黒猫日記31

にゃ。朔太郎にゃ。
ご主人に冷たい目で見られている今日この頃。僕は名誉挽回のために必殺プレゼント作戦に出ることにしたにゃ。以前、先輩猫さんがご主人にネズミを捕ってプレゼントした、ってお母さんから聞いたのにゃ。ご主人は悲鳴を上げて喜んだんにゃって。おうちの天井裏でごそごそしているネズを、僕が捕まえたらご主人は間違いなく喜んでくれて、僕をぎゅうしてくれるにゃあ。僕は猫おもちゃのネズを捕まえるのは大得意にゃから、きっと生きている本物のネズにゃって捕まえられるにゃ。僕は決意を持って夜中の台所に陣取ったにゃ。絶対ネズを捕まえてご主人を喜ばすのにゃ。
夜中の一人遊びタイムにもじっと我慢してネズのやろーが出てくるのを待ったにゃ。にゃけど待てど暮らせどネズは出てこにゃい…。とうとう夜も白み始めて、僕は焦り始めたにゃ。このままネズを捕まえられなかったら、またご主人に冷たくされる…。そんなのイヤにゃ!その時、途方に暮れる僕の前を横切る黒い影。カサカサカサ…。僕はいつもの癖で動くものに反応したにゃ。にゃっ!飛びついて一撃必殺猫パンチ。飛び退いて連続猫パンチ。夢中で逃げる相手を追いかけて、気が付くと相手は動かなくなっていたにゃ。その時になってそれが、ご主人とお母さんが言っていた「太郎さん」だって気が付いたにゃ。しめた!僕は思ったにゃ。こいつならネズの代わりになるにゃ。
僕はいそいそとそいつをくわえて、ご主人のいつも陣取っているクッションの上に置いたにゃ。これで朝、ご主人は僕のプレゼントに一番に気付いてくれるにゃ。きっと大喜びしてくれるにゃ。僕はうきうき気分で一眠り。目が覚めた頃は良いことが待っているにゃ。