黒猫日記138

みゃ。朔太郎にゃ。
にゃんだかお外が騒がしいにゃ。
世の中の野良猫さん達は子孫繁栄のために一生懸命。
早くも春真っ盛りなんにゃね。
僕?僕は既にご主人に去勢手術をさせられた哀れな雄猫にゃ。
雄特有のマーキングがひどくなり過ぎて、ご主人に強制連行されたんにゃ。
人間と暮らす猫にはいろんな制約やルールがあるものにゃから、それは仕方にゃいことにゃ。
それこそご主人と暮らせなくなる方が、僕には辛いことにゃ。
そういえば、僕がこのおうちに来てから、もうすぐ二年になるにゃあね。
去年は姫猫と月猫という飛び入りが乱入して、どうなることかと思ったにゃあ。
あの二人はどうしているんにゃろう?
お外の騒ぎを聞きながら、猫好きの一家は「また子猫が…。」とるんるんしているご様子。
僕としてはあんまり歓迎したくにゃいんにゃけど、こればっかりは阻止しようがにゃいし。
願わくば、僕からご主人の愛情を奪い取ったりしない温和しい子なら良いにゃあ。

黒猫日記137

みぃ。朔太郎にゃ。
昨日はあんなに寒かったのに今日は暑いくらいにゃ。
この頃の温度変化のすごさには、この僕もたじろぐものがあるにゃ。
にゃから病人のお母さんには余計に堪えるらしいにゃ。
お父さんのお仕事が少しづつ始まって、それでも経済的にはかなりきつい状態にゃから、ストレスもかなり積み重なっている、って自分でもボヤいているくらいにゃ。
「へそくりを取り崩さなくちゃいけない、っていうのが一番ツラいかも。」にゃんて冗談めかしてはいるけれど、意外とそれは本心にゃんじゃ、と僕は思っているにゃ。
まあ、お母さんが日頃ちまちま貯めていたおかげで、僕のカリカリや猫パックのグレードが下がることはなかったんにゃけど、お母さんとご主人はお父さんのビールのグレードはしっかり下げちゃったんにゃよ。
お父さんは交渉に負けて渋々承知していたにゃ。
仕様がないよね。男は女子供を養ってこそ、とはお父さんの持論にゃもん。
三ヶ月近くもお仕事がないのは、それでも、お父さんとお母さんが一緒になってからは初めてにゃんだって。
「貧乏には慣れちゃっているからねえ。」とはお母さんの言葉。
にゃあ。ある意味、よくこんな生活に耐え続けたものにゃ、と僕はお母さんを見る目がちょっとだけ変わった気がするんにゃ。

黒猫日記136

にぃ~。朔太郎にゃ。
ご主人はお母さんにクレーンゲームで、「にゃんこ先生」のぬいぐるみを取って来たんにゃよ。
猫好きのお母さんは大喜び。
ぬいぐるみをぎゅうってしてにこにこ。
それだけならにゃにも問題はにゃいんだけど、そうは問屋は卸してくれにゃい。
お母さんは僕の顔を見て「さくにゃあはぎゅうさせてくれないからねえ。」って苦笑い。
それを聞いてご主人も「そうだねえ。もっと抱っこ好きの猫ならすんごく可愛いのにねえ。」にゃって。
ふん。余計なお世話にゃ。僕は独立独歩の猫にゃんだい。
全く、うちの連中はアニメ好きばっかり揃っているんにゃよ。
特にご主人は、今、「タイ・バニ」にはまりきっていて、昨日もお友達とナンジャタウンに行ってきたんにゃよ。
それだけじゃないにゃ。
ペプシ・ネクストって飲み物におまけが付く、って知ってから、あちこち駆け回って買いまくっているんにゃ。
呆れちゃうにゃあ。
十二種類のおまけのうち八種類を集めてにまあ。
僕のことを放って置いていったい何をしているやら。
人間の行動って不可解にゃね。
あんなにシュワシュワする飲み物を買い込んでいったいどーするんにゃろうね。
にゃんだか年と共に僕はだんだんシビアな猫になってきたような気がするにゃあ…。

