なあご。朔太郎にゃ。
病気のデパートみたいなお母さんは、一日おきに透析に通っているんにゃけど、なんやかんやで今や、毎日のように病院に通うようになっちゃったんにゃ。
まあ、暖かくなったら足の手術をしよう、って言われたのはあったんにゃけど、それに関連して、透析所でLDLなんてものを週一でやることになったんにゃ。
にゃんだか血液中の悪玉コレステロールを除去するらしいにゃ。
それをすれば、足の血管を詰まらせているものがとれて、うまく行くと手術も必要なくなるんじゃないか、って説明があったにゃ。
十一センチにわたって詰まっている血管が、今更開通するとも思えないんにゃけど、やらないよりはいいんじゃないか、ということらしいにゃ。
僕に言わせるとどこが病気持ちなんだろう、と思うほど元気なお母さんにゃんだよ。
自分でも「多分、殺しても死ななかったりして。」って笑っているくらい。
まあ、そんなお母さんじゃなかったら、きっとうち中が暗くなっちゃっていたんにゃろうにゃあ。
「楽観的に生きているから。」って言いきるお母さんに、ちょっとだけ僕の見方も変わったかも。
でも、もう入院は勘弁して欲しいにゃあ。
ご主人が忙しくなって僕のことを構ってくれなくなっちゃう。
僕にとっては何よりもそのことが大事なんにゃ。
にゃ。お母さんは二の次。
え?それって何か悪い?
黒猫日記127
んにゃ。朔太郎にゃ。
あけましておめでとうにゃ。
きちんとご挨拶しなさい、ってご主人の命令にゃ。
今年も僕は良い猫にゃ。
さて、元旦の朝、いきなりのご主人の悲鳴に僕だけじゃなくお父さんもお母さんも驚いたにゃ。
べそをかきながら入ってきたご主人にお母さんが「何事?」
ご主人は愛用のメガネを差し出し、「壊れた…。」
見ると、メガネがフレーム部分でまっ二つ。
お母さんとお父さん、しばし沈黙。レンズとレンズの間、眉間のところからなんてメガネが壊れるものなのか?
「何やらかしたの?」のお母さんの問いにご主人曰く。「レンズを拭いていただけ…。」
お母さん、そんなご主人に一言。「どこにそんな力を入れてメガネを磨く女がいるの?」
ご主人、「わざとじゃないもん!」
すかさずお父さん、「わざとだったら蹴りが入る。元旦早々に。」
しょげるご主人に追い打ちの言葉。
「まったく、ゴジラ歩きだと思ったらゴジラ力でもあったんか。」
「だから、わざとじゃないもん!」とご主人は必死で言い訳。
すでにお父さんとお母さんは苦笑い。僕はそっぽを向いて聞かにゃいふり。
全くうちのご主人は、時々思いっきりドジにゃんだ。
この時もツイッターを覗きながら寝てしまって、メガネをかけっぱなしにゃったんにゃって。
「フレームに疲労が来たパターンだなあ。」と結局話は落ち着いたんにゃけど、元旦からメガネを作りにつき合わされたお母さんは、今年の運勢を思い切り心配していたにゃあよ。
でも、僕の素朴な疑問。メガネってそんなに簡単に折れるものにゃの?
黒猫日記126
にゃおん。朔太郎にゃ。
世の中、年の瀬にゃんだって。みんな忙しそうにゃ。
ご主人もお母さんも、お掃除だ、買い出しだ、って僕を余り構ってくれないにゃ。
おかげで僕はお父さんと一緒におこたでごろごろ。
これで太るな、ってほうが無理だと思うにゃ。
お父さんだって、今月に入ってからほとんどお休みみたいなものだから、「なんだか下っ腹が出てきた。」にゃんて言っているにゃよ。
まあ、もともと電信柱みたいに細いお父さんだから、多少お腹が出ても良い、ってお母さんは思っているみたい。
でもお父さんは「うちの男たるもの、太ってはいけない。」って言っているんにゃ。
それって、女性だったら良いのかにゃあ?
んにゃ?にゃからお母さんもご主人もふっくらしているのかにゃ?
