みゃ。朔太郎にゃ。
姫猫がネズミを捕ったって、一家全員で大騒ぎ。
一躍姫猫はおうちのヒーローになっちゃった。
おかげで僕の株は下がりっぱなし。
「朔はネズミもとれない猫だ。」というレッテルはともかく、姫猫の捕まえたネズミを横取りしようとした、と疑われる始末。
一言言い訳させてもらえるならば、僕はネズミに興味を引かれただけで、姫猫の手柄を横取りしようだなんて考えていなかったんにゃよお。
つい、面白そうな玩具に手を出した、ってだけにゃんだよお。
にゃのに、にゃのに、ご主人のあの冷たすぎる視線は…。
どうせ、どうせ、僕はネズミも穫れない駄目な猫ですよ。
でもそれって、このおうちに貰われてきた時から宣言していたはずにゃもの。今更つべこべ言われても困るだけにゃ。
ほら、昔から言うにゃよ。抱き上げた時、足を縮めるのはネズミを捕る猫。だらんと伸びたままなのはネズミを捕らない猫、なんだって。
だから僕はあんよだらん組だったんだってば。
それなのに、やっぱりご主人は一言の元にこう言うの。「このへたれ!」
にゃんだか割に合わない気がする。
どうしても僕の待遇が悪いような気がする。
僕は確かにへたれかも知れないけど、優しさには自信があるんにゃよ。
まあ、それだけが取り柄と言えるのかも知れないけど。
だから、ご主人。
お願いだから、そう冷たい目で見ないで…。