大好きなご主人に、人間の男もくっつくの?!そいつはダメにゃ!え?お気に入りのアイドル、って男なの?え?え?!えっ?!え~!にゃ~!!!

黒猫日記34

にゃん。朔太郎にゃ。
うちのご主人は相変わらず不機嫌にゃ。僕のプレゼント攻撃は完全に不発にゃ。
代わり、と言ったらにゃんだけど、お母さんがこの頃僕をよく構いたがるのにゃ。白い尻尾のような猫じゃらしで、僕の運動不足解消の手伝いをしてくれているにゃ。
僕はあの白尻尾がなんだか思いっきり憎たらしいのにゃ。ご主人が日頃、先輩猫の白猫れおん君が、いかにやさしくて思いやりがあって、しかも頭が良かったか、ってイヤににゃるほど話してくれるものにゃから、僕としてはものすごく反感と焼き餅の塊とにゃったみたい。
にゃから、白尻尾を見るとついむきににゃって飛びかかっちゃうにゃ。
お母さんにはそんな僕の気持ちが分かるみたい。にゃから白尻尾を思い切り噛み噛みさせることで僕のストレスを解消させようとし向けているみたい。
でも、僕の最愛のご主人様は、結構無頓着にゃんだ。デリケートな猫心を理解してくれそうもにゃいにゃ。
プレゼントのことにゃってそうにゃ。少しは僕の気持ちが分かってくれてもいーのに。毎日、なるべく大きいのを探すのは大変にゃんだぞ。にゃから、たまにはほいほいの中から失敬してくるんにゃけど、やっぱり手抜きしているのがバレているのかにゃあ?

黒猫日記33

ふみぃ。朔太郎にゃ。
ご主人が僕を構ってくれなくなって早や数日。僕はひたすらアピールの日々にゃ。
僕としては、どうしてご主人が怒っているのかは納得がいっていにゃいんにゃけど、お母さんが言うには「女の子の気持ちが分からないんなら、嫌われても仕様がないわよね。」にゃって。よーするにどーゆーこと?やっぱりプレゼントはネズミが良かったのかしらん?手抜きしちゃいけなかったのかにやあ?
とは言え、あれから毎日、僕は何とかネズを捕まえようと努力し続けているのにゃ。だけどネズは狡猾なヤツで、待ち構えている僕の前には姿を現そうとはしにゃい。にゃから僕は手近い獲物としてつい太郎さんをハンティング。あいつは丈夫で長持ちだし、動きが不規則で結構面白いんにゃよ。んで、動かなくなった太郎さんは僕の戦利品になるって訳。そしたらやっぱりご主人に誉めてもらいたい、と思うのは人情、ならぬにゃん情だよね?にゃから僕はせっせとご主人のクッションの上にしっかり置いておくのにゃ。それが毎日の日課になりつつあって…。
にゃあ。いつになったらご主人は、僕を認めてくれるんにゃろう?僕のプレゼントを喜んでくれるんにゃろう?
ふにゃあ。悩みの多い僕にゃのです。にゃー。

黒猫日記32

にゃ~。朔太郎にゃ。
暑い日が続いていて、僕も少しバテ気味にゃ。それ以上にご主人のご機嫌がなおらにゃいのが、僕には憂鬱で重大な問題なのにゃ。
僕がプレゼントをクッションの上に置いておいた、とはお話したにゃよね?僕はご主人の反応を楽しみにしにゃがら暫しの睡眠を楽しんでいたにゃ。
「きゃあ!」
絹を裂くような、とは、とても言えない悲鳴が響いたにゃ。同時に、どたばたとお母さんとご主人とが慌ただしく動く気配。僕が眠い目を無理矢理開いて、期待を込めて見に行くと…。
「にゃあ。(ご主人おはよ)」
挨拶しながら入っていった僕に浴びせられたのは、刺すような冷たい視線。思わずご主人の顔を見上げると…。僕は背筋が凍るかと思ったにゃ。知らず知らず後ずさりした僕を追いかけてきたのは空飛ぶラップ。
「にゃっ!」
咄嗟に飛び退いてセーフだったけど、ご主人の殺気はひしひしと伝わってきたにゃ。にゃんで?と、もう一度ご主人の顔を見上げてみると…。ご主人は、ぎろっと僕の顔を睨みつけると、ぷいっと横を向いて、それきり僕を無視しだしたにゃ。何がにゃんだか分からないで、立ち竦んでいる僕に、お母さんが一言。
「そりゃあ、怒るわよ。朝一番に大嫌いなゴキブリをふんずけたら。」
ふぎゃ~!僕のプレゼントはご主人を怒らせただけにゃの?そんにゃあ!僕はご主人を喜ばせたかっただけにゃのに!
そっと見上げた僕の視線を完全に無視して、ご主人はさっさと朝の支度をして出かけていってしまったにゃ。そしてそれっきり僕を構ってくれないのにゃ。にゃ~。僕は、僕はどうしたらいいんにゃ?!完全にご主人に嫌われちゃったかにゃあ…。ぐすん。