あ、またご主人が睨んでる。
「ふっくら」はうちでは禁句なのかしらん。
しらんぷりしてそっぽ向いてみる。
「さくにゃあは男の子だよね。太っちゃあいけないんだよ。」
すかさずお母さんが僕のお腹の皮下脂肪を摘みながら言う。
ご主人、それを見てにんまり。
にゃあ。言うに事欠いて「皮下脂肪の量としては、さくにゃあが一番かもよ。」にゃって。
にゃー!そんなことにゃいもん!
にゃんて叫びながらも、五キロ六百になった体重の意味するものは…。にゃー!にゃー!にゃー!
黒猫日記125
みゃ。朔太郎にゃ。
寒くなって、おこたに潜りっぱなしになっている僕を心配して、今日はお母さんが久し振りに猫じゃらしを持ち出したにゃ。
このところ、ご主人が毎日のようにお留守なもので、僕は運動不足と同時にストレスも思いっきり溜まっているんにゃ。
にゃから久々に見た白尻尾の猫じゃらしは特別に魅力的。
にゃー!まずは直っしぐらに突進して猫パンチ。
押さえつけてはぐっ!
それから思わずなめなめして、再び両手で猫キャッチ。
放り投げてから飛び退いて、臨戦態勢を取りながら相手の隙を窺う。
お尻を振り振りして、獲物に飛びつく。
両手で押さえ込むが逃げられる。
ダッシュで追い縋る。
にゃっ!必殺猫ストレート。
やった!ノックアウト!
と思ったら、お母さんが猫じゃらしを落っことしただけにゃった。
お母さんは慌てて猫じゃらしを構えなおして、いざ、第二ラウンドに突入。
お母さんもだてに猫を飼っていない。猫じゃらしの変化技を繰り出してくるにゃ。
おこたの掛け布団のかげから先っぽだけをぴくぴくさせたり、新体操のリボンみたいにくるくる螺旋を描いてみたり。
つられて僕もその場で回転。ふにゃあ。目が回っちゃうにゃ。
でも、これはお母さんとご主人の大好きな技にゃんだよ。
猫ドーナツスピンって呼んでいるくらい。
今回の僕は、体重の増加分だけ体力が持たにゃい…。
あっさりと五回転でギブアップ。
でっかいため息をついてへたり込んだ僕に、お母さんが一言。
「さくにゃあ。ご主人様と一緒にダイエットが必要だね。」
それを聞いていたご主人曰く。
「さくにゃあにかこつけて私まで持ち出さないでよ。」
お母さんは負けていにゃい。僕のお腹を摘みながら、「だってこの皮下脂肪、あなただって負けてないでしょ。」にゃって。
う…。反論できないご主人の、僕に向ける視線が痛い…。
にゃあ。結局、僕の運動不足はご主人のダイエットにすり替わって、ご主人に迷惑をかけちゃったんにゃね。
そんなつもりはなかったんにゃよ。
でも、僕もご主人はもうちょっと痩せた方がもっと可愛いと思うにゃよ。
黒猫日記124
みゃあお。朔太郎にゃ。
やっとご主人はおこたをつくってくれたのにゃ。
やっぱりおこたは猫の天国だと思うのにゃ。
おこたの中に入ってぬくぬくしながらうとうと。
一度やったら止められない、と心から思うにゃ。
そんな僕と同意見なのがお父さんにゃんだ。
「冬場はおこたから一歩も出ないんだから。」というのがそんなお父さんへのご主人とお母さんの意見。
十二月に入るとお仕事もめっきり減って、ほとんどおうちにいるお父さんは「こたつむり」に変身するんにゃって。
これは「こたつ」と「かたつむり」からお母さんが作った言葉にゃんだけど、まるっきりこたつを殻の代わりに背負ったカタツムリみたいに、すべてのことをこたつの中で、こたつを背負ったままでやりたがるから、にゃんだそうな。
おうちの炬燵は結構大きくて、ひょろんと背の高いお父さんでもすっぽり入っていられるんにゃ。
にゃから、寒い夜にゃんか、冷たいお布団に移るのがいやだ、とか言って、そのまま炬燵で寝てしまうんにゃ。
