にゃん。朔太郎にゃ。
僕は普段、「さく」とか「さくにゃあ」とか呼ばれているんにゃ。
でもお父さんは一言「猫」って呼ぶんにゃ。
それはこのうちの伝統らしいんにゃ。
先代猫のれおん君も、先先代のカズヒコ猫もやっぱり「猫」って呼ばれていたんにゃって。
まあ、カズヒコ猫は、最初は「風邪ひき猫」にゃったそうだけど。
にゃんだかお父さんは僕たちの名前を覚えるのが面倒くさいみたい。
「どの猫だって、猫は猫だろう。」っていうのがお父さんの言い分。
「お父さんには一匹一匹の個性が分かっていないのかしらね。」ってお母さんは呆れ顔。
お母さんは学生時代から猫と暮らしていたけど、お父さんはご主人がある程度大きくなってから猫と暮らすようになったから、まだあんまり猫族と親密になるまではいっていないんにゃろうね。
それにお父さんは大概昼間はお仕事に行っていて、猫族と触れ合う時間も少にゃいし。
それにしても、安直だよね。
僕が人間語を話せたとして、父さんに「おい、人間」って呼びかけたら、きっと良い気分にはならないと思うんにゃよ。
でも、僕には人間語は話せないし、お父さんに「おい、人間」なんて呼びかける度胸は皆無だし。
にゃって、結構お父さんは躾には厳しいんにゃ。
テーブルの上に乗っているのが見つかった時には、ラップを片手に追いかけ回すし、遊んでくれている時も、本気で噛みついたり爪を出し過ぎてはいけないんにゃ。
僕は、遊び出すと我を忘れちゃう時があって、そうするとお父さんに首根っこを捕まれて目一杯怒られるにゃ。
にゃから僕は、お父さんと接する時は及び腰。
決してお父さんが嫌いな訳じゃあにゃいんだけど、やっぱり僕の性格かしらね。
美味しいご飯と暖かいお膝は魅力的にゃから、せっせとアピールは欠かせないからにゃあ。
問題はあるけれど、そこはそれ、家族、ってことで、上手に暮らしていけたらいいにゃあ、と思う僕なのでした。にゃんにゃん。
