黒猫日記211

みゃ。朔太郎にゃ。
僕の野生の本能は、去勢されても僕を突き動かすみたい。
どうしても年に三回ほど、押さえ切れない欲求が、僕を襲うのにゃ。
お外からおよその猫さんの鳴き声が聞こえたりするともう駄目にゃ。
無理矢理トイレの扉を開けて、唯一お外に向けていつも開いている窓をめがけてしまう。
さすがにもう落っこちるような真似はしないんにゃけどね。
まあ、足を滑らせれば話は別にゃね。
あとは姫猫のお尻を追いかけ回しちゃう。
お嫁さんにゃからかまわないと思うんにゃけど、ご主人が「みっともない!」にゃって。
それに、「姫を朔のお嫁さんにやった覚えはない!」にゃって。
まあ、それは、成り行きに任せて、ってことで…。
既成事実があればしようがないよね?
でも、そんな僕がいくら迫っても、避妊した姫猫はもう鼻も引っかけてくれないしぃ。
僕の本能は空振りばかり。
ねえ、ちょっとは同情してくれてもいいと思うのは僕だけかしらん。
僕のそういう行動にはご主人、冷たい視線を向けるだけにゃんだ。
まあ、うら若き女性の立場だと嫌がるんだろうなあ。
このままだと僕は、ご主人からも姫猫からも嫌われてしまうのかしら…。
きゃ~!それだけは回避したい僕にゃのです。