黒猫日記202

みゃ。朔太郎にゃ。
ご主人はほ乳瓶から育てた姫にゃあが可愛くってしようがないみたい。
姫にゃあがいたずらをしても滅多に叱ったりしないし。
円らな瞳で見つめられると、お顔がにまあ、としてるし。
お風呂を覗きに行かれても、僕の時だと怒るのに姫にゃあだと怒らないで、する事を見ているだけにゃ。
だからと言っちゃあにゃんだけど、姫にゃあったらお風呂場に行くと三度に一度は風呂桶に落っこちているにゃあよ。
毎回、風呂桶の縁に乗っかってつるりといくらしいにゃ。
ご主人もこの頃はそんな姫にゃあにも慣れたみたいで、慌てず騒がず姫にゃあを掬い上げるとタオルでゴシゴシ。
姫にゃあは半分濡れたまま引き上げてくるにゃ。
に、しても、姫にゃあは全然懲りないから不思議にゃよ。
僕にゃんかお湯をかけられそうになっただけで逃げ出すのににゃ。
にゃんだか落っこちるのを楽しみにしているみたいにゃ。
まあ、猫は普通、水を怖がるけど、姫にゃあは違うのかもしれにゃいね。
僕に言わせれば、怒らないご主人が助長させている気はするんにゃけどね。
僕としては、ご主人とお風呂に入るのは良いけど、溺れないようにね、ってことかにゃ。
あ、結局、僕もご主人のことは言えないほど、姫にゃあが可愛いのかしらね。にゃんにゃん。

黒猫日記201

にゃ。朔太郎にゃ。
この頃、うちの姫にゃあが、やたらとご主人の後追いをするんにゃあよ。
トイレに入っていてもトイレの前でナゴナゴ。
お買い物に出掛ける時もナゴナゴ。
お風呂に入る時も扉の前でナゴナゴ。
とうとう根負けしたご主人は、お風呂に一緒に入る羽目になっちゃったのにゃ。
とは言え、風呂桶に一緒に浸かる訳じゃなくて、洗い場をうろうろしてご主人を観察しているんにゃけどね。
そして風呂桶の縁に立つと、中のお湯を飲んじゃうにゃ。
これってうちの猫の伝統行動なのかしらね、とご主人は首を傾げるんにゃ。
なぜなら先代の白猫れおん君がそうだったんにゃって。
どこの猫もお風呂のお湯を飲むのか知りたい、って言っているにゃよ。
そうやっているうちに、姫にゃあはとうとうやらかしたにゃよ。
そう、バシャン!って風呂桶の中に落ちたの。
慌てた姫にゃあはご主人の胸に二本の爪痕を残して脱出。
お腹を濡らしただけで済んだんにゃ。
全く、お騒がせにゃんこなんだから、とご主人は苦笑しているにゃ。
本当だね。溺れたら大変だったもの。
でも、それで懲りたかと思いきりゃあ、全然そんなことはなくて、相変わらずご主人のお風呂について行っているの。
流石に風呂桶の細い方の縁には乗らなくなったんにゃけどね。
ご主人はまた落っこちないか見張らなくちゃいけなくて、のんびりお風呂に入っていられなくなっちゃったにゃ。
かとはいえ、閉め出すとずうっと鳴いているから仕方ない、って状態。
本当、困った姫にゃあにゃんです。

姫猫日記4

なあご。兄姫(えひめ)にゃ。
おうちの人達はかなりアニメ好きで、今、結構はまっているのが『弱虫ペダル』ってアニメにゃの。
その中に出てくる劇中アニメのアニメソングの「ひ~めひめ、ひめひめひめ」がご主人とお母さんの大のお気に入りにゃの。
あたちのテーマソングみたいにしていて、あたちを呼ぶ時に使うんにゃ。
別にアニメの主人公が気に入った訳じゃなく、その劇中アニメが気に入った、っていうのが取っ掛かりにゃの。
まあ、一家そろってアニオタにゃから仕方にゃいかにゃ。
あと、『銀ぎつね』ってアニメもお気に入りみたい。
「みかん」って言うと「DVD」って返して「みかん」で「ブルーレイ」、最後の「みかん」で「食べたい!」。
この掛け合いが我が家では流行っているんにゃ。
アニメのきつねさんは本当に好きみたい。
他にも式神で可愛いきつねさんが出てくるのにきゃあきゃあ言っているにやよ。
耳とほわほわ尻尾がたまらないんにゃって。
にゃからおうちには猫が二匹もいるんにゃね。
冬場は静電気が辛いけど、毛皮の手触りがよい、ってあたちの毛皮がお気に入りだし。
まあ、なで回されているのが嫌いじゃにゃいから良いかなあ。にゃあご。

