黒猫日記217

なあご。朔太郎にゃ。
お母さんが悔しいことに無事に帰ってきて、おうちはまた元通りに戻ったにゃ。
そしてお母さんは、相変わらずご主人のことを独り占めしてくれるにゃ。
僕も姫猫もそれが気にくわない。
好き勝手にご主人をひっ浚っていくの。
にゃから、時々目一杯意地悪をしてやるの。
普段、何もしないでいても痛がっている足をわざとふんずけてやるとか、寝ている時にわざとあたまをふんずけて通ってみたり、トイレに立つ時に足下にすり寄ってみたり。
結構ねちっこい嫌がらせだと自分でも思うにゃよ。
でも、これぐらいやらないと。
そりゃあご主人は、僕達に優しいし、お母さんも抱っこしたり撫でたり美味しいおやつをくれたりもするさ。
にゃから完全無視するのは止めているんにゃ。
嫌がらせで済ませてやっているにゃ。
僕らだってそのへんは弁えているにゃ。
ただ、感情が先に立つ場面が多いのは仕様がないよね。
ある意味、いなくなってくれた方がすっきりするんじゃないか、なんて考えて足下にすり寄ることもあるんにゃ。
けど、いなくなったらご主人が悲しむのも知っているし。
僕達はそんなことを望んじゃいにゃい。
にゃから、いつも「計画」だけで終わる暗殺なんにゃ。
この複雑な思い、ご主人はしっかりと判っているみたいにゃけどね。

黒猫日記216

うにゃん。朔太郎にゃ。
お母さんが入院したきりなもので、僕と姫猫は二匹でご主人争奪戦をやらかしているにゃ。
でも、この頃、気が付くとご主人がいない。
そうにゃの。お母さんの面倒を見に病院に通っているにゃよ。
視力は弱いし、足は血行不良で動かないし、だから歩けないし、透析には通っているしのお母さんは、今度はおっぱいにしこりが見つかったんにゃって。
一時は癌宣告までされちゃって、ご主人も落ち込んでいたけれど、良性だって判って一家で安心していたにゃよ。
だから余計に、今回の切除手術にはご主人も入れ込み方が違うにゃ。
親子の情ってものが凄いものだってことなのかしらね。
にゃから、僕達は寂しく二匹でお留守番にゃの。
でも、ご主人は疲れて帰ってきてもちゃんと僕達をかまってくれるんにゃよ。
代わり番こに抱っこしたり、ぎゅうしてくれたり。
そりゃあ、それだけじや物足りないけど、ご主人の一生懸命な姿を見ていると、あんまり我が儘を言っちゃいけない、と僕は思うんにゃ。
まあ、何もなければぼちぼちお母さんも帰ってくるだろうし、そうしたら少しは僕達の寂しさも癒されるだろうし、もうちょっとの辛抱かしらね。
以外と物わかりの良い僕です。にゃんにゃん。

黒猫日記215

みゃ。朔太郎にゃ。
この頃寒い日が続いているにゃあね。
僕と姫猫はおかげでこたつの住人と化しているにゃ。
義務になっているご主人のお出迎えすらサボって、こたつから抜け出せない日々を送っているんにゃ。
にゃから、夜になってご主人のご用事が一段落すると、僕と姫猫はご主人の機嫌を取るためと温もりを得るために、ご主人の膝のとりっこをしているにゃ。
代わり番こに乗っかったり、片膝に一匹ずつ乗っかってみたり。
ご主人のご機嫌を取り結んでおかないと、余計に寒い思いをする、お布団に入れてもらえないしっぺ返しがくるから、僕達は必死にゃ。
何せ今、僕らに甘いお母さんは入院中だし、全てはご主人のさじ加減一つ。
こうやってみると普段バカにしていたお母さんの存在に意外と価値があったんにゃ、と思うにゃ。
不思議にゃよね。
少し認識を改めにゃいといけないかにゃあ、とつらつら考えている僕にゃ。
でも、あのお母さんに今更おべっかを使う気にはなれないしにゃあ。
まあ、遠分帰ってこないみたいにゃから、帰ってきてから考えても良いか。
それまでは姫猫とご主人の争奪戦にゃ。
負けてなるものか!

