黒猫日記32

にゃ~。朔太郎にゃ。
暑い日が続いていて、僕も少しバテ気味にゃ。それ以上にご主人のご機嫌がなおらにゃいのが、僕には憂鬱で重大な問題なのにゃ。
僕がプレゼントをクッションの上に置いておいた、とはお話したにゃよね?僕はご主人の反応を楽しみにしにゃがら暫しの睡眠を楽しんでいたにゃ。
「きゃあ!」
絹を裂くような、とは、とても言えない悲鳴が響いたにゃ。同時に、どたばたとお母さんとご主人とが慌ただしく動く気配。僕が眠い目を無理矢理開いて、期待を込めて見に行くと…。
「にゃあ。(ご主人おはよ)」
挨拶しながら入っていった僕に浴びせられたのは、刺すような冷たい視線。思わずご主人の顔を見上げると…。僕は背筋が凍るかと思ったにゃ。知らず知らず後ずさりした僕を追いかけてきたのは空飛ぶラップ。
「にゃっ!」
咄嗟に飛び退いてセーフだったけど、ご主人の殺気はひしひしと伝わってきたにゃ。にゃんで?と、もう一度ご主人の顔を見上げてみると…。ご主人は、ぎろっと僕の顔を睨みつけると、ぷいっと横を向いて、それきり僕を無視しだしたにゃ。何がにゃんだか分からないで、立ち竦んでいる僕に、お母さんが一言。
「そりゃあ、怒るわよ。朝一番に大嫌いなゴキブリをふんずけたら。」
ふぎゃ~!僕のプレゼントはご主人を怒らせただけにゃの?そんにゃあ!僕はご主人を喜ばせたかっただけにゃのに!
そっと見上げた僕の視線を完全に無視して、ご主人はさっさと朝の支度をして出かけていってしまったにゃ。そしてそれっきり僕を構ってくれないのにゃ。にゃ~。僕は、僕はどうしたらいいんにゃ?!完全にご主人に嫌われちゃったかにゃあ…。ぐすん。