黒猫日記135

うにゃん。朔太郎にゃ。
やっと春の兆しが見えてきたにゃあね。
お母さんの足が痛むので、この頃、お出かけ好きのお母さんとご主人は、遠出が出来なくて残念がっているんにゃ。
にゃんでもお母さんの足の血管が詰まっちゃっていて、放っておくと足が腐っちゃうらしい、ってことにゃ。
僕にだって結構大変そうだ、と思えるんにゃけど、当人は割とあっさりとしたものにゃ。
まあ、手術すればかなり改善するのが解っているかららしいんにゃけど、どういう神経しているんにゃろうね、あの人。
ご主人にも時々不可解に思えるらしくて、僕に「おかあはわからん。」て、こぼすこともあるんにゃよ。
でも普段は親子というより姉妹みたいだ、と言われているにゃ。
にゃ。それほど仲が良い、という訳にゃんだろうね。
僕には、そうやってお母さんにひっついて面倒を見ているご主人が、時々恨めしいんにゃよ。
僕の方が絶対、お母さんより構って欲しい、と思っていると確信しているからにゃ。
僕がそう主張するとご主人は、「さくにゃあを構っていても何の得にもならないけど、おかあだとおいしいんだよ。」って、真面目な顔をして言うんにゃ。
んにゃ~。ご主人の性格上、決してそれが本心だとは思えないんにゃけど、だとしたら僕はお母さんに負けているってこと?
にゃー!にゃー!う~、かなりショックかも…。

黒猫日記134

みゃ。朔太郎にゃ。
お父さんのお仕事がないと、お母さんとご主人にストレスが溜まるらしいにゃ。
毎日、三度のご飯を整えるのもそうだけど、粗大ゴミ化、んにゃ、ゾンビと化しているお父さんの処置に困っちゃうらしいにゃ。
その気持ちは僕にも解る気がするにゃよ。
にゃって、お父さんたら、本当に腐っちゃうんにゃもん。
まあ、ものの例えにゃんだけど、精神的には完全に腐っているとしか思えないんにゃ。
にゃから、ご主人が買ってきてくれた新しい猫じゃらしは、僕とご主人と両方のストレス解消に役立っているんにゃよ。
別名を猫じゃらし、と呼ばれている牧草の一種に良く似たそれは、猫の本能に訴えかけてくるんにゃ。
にゃんだか「おいで、おいで」をしているみたいに動くから、つい、飛びついちゃう。
僕の行動にご主人が乗ってきて、結構激しいお遊びになるんにゃ。
ご主人は僕にぐるぐる回りをさせるのが大好きなんにゃ。
一生懸命に猫じゃらしを追いかける僕が、何回転するかを数えて喜んでいるにゃよ。
にゃあ、何にせよ、ご主人が笑顔でいてくれるのが僕の望みでもあるのにゃから、僕に異存はないのにゃ。
でも、早いとこお父さんにお仕事がきて欲しいにゃ。
そうじゃないと、僕のご飯にも影響が出そうな今日この頃なんにゃもの。

黒猫日記133

なあお。朔太郎にゃ。
ご主人は今日もお出かけにゃ。
僕は寂しくお見送り。
玄関で追っかけ鳴きをしていたら、お母さんに同情されたにゃ。
どうやら、追っかけ鳴きは、先輩猫さんからの伝統のようになっているみたい。
「ご主人様は、慣れっこになっているからねえ。さくにゃあが少しぐらい鳴いたって待ってはくれないよねえ。」とはお母さんの言葉。
「でもさくにゃあは、お出迎えしながらお説教はしないから良いよ。」とはご主人の感想。
「れおん君には、待ちかまえていてお説教されたから。完全に、保護者気分じゃなかったのかなあ。」
そうなんにゃあ。れおん猫さんは偉かったんにゃね。
僕はまだ、そこまでご主人に言えないもんにゃあ。
僕が言えるのは「一緒に寝ようよ。」と「置いて行っちゃやだ。」ぐらいにゃんだ。
僕はまだ、人間さんに訴えかけるのを潔しとはしていない、孤高の精神を持つ猫にゃんだ。
にゃから、ご飯が欲しくても滅多に催促しないし、寂しくて構って欲しくても見つめるだけしかにゃいんだ。
そんな僕の様子を見ていて、お母さんは、「さくにゃあ、それは痩せ我慢とか、意地っ張りとか言うんだよ。素直になった方が得だと思うよ。」って忠告してくれたんにゃけど、僕の性格のせいかにゃあ。にゃかにゃか治らないんにゃ。
確かに、「ご飯、食べる?」って聞かれた時に直ぐに答えられたら、もっとおいしいのかも知れないなあ。
ん~。今日のお刺身、おいしそうにゃし。

