にゃあ。兄姫(えひめ)にゃ。普段は姫にゃあと呼ばれているにゃ。
あのね、おうちの猫達には何かしら芸をしなくてはいけない、というしきたりがあるらしく、あたちにも何か覚えさせようとお父さんとお母さんが一生懸命になっているにゃあよ。
まずは伝統芸の「お手」。
代々の猫はちゃんと出来たんだって。犬じゃなく猫なのにね。
ちなみに朔太郎おいちゃんも出来るんにゃよ。
でもあたちには結構難しいの。
物覚えは性格にもよるらしいんにゃけど、あたちは猫らしい猫にゃから、みたいよ。
あっけらかんとして日和見主義で利己主義。
おうちに来た猫達の中では一番のおばかさん、ってご主人は言っているにゃ。
でも、ばかな子ほど可愛い、とも言っているにゃあよ。
うん、ご主人はあたちの事が可愛くて仕様がないんにゃって。
にゃから甘やかして、、芸一つしないばか猫になるんだ、ってお父さんにイヤミを言われているにゃ。
いいじゃんねえ。甘えていても。それでご主人が喜ぶんにゃもの。
ほ乳瓶で育てて貰ったあたちにゃ。
ご主人は母親みたいなものにゃもの。
お風呂やトイレに行って姿が見えなくなると探すし、お外に出掛ける時は追いかけ鳴きをするし。
困ったちゃんだね、とはご主人のお言葉。
でも、決して嫌そうじゃないもん。あたちはにゃからこのままで良いんにゃよね。
うん、ご主人が良いのにゃから、「お手」が出来なくてもかまわにゃい、と居直っているのかもしれにゃい。
まあ、良いか。