姫猫日記3

にゃ。兄姫(えひめ)にゃ。
ご主人はあたちのことを「姫ちゃん」って呼ぶにゃ。
朔太郎おいちゃんは「さく」って短く呼ばれるにゃあよ。
やっぱりあたちは別格なのよね。
でもね、お父さんに言わせるとさくおいちゃんは「くろ」で、あたちは「ちび」にゃの。
お父さんたら、いくら言っても、名前を覚えてくれにゃいの。
それで、見たまんまに「くろ」と「ちび」。
これってあんまりにゃと思わにゃい?
さくおいちゃんはおパンツはいているだけで、上から見ると黒いから「くろ」でも許されるかもしれにゃいけど、あたちはもう避妊も済ませた立派な大人、レディーにゃよ。
体重だって四・四キロもあるんにゃよ。
「ちび」なんて失礼にゃと思わにゃい?
お父さんには微妙な乙女心なんか判らにゃいのね。
ご主人はそれがお父さんだ、と笑うんにゃけど、あたちは納得がいかにゃい。
デリカシーがないと思うんにゃ。
と言うよりも、想像力の欠如、にゃのかしらん。
ご主人とお母さんはお父さんと違う世界で生きているみたいな時があるにゃ。
って、あたち達の考えていることが判るみたいにゃんだもの。
でもお父さんは違うんにゃ。
にゃから時々面倒くさいにゃ。
本当、困ったお父さんなんにゃよ。
でも、あたち達のこと、可愛がってくれるから、まだ許せるかにゃ。
にゃよにゃん。

黒猫日記200

にゃおん。朔太郎にゃ。
なゃー!おうちにこたつができたにゃよ!
やったね。これでもう寒い思いをしなくてすむにゃ。
思えば、去年から今年にかけての冬は寒かったにゃあ。
お父さんが足をつっこんでいる電気毛布とエアコンだけにゃんだもの。
勿論、エアコンは利いてるんにゃよ。
でも、猫族は寒がり、って決まっているんにゃ。
いくら電気毛布の上に乗っけて貰っていても、寒くってたまらにゃい。
お母さんの調子が悪かったから、こたつを出す暇もなかったし、お掃除が面倒になる、っていう理由からこたつを出さなかった、なんて結局は人間の身勝手だと思うにゃよ。
にゃって、冬のこたつは猫の天国にゃもの。
それに、今回はご主人がこたつの中に猫ベットを入れてくれたのにゃ。
これで夜中、電気が切れても暖かく眠れるんにゃ。
ご主人は流石に僕たちの気持ちを判ってくれているんにゃね。
これで僕たちの冬支度もできたし、今年は良い冬になりそうにゃよ。
にゃんにゃん。

姫猫日記2

にゃあ。兄姫(えひめ)にゃ。普段は姫にゃあと呼ばれているにゃ。
あのね、おうちの猫達には何かしら芸をしなくてはいけない、というしきたりがあるらしく、あたちにも何か覚えさせようとお父さんとお母さんが一生懸命になっているにゃあよ。
まずは伝統芸の「お手」。
代々の猫はちゃんと出来たんだって。犬じゃなく猫なのにね。
ちなみに朔太郎おいちゃんも出来るんにゃよ。
でもあたちには結構難しいの。
物覚えは性格にもよるらしいんにゃけど、あたちは猫らしい猫にゃから、みたいよ。
あっけらかんとして日和見主義で利己主義。
おうちに来た猫達の中では一番のおばかさん、ってご主人は言っているにゃ。
でも、ばかな子ほど可愛い、とも言っているにゃあよ。
うん、ご主人はあたちの事が可愛くて仕様がないんにゃって。
にゃから甘やかして、、芸一つしないばか猫になるんだ、ってお父さんにイヤミを言われているにゃ。
いいじゃんねえ。甘えていても。それでご主人が喜ぶんにゃもの。
ほ乳瓶で育てて貰ったあたちにゃ。
ご主人は母親みたいなものにゃもの。
お風呂やトイレに行って姿が見えなくなると探すし、お外に出掛ける時は追いかけ鳴きをするし。
困ったちゃんだね、とはご主人のお言葉。
でも、決して嫌そうじゃないもん。あたちはにゃからこのままで良いんにゃよね。
うん、ご主人が良いのにゃから、「お手」が出来なくてもかまわにゃい、と居直っているのかもしれにゃい。
まあ、良いか。