黒猫日記214

みゃお。朔太郎にゃ。
このところ寒くなってきたにゃあね。
僕達猫族にはこたつがありがたい季節にゃ。
やっぱりこたつ大好きお父さんが、こたつを使いだしたので、僕達もぬくぬくのおこぼれに与れている今日この頃にゃ。
お母さんがいつも通りにこたつの中に猫ベットを入れておいてくれたので、僕と姫にゃあは入れ替わり立ち替わり猫ベットで寝ているのにゃ。
この間テレビでやっていたけど、猫は輪っかの中に入りたがるんにゃって。
僕達にもその傾向はあるらしくて、まあるいものが大好き。
そりゃあ、一番は猫ベットにゃんだけど、その次がお母さんの円座かにゃあ。
丸くてふわふわしていると、もうそれだけで魅力的。
ついつい惹かれて形に添って丸くなってしまう。
なんでもこの輪っかのことを「猫ホイホイ」っていうみたいにゃけど、テレビではライオンさんも入っていたぐらいだから、猫族共通の魔力を持つものなのかもしれにゃいね。
でも、ほわほわ毛布も大好きにゃし。
う~ん…。やっぱり、丸くてほわほわが良い!ただ丸いだけでも、ただほわほわなだけでもない、丸くてほわほわ!
それが猫の幸福にゃ!
思わず断言してしまう僕なのでした。

黒猫日記213

みゃ。朔太郎にゃ。
姫猫がネズミを捕ったって、一家全員で大騒ぎ。
一躍姫猫はおうちのヒーローになっちゃった。
おかげで僕の株は下がりっぱなし。
「朔はネズミもとれない猫だ。」というレッテルはともかく、姫猫の捕まえたネズミを横取りしようとした、と疑われる始末。
一言言い訳させてもらえるならば、僕はネズミに興味を引かれただけで、姫猫の手柄を横取りしようだなんて考えていなかったんにゃよお。
つい、面白そうな玩具に手を出した、ってだけにゃんだよお。
にゃのに、にゃのに、ご主人のあの冷たすぎる視線は…。
どうせ、どうせ、僕はネズミも穫れない駄目な猫ですよ。
でもそれって、このおうちに貰われてきた時から宣言していたはずにゃもの。今更つべこべ言われても困るだけにゃ。
ほら、昔から言うにゃよ。抱き上げた時、足を縮めるのはネズミを捕る猫。だらんと伸びたままなのはネズミを捕らない猫、なんだって。
だから僕はあんよだらん組だったんだってば。
それなのに、やっぱりご主人は一言の元にこう言うの。「このへたれ!」
にゃんだか割に合わない気がする。
どうしても僕の待遇が悪いような気がする。
僕は確かにへたれかも知れないけど、優しさには自信があるんにゃよ。
まあ、それだけが取り柄と言えるのかも知れないけど。
だから、ご主人。
お願いだから、そう冷たい目で見ないで…。

黒猫日記212

ふにぃ。朔太郎にゃ。
夜更かしで早起きのご主人は、夕方、お昼寝をするのが日課になっているのにゃ。
少しの時間だけど、そうしないと体が保たないんにゃって。
お父さんのお布団を借りてちょっと一休み。
気持ちがすっきりするんにゃって。
僕も一緒にお昼寝したくて、お布団まで行くんにゃ。
そして大好きな腕枕をしてもらうんにゃ。
幸せ…。
でもね、でも、長居ができにゃいの。
一緒にお昼寝ができにゃいの。
何故かって?
あのね、ご主人の左肩には今は亡き白猫れおん君がお守り猫としてしっかりくっついているんにゃ。
そのれおん君が僕に焼き餅を焼くんにゃ。
そしてその見えない前足で猫パンチをくれるんにゃ。
実体のない相手にはどう足掻いてもかなわないのが判っているから、僕はすごすごと退散するしかなくて…。
悲しいにゃあ。
僕もこのおうちに来てから三年。
その間、ずうっとご主人の隣で寝ようと頑張ったのにゃ。
だけど、ことごとくれおん君に阻止されたのにゃ。
デモね、聞いて!姫猫は除外されているの!
れおん君に追い出されることがないの!
酷いよね。にゃんで僕だけ…。
僕だけ目の敵にされているにゃ。
ふにゃあ。相手には最早実体がないからどうしようもないし、これ以上姫猫に敵対心を保つのも男としてどうか、と思うし。
ひたすら落ち込むしかない僕なのでした。にゃあ…。

黒猫日記211

みゃ。朔太郎にゃ。
僕の野生の本能は、去勢されても僕を突き動かすみたい。
どうしても年に三回ほど、押さえ切れない欲求が、僕を襲うのにゃ。
お外からおよその猫さんの鳴き声が聞こえたりするともう駄目にゃ。
無理矢理トイレの扉を開けて、唯一お外に向けていつも開いている窓をめがけてしまう。
さすがにもう落っこちるような真似はしないんにゃけどね。
まあ、足を滑らせれば話は別にゃね。
あとは姫猫のお尻を追いかけ回しちゃう。
お嫁さんにゃからかまわないと思うんにゃけど、ご主人が「みっともない!」にゃって。
それに、「姫を朔のお嫁さんにやった覚えはない!」にゃって。
まあ、それは、成り行きに任せて、ってことで…。
既成事実があればしようがないよね?
でも、そんな僕がいくら迫っても、避妊した姫猫はもう鼻も引っかけてくれないしぃ。
僕の本能は空振りばかり。
ねえ、ちょっとは同情してくれてもいいと思うのは僕だけかしらん。
僕のそういう行動にはご主人、冷たい視線を向けるだけにゃんだ。
まあ、うら若き女性の立場だと嫌がるんだろうなあ。
このままだと僕は、ご主人からも姫猫からも嫌われてしまうのかしら…。
きゃ~!それだけは回避したい僕にゃのです。