黒猫日記132

んなあ。朔太郎にゃ。
寒いねえ、が挨拶に成り代わっている気がしていにゃい?
確かにものすごく寒いけどね。
でも、おうちでは節電と省エネと緊縮財政で、エアコンを夜にならないとつけないようにしているにゃあよ。
朝は、お母さんの血圧のためにどうしても必要だから仕様がない、とかで、節約のためにはそれしかないんにゃって。
お父さんのお仕事が去年の十二月からほとんどないのが原因らしいにゃ。
そういえば確かに、気が付くとお父さんがおこたに入ってぼうっとしているにゃあね。
お父さんにはパチンコ以外の趣味はないみたいで、日がな一日炬燵でごろごろしているにゃあ。
お母さんはそんなお父さんを表して「縦のものを横にもしない。」にゃって。
そんなお父さんにゃから、電気を消費しても節約なんかしにゃいし、外出すらしないんにゃ。
僕にすら、にゃんだか『生きた粗大ゴミ』に見えてくるから不思議…。
「男は稼いでなんぼ」という価値観を持つ我が家の女性陣に対するお父さんは、さぞや肩身が狭いんじゃあにゃいかなあ、と思う僕にゃのです。
でも、しっかり節約しないと僕のご飯も節約の対象にされちゃうんにゃよ。
悪いけど、お父さんに矢面に立って貰った方がいいよね?
僕としては寒いのは炬燵に潜って凌げばいいし。
何にしろ、お父さんにお仕事がくれば、全ては丸く収まるんにゃけど、僕が招き猫をやるしかないかにゃあ。

黒猫日記131

にゃあお。朔太郎にゃ。
この間は雪とか言うものがお空から落ちてきてびっくりしたにゃ。
そんな僕をご主人たらお外に連れ出して、積もった雪の上に降ろそうとするんにゃよ。
全く猫を何だと思っているんにゃろうね。
「白と黒の対比が面白いでしょ。」にゃんて言うんにゃよ。
まあ、確かに白い雪をバックに黒い僕、しかもまん丸目ん目、っていうのは我ながら絵になるかな、とは思うんにゃけど。
え?自意識過剰にゃって?
猫はナルシストなものなんにゃよ。
プライドも高いしね。
あ、ご主人が笑っている。
「さくにゃあにはそんなこと言う資格があるとは思えない。」にゃって。
「内弁慶で小心者だもんねえ。」とはお母さんのご意見。
にゃあ。何とでも言ってくれ。
僕はれっきとした猫にゃんだし、僕には僕の意見があっても然るべきだと思うんよ。
んにゃあ。まだご主人が笑っている。
僕がまともなことを言っているのがそんなにおかしいのかにゃあ。
箸が転がってもおかしいお年頃はもう過ぎているんじゃあなかったのかにゃあ、ご主人?

黒猫日記130

にゃん。朔太郎にゃ。
ほぼ毎日病院通いするようになったお母さんは、体力を使い果たしてしまっているようで、夜もすぐ寝てしまうんにゃよ。
おかげでご主人がお父さんの面倒まで見なくちゃいけなくなって、僕と遊んでいる暇がなくなっているんにゃ。
毎年恒例のこととは言え、お父さんのお仕事がほとんどない、というのもあって、女性陣は結構お父さんを持て余し気味なんにゃよ。
好き嫌いの激しいお父さんに三食用意しなくちゃいけないというプレッシャーは相当なものらしいにゃ。
ご主人のストレスは最高潮に達しかけているみたい。
げっそりしつつも投げ出したくなっている感じ。
まあ、お母さんはよくこんな生活を三十年以上続けられたものだ、って呆れ果てながら感心している現状が伝わってくるにゃ。
でも、相手がお父さんじゃあ、仕方ないよね。
せいぜい、配偶者はあんなに我が儘なのは絶対に選ばない、って心に決めるのが精一杯のご主人なのでした。にゃんにゃん。
ん?配偶者って何?

黒猫日記129

みゃ。朔太郎にゃ。
このところあんまり寒いので、お母さんとご主人は、僕にペット用ベットを買ってくれたんにゃよ。
みんなが寝てしまうと僕は、暖房の全くないお部屋の炬燵の中でじっとしているしかないのにゃ。
それが耐え難いと、お母さんのお布団に這い込むんにゃけど、お母さんは早起きにゃから、暖まる暇もないのにゃ。
にゃから、温もりの残る炬燵の中にベットを設置して貰って、そこを冬場の僕の寝床にしてくれたんにゃ。
おかげで僕は、お母さんが起き出してエアコンがお部屋を暖めてくれるまで、ベットでぬくぬくしていられるようになったにゃよ。
やっぱり原則的には誰にも頼りなくない僕にゃから、そうやって自分だけでいられるのは気が楽にゃんだ。
でも、ご主人もお母さんも猫はだっこされるものだ、つていう考えの持ち主で、やたらと僕を抱っこしたがるんにゃよ。
どうやら先輩猫のれおん君が、抱っこ大好き猫だったみたい。
二人して抱っこの嫌いな僕を責めるんにゃ。
僕にとっては至極迷惑な話にゃ。
猫にだっていろんな個性があるにゃあよ。
でもそんな僕の主張はあっさり無視されてしまうんにゃ。くすん。