黒猫日記199

みゃおん。朔太郎にゃ。
寒くなってきたにゃあね。
ご主人達は今年はあの暖かいこたつを出すつもりらしいにゃ。
僕としては楽しみな限りなんにゃ。
やっぱり冬はこたつにゃよね。
猫族にとってはこたつは天国にゃんだよ。
人間の歌には「猫はこたつで丸くなる」ってあるけど、あれは嘘だよ。
僕ら猫は、こたつに入ると長く伸びるんにゃ。
下手をするとこたついっぱいになるぐらい。
それを見たご主人はいつも呆れているにゃよ。
まあ、去年はお母さんが長期入院したりしたから、こたつの準備が出来なくて、お父さんはちゃぶ台の下で電気毛布を使っていたんにゃ。
勿論エアコンは付いているんにゃけどね。
にゃんだか足腰が寒いんにゃって。
うち中でこたつがなくて寂しいのはお父さんと僕たちにゃんだ。
ご主人とお母さんはなくても平気なの。
かえって掃除が楽だからない方が良いみたい。
でも今年は出してくれるんにゃ。
にゃあ。待ち遠しいにゃあ。

黒猫日記198

んなあ。朔太郎にゃ。
ご主人が忙しくて、お母さんの調子が余り良くないと、おうちではお寿司を出前して貰うんにゃ。
お父さんの分だけの場合が多いんにゃ。
そうなると好き嫌いの多いお父さんのこと、僕たちにもおこぼれが貰えるんにゃ。
お寿司は好物らしいけど、イクラに穴子、甘エビに赤貝、白身にホタテ貝とトリガイ、雲丹なんて物を食べないんにゃよ。信じられる?
お寿司屋さんにとっては敵みたいなものだよね。
僕たちはそれらを食べさせて貰うんにゃ。
ある意味、猫の好物ばかりにゃもん。僕たちはがっついて美味しくいただくにゃ。
にゃもんだから、お寿司の出前が届くと、僕たち二匹はお父さんのお膝の横に一列に並んでスタンバイ体制を取るにゃ。
お寿司は匂いで一発で判るからね。
故に、二人前のお寿司は大概、シャリばかりが残る有様になるんにゃ。
おにぎりがころころ。
ちょっとみっとも良くないと思うんにゃよ。
でも、手つかずのお寿司をそのまま捨てるよりはいいか、と考えてくれているみたい。
おかげで僕たちはお腹いっぱい。
おいしい物でお腹をいっぱいになれるなんて幸せこの上ないことだと思わない?
僕たちは最上級の幸福感に包まれて、ご主人のお布団で眠るのでした。にゃんにゃん。

黒猫日記197

みゃう。朔太郎にゃ。
うちの姫にゃあはこの頃とみにまあるくなったようにゃ。
お尻がぽってりとして、振り振りしながら歩くのにゃ。
モンローウォークみたい、ってご主人が笑うにゃ。
小さくなった尻尾がアクセントにゃ。可愛いんにゃ。
そして姫にゃあは、しょっちゅうご主人を舐めて、困らせているのにゃ。
特に顔とか口元とかを舐めたがるみたい。
ざらざらの舌が痛いってご主人は悲鳴を上げるにゃ。
でも、毛繕いは親愛の情の表現。拒否をすれば姫にゃあの方が傷つくから、ご主人はある程度我慢しているんにゃよ。えらいねえ。
という具合に、結構姫にゃあは甘やかされて過ごしているにゃ。
ご主人がほ乳瓶で育てた、という点だけでも僕の方が不利なのに。
なんだかご主人も姫にゃあの方が余計に可愛いみたい。
でも、こうやってボヤいている僕が一番、姫にゃあのことが大好きで可愛い、と思っているんだから仕方ないよね。
はい、僕が一番、姫にゃあに甘いです。にゃあ。

黒猫日記196

んにゃあ。朔太郎にゃ。
家出が原因で拗れていた姫にゃあとの仲も、なんとか修復できたみたい。
やっと姫にゃあと寄り添って寝かせてもらえるようになったのにゃ。
前のようにご主人の腕枕の取り合いをしながらにゃ。
ご主人の右腕は僕が死守するんにゃ。
にゃから姫にゃあはご主人の胸かお腹、下手をすれば足元で眠るんにゃ。
そうなるとご主人は寝返りも打てなくて大変。
寝ていて疲れる、って現象が起きるんにゃ。
ある意味、猫に埋もれて寝ている訳。
猫アレルギーを持っているご主人。
朝、起きてからがまた大変。
くしゃみと鼻水がとまらない。
猫好きの猫アレルギーの、これが悲しい運命にゃんだね。
人間て、なんて不便なんだろうね。
まあ、僕たちが近づかねばいいんだろうけど、ご主人のことが大好きな僕たちにゃんだもん。
すぐに取り合いになっても譲り合いには決してならないし。
やっぱりこれじゃあ猫アレルギーは改善しっこないよね。
ごめんね、ご主人。
猫は我が儘なものだと思って勘弁してね。