黒猫日記210

なあご。朔太郎にゃ。
うちの姫猫はぜえったいマザコンにゃ。
ご主人にほ乳瓶で育てられたからかもしれないけど、いつもご主人にべったり貼り付いているにゃ。
小さい時はずっと肩の上に乗っていたにゃ。
ご主人は肩に姫猫を乗っけたまま移動していたにゃ。
今は重くなったから、さすがに乗っけ放しにはしないみたいだけど、ぴとっとひっつくのは変わりないにゃ。
ご主人もそんな姫猫が可愛いって目を細めているし、お父さんもお母さんも僕より姫猫の方を贔屓にしている気がするにゃ。
まず、毛皮の手触りがよいのが武器かにゃ。
それから余りにもおバカで笑えるとことか。
あと必殺技のごろんしてお腹出しのポーズ。
姫猫がこれをやるとみんなデレデレ…。
ついつい手を出してお腹を撫でてしまうにゃ。
そうやってみんな姫猫をちやほやするから、姫猫は頭に乗ってあんなに我が儘放題にゃんだ!
そうにゃよ。僕は焼き餅を焼いているんにゃよ。
にゃって、みんなして姫猫ばかり構って、僕のことなんか二の次…。
ご主人と一緒に寝たいのに寝てられないし、だんだん僕の立場がなくなるにゃ。
だもんイジケてもいいじゃん!
にゃー!
ご主人を独り占めにしたいにゃ!
それが今、僕の最大の望みにゃ。

黒猫日記209

みゃお。朔太郎にゃ。
お母さんは今まで読めなかった本を夢中で読んでいるにゃよ。
文明の利器というか科学の発達に感謝、という気分らしいにゃ。
これでお母さんのストレスが軽減されて僕らに対する対応が優しくなるのは歓迎するところなのにゃ。
まあ、お母さんが僕らを好きなのは充分に判ってはいるんにゃけど、いかんせんその愛情表現が厳しい。
僕らは可能な限りお母さんに近づかないようにしているくらいにゃ。
そるにお母さんはご主人を独り占めにしちゃうんにゃもん。
なにかというとお外に連れ出して帰ってこないし、ずっと話し込んで僕らを無視してくれるし。
お母さんはろくなことをしない。
僕らからご主人を捕るばかり。
時々、だからお母さんの暗殺計画を企ててしまう僕らを誰が責められようか。
といっても足元をうろつくだけにゃをだけどね。
それで転んで足でも折ってくれたらょご主人は僕らのもの。
なんだか悪巧みをしている僕らなのでした。
こんな僕らは悪い子なのかしら。
にやんにやん。

黒猫日記208

んにゃ。朔太郎にゃ。
お母さんがタブレットに夢中で、僕達をかまわないので、僕と姫猫はいたって平穏な日々を送っているにゃ。
それでも毎日のご主人の取り合いっこは、僕達のコミュニケーション手段にゃんだ。
とはいえ、僕は気は優しくて力持ち。姫猫と本気で喧嘩する訳ないにゃよ。
そうなの。朝晩のご飯の順番だって姫猫に譲っているし、ご主人の腕枕だって譲ってあげているし。
そう、自主的に譲ってあげているにゃ。
決して姫猫の迫力に負けている訳ではないにゃ。
確かに猫パンチの応酬でもにらめっこでも僕は姫猫には勝てない。
それは女の子相手に本気を出すのは男らしくない、と思っているからで、僕だってやる時はやるんにゃ。
「嘘つけ、このへたれ!」と笑うご主人の声が聞こえてきそうにゃけど、僕は全然気にしないにゃ。
僕は男というものはそういうものだと思っているもの。
でも、お母さんやご主人に、面と向かって「へたれ!」と笑われるとちょっと傷つくにゃよ。
まあ、玄関から外に出られないとか、姫猫に怒られるとすぐに引き下がるとか、言い逃れできないことも多々あるんにゃけどね。
でも僕はそれが男らしいと思っているからしょうがないよね。
果たして僕は、ご主人の言う通り「へたれ」なのかにゃあ?
ご主人は僕のそんなところも可愛い、って言ってくれるから、もうそれで良いにゃ。
こんな僕は変にゃんだろうか?
どう思う?