そしてそれは、お父さんの体を心配するお母さんにはとてもして欲しくないことにゃんだ。
僕としては、寒い明け方までぬくぬく出来るから、それは嬉しいことにゃんだけど、お父さんが体を壊してお仕事が出来なくなっては、僕のご飯にも関わってくるにゃ。
お父さんがお仕事をして支払って貰えるお金、と言うものがないと、僕のご飯ばかりか、ご主人のご飯も買えないんにゃって。
それでは、食いしん坊のご主人が可哀想にゃ。
にゃから僕は、お父さんが炬燵で寝ないように見張ろうと思うんにゃ。
え?寝坊助の猫である僕に、そんなことが出来る訳ない、って?んにゃあ。でもご主人のためなら、僕だってかなり頑張れると思うんにゃけと、にゃあ。
黒猫日記123
にゃん。朔太郎にゃ。
僕は普段、「さく」とか「さくにゃあ」とか呼ばれているんにゃ。
でもお父さんは一言「猫」って呼ぶんにゃ。
それはこのうちの伝統らしいんにゃ。
先代猫のれおん君も、先先代のカズヒコ猫もやっぱり「猫」って呼ばれていたんにゃって。
まあ、カズヒコ猫は、最初は「風邪ひき猫」にゃったそうだけど。
にゃんだかお父さんは僕たちの名前を覚えるのが面倒くさいみたい。
「どの猫だって、猫は猫だろう。」っていうのがお父さんの言い分。
「お父さんには一匹一匹の個性が分かっていないのかしらね。」ってお母さんは呆れ顔。
お母さんは学生時代から猫と暮らしていたけど、お父さんはご主人がある程度大きくなってから猫と暮らすようになったから、まだあんまり猫族と親密になるまではいっていないんにゃろうね。
それにお父さんは大概昼間はお仕事に行っていて、猫族と触れ合う時間も少にゃいし。
それにしても、安直だよね。
僕が人間語を話せたとして、父さんに「おい、人間」って呼びかけたら、きっと良い気分にはならないと思うんにゃよ。
でも、僕には人間語は話せないし、お父さんに「おい、人間」なんて呼びかける度胸は皆無だし。
にゃって、結構お父さんは躾には厳しいんにゃ。
テーブルの上に乗っているのが見つかった時には、ラップを片手に追いかけ回すし、遊んでくれている時も、本気で噛みついたり爪を出し過ぎてはいけないんにゃ。
僕は、遊び出すと我を忘れちゃう時があって、そうするとお父さんに首根っこを捕まれて目一杯怒られるにゃ。
にゃから僕は、お父さんと接する時は及び腰。
決してお父さんが嫌いな訳じゃあにゃいんだけど、やっぱり僕の性格かしらね。
美味しいご飯と暖かいお膝は魅力的にゃから、せっせとアピールは欠かせないからにゃあ。
問題はあるけれど、そこはそれ、家族、ってことで、上手に暮らしていけたらいいにゃあ、と思う僕なのでした。にゃんにゃん。
黒猫日記122
みゃあ。朔太郎にゃ。
ご主人は三連チャンでお出かけにゃ。
一時、少し下火になっていた「羞恥心」って奴らを見に行っているみたいにゃ。
まあ、未だに「旦那にするならつるのさんみたいな人が良い。」と言っているくらいにゃから、ある程度は仕方がないのかも知れにゃいけどね。
でも、おかげでお父さんの機嫌が悪いのには、僕も辟易しているんにゃ。
相変わらず「女の子は夜は家に居るもの。」と言う、骨董品じみた固定観念の持ち主にゃから、余計なのかにゃあ。
でも、それよりなにより、ご主人が可愛くて心配だ、っていうのが僕の目にも明らかにゃのがにゃんともいえない。
こういうご時世にゃから、「出歩くな。」とは言えないジレンマにゃんだろうね。
お父さんの年にしてはかなり封建的なお父さんと、お母さんの年の割にはかなりガキっぽいお母さんに挟まれて、うちのご主人は本当に苦労するにゃあ、と思う僕なんにゃ。
あ、誰?独占欲の強すぎる猫にも苦労している、にゃんて言っているのは?