黒猫日記31

にゃ。朔太郎にゃ。
ご主人に冷たい目で見られている今日この頃。僕は名誉挽回のために必殺プレゼント作戦に出ることにしたにゃ。以前、先輩猫さんがご主人にネズミを捕ってプレゼントした、ってお母さんから聞いたのにゃ。ご主人は悲鳴を上げて喜んだんにゃって。おうちの天井裏でごそごそしているネズを、僕が捕まえたらご主人は間違いなく喜んでくれて、僕をぎゅうしてくれるにゃあ。僕は猫おもちゃのネズを捕まえるのは大得意にゃから、きっと生きている本物のネズにゃって捕まえられるにゃ。僕は決意を持って夜中の台所に陣取ったにゃ。絶対ネズを捕まえてご主人を喜ばすのにゃ。
夜中の一人遊びタイムにもじっと我慢してネズのやろーが出てくるのを待ったにゃ。にゃけど待てど暮らせどネズは出てこにゃい…。とうとう夜も白み始めて、僕は焦り始めたにゃ。このままネズを捕まえられなかったら、またご主人に冷たくされる…。そんなのイヤにゃ!その時、途方に暮れる僕の前を横切る黒い影。カサカサカサ…。僕はいつもの癖で動くものに反応したにゃ。にゃっ!飛びついて一撃必殺猫パンチ。飛び退いて連続猫パンチ。夢中で逃げる相手を追いかけて、気が付くと相手は動かなくなっていたにゃ。その時になってそれが、ご主人とお母さんが言っていた「太郎さん」だって気が付いたにゃ。しめた!僕は思ったにゃ。こいつならネズの代わりになるにゃ。
僕はいそいそとそいつをくわえて、ご主人のいつも陣取っているクッションの上に置いたにゃ。これで朝、ご主人は僕のプレゼントに一番に気付いてくれるにゃ。きっと大喜びしてくれるにゃ。僕はうきうき気分で一眠り。目が覚めた頃は良いことが待っているにゃ。

黒猫日記30

ふみゃあ。朔太郎にゃ。
僕、今とってもご主人に嫌われているのにゃ。それがもの凄く辛いにゃ。どうしてかって?あの、ね。聞いてくれるかにゃあ?
おうちに来てからもう四ヶ月。僕も生まれてから八ヶ月。人間の年で言うと十五・六歳。思春期まっただ中にゃ。んにゃもんで、猫の雄に特有の現象が起きたんにゃ。そう、マーキング。縄張りや所有権を主張したいものにおしっこをかけて臭い付けしちゃうのにゃ。最初はおうちのお部屋のかどっこに臭い付けしてお母さんにイヤな思いをさせていたにゃよ。お母さんは漂白剤とファブリーズで対応したにゃ。僕も猫の本能だから、ってお母さんに睨まれただけで大目に見てもらえたにゃ。だから、って訳じゃにゃいんだけど、僕は大好きなご主人のお布団にマーキングを始めちゃったんにゃ。にゃって、ご主人に僕の臭いを染み付けて僕だけのものにゃんだって主張したかったんにゃもん。ご主人ったらこの頃しょっちゅう朝も早よからお出かけして夜遅くまで帰ってこないんにゃよ。お仕事だって言うんにゃけど、絶対全部がそうじゃないのは僕にだって分かるにゃ。僕はしっかりご主人を繋ぎ止めておきたくて、他の猫に譲りたくなくって、僕の臭いをつけようとしたんにゃ。でもそれは人
間にはえらい迷惑だったみたい。お母さんとご主人は二人でお布団をお日様に干したりカバーやシーツを洗ったり一日中てんてこ舞いしていたんにゃ。それでも臭い、って、お母さんは消臭剤を持って家中に巻いて歩いてるにゃ。そんなもんにゃから僕は、ご主人に触ってももらえないくらい嫌われちゃったにゃ。もう「お余所の猫になれば、」にゃって。ふみぃ~。ごめんにゃにゃい!悪気はなかったにゃよ!もうしにゃいから許して!
(猫の本能だって事は分かってはいるんですよ。でも、あの臭い、すごすぎる…。いい加減、勘弁して…。by泣きの入っている飼い主)

黒猫日記29

にゃ!朔太郎にゃ。
この頃ご主人が忙しくて僕と遊んでくれないものだから、僕は新しい遊びを開発したのにゃ。
今、おうちでは昼間、誰もいない事が多いから、お洗濯物は基本、部屋干しにゃ。お部屋中、と言うよりもおうちのなか中にお洗濯物、って事になる時も多いにゃ。そうなると僕の遊園地の出来上がり。最初、お洗濯物が大量に落下していたり、シャツのボタンが取れていたり、リボンが千切れていたりするのを不思議に思っていたお母さんが、ある日僕のお遊びに気付いて驚いたんにゃ。
僕はまず棚の上に乗っかるとそこからジャンプして物干し竿の上へ。すごいでしょ?そしてハンガーの上をお散歩して、今度は角ハンガーに移動。そこを左右に移動すると、まるでシーソーみたいにゃんだ。僕が器用にバランスをとっているのを見て、お母さんは感心していたにゃ。その後、角ハンガーに掛けられたお母さんの綿毛布に降りるとそこはミニハンモックに早変わりにゃ。ゆらゆら揺らして上から見下ろす景色は最高にゃ。本当はこのままお昼寝に持ち込みたいところにゃんだけど、遊び盛りの僕は押入に飛び移ってダッシュ。押し入れトンネルを抜けるとそこは積み重ねられたお座布団の上。僕はナイスな着地を決めるにゃ。お母さんはそこで大きな拍手をくれたにゃ。にゃん!
(まったく、人がいない時に何をやっているんだか。このお遊び猫は。まあ、元気なのはいいんだけどね。でも、お気に入りのシャツ、台無しにしたのはさく猫だったんだね。ひどい…。by飼い主)