黒猫日記121
にゃおん。朔太郎にゃ。
やっと動けるようになったお母さんは、「おうちより猫が恋しい!」と騒いでご主人を困らせているそうにゃ。
まったく、年甲斐のない人にゃねえ。
まあ、にゃからあんなにいろんな病気になってもメゲずに生きていられるのかも知れないにゃけどね。
でも、おかげでご主人の帰りが遅くて、僕はすんごく寂しいにゃ。
にゃから、ご主人が帰って来ても、少し拗ねたふりして隅っこに隠れてみたりするんにゃ。
でも、忙しいご主人はこれ幸いと家事に勤しんじゃう…。
そう、あまりにやらなくちゃいけないことが山積みになっていて、僕まで手が回らない状態…。
にゃ~。これじゃあまだお母さんがいた方が良いにゃ。
お母さんはご主人を独り占めにしちゃうこともあるけど、お留守番の僕を慰めてくれるし、寒い時は暖房器具にもなってくれるにゃ。
あ、そうか。あれでも結構、役に立っていたんにゃねえ。
分かったにゃ。お母さんはそれなりに存在価値があったんにゃ。
にゃあ。これからは暗殺計画を立てたりしないし、ご主人をハードスケジュールから解き放つためにも、帰ってくることを許してやるにゃ。
にゃから早く帰ってくるにゃ。
はあ…。僕とご主人の幸せな日々よ、カムバック…。
黒猫日記120
んなあ。朔太郎にゃ。
お母さんがお留守だとご主人を独り占めに出来て嬉しいにゃあ。
でも、ずうっと付きまとう僕にご主人曰く「鬱陶しい。」
にゃあ。そんな身も蓋もないこと言わないでよ。
お母さんの方は「さくにゃあの手触りが…。」って泣いているらしい。
ご主人は毎日会いに行っているんにゃ。
携帯は使えないし、動けないし、にゃかにゃか大変らしいんにゃ。
足が動いちゃいけないって、ベットに縛られていたりしたんにゃって。
一人でご飯も食べられなくて、ご主人が「あーん」させてスプーンで食べさせたんにゃって。
それって、僕より十分鬱陶しくない?
ご主人に横目でそう訴えかけてみたんにゃけど、軽くスルーされちゃったにゃ。
やっぱりそこは親子なのかにゃあ。
でも、ご主人の持っているヘルパー資格とやらが、すんごく役に立っているのは間違いないらしいにゃ。
まったく、どーしてそんな不自由な思いをしてまで、お母さんは病院にお泊まりしているんにゃろうなあ。
別に待っている訳じゃにゃいけど、なんとなくいつもいるのが当たり前なお母さんがいないのは、ちょっと寒いにゃあ。
おこたもまだ出てこないから、余計に寒いのかもしれにゃいけど、一人でお留守番する時間が長くなっているせいかもしれにゃいけど、寒さが身に染みるんにゃ。
にゃあ。本当に、お母さんは厄介な存在だにゃあ。
黒猫日記119
なあご。朔太郎にゃ。
十一月のご主人はとても忙しいんにゃ。
「タイ・バニ」とかを見に行ったり、つるのとーちゃんを見に行ったり、即売会に行ったり。
今月、お誕生日で?歳になる女性としてはどうなんだろうね、とはお母さんのご意見。
でも、僕としてはお留守のご主人の帰りを待つのみ…、とは辛すぎるにゃ。
来週はお母さんもお留守になるんにゃって。
にゃあ。ということは、僕がご主人を独り占めに出来る?
そう思ってうきうきしていたら、「余計に忙しくなるなあ。」とはご主人の正直なご意見。
ということは、やっぱり僕は構って貰えない?
にゃー!それならお母さんでもいた方が良いにゃ。
何せ寒い時には暖かい太股にすがりついていられるし、夜更けにはお布団に潜り込めるし。
全く、この寒い季節になってから、人間達は何を好き好んで、寒いお外に出て行くんにゃろうね。
僕には全然理解できないにゃ。
冬には暖かいおこたやエアコンに温もったお部屋の中が一番良いと僕は思うんにゃよ。