ふにゃあ。朔太郎にゃ。
春にゃね。僕は眠くてたまらないにゃあよ。
でも、そんな僕よりもっとお寝坊さんなのがご主人なんにゃ。
いつもお母さんがいくら起こしても返事だけでなかなか起きてこないんにゃ。
お母さんも呆れ果てて、とうとう僕に「さくにゃあ、起こしてきて。」にゃって。
僕も早くご主人に遊んで欲しいから、ご主人のお布団に行ってとんとんしてみるんにゃけど、まるでダメ。
んにゃあ、と踏み台にして出窓に飛び乗ってみるんにゃけど、これもダメ。寝返りは打つんだけど全然起きてくれにゃい。
ふにゃ~、と僕は途方に暮れたにゃ。
さっさと起きてくれにゃいと、また慌ててコケるんにゃよね。時間が迫ると凄くおっちょこちょいになるにゃ、ご主人って。
にゃんて思いにゃがら出窓に佇んでいると、朝のお日様が気持ちいいにゃ。
にゃ~、ってのびのびしたらつい足が滑ったにゃ。
うにゃ!猫も引力には勝てなかったにゃ。
どすん!と落っこちたのは丁度ご主人のお腹の上。
おかげで僕に怪我はなかったんにゃけど、ご主人は「ぐえっ!」って車にひかれた蛙みたいな声を上げたにゃ。
いや~な予感を覚えた僕は、ちゃっちゃとお母さんの待つ居間へ。
そこへぬぼーっと現れたご主人。
お母さんが一言。
「なあに?まるでゾンビみたい。」
お父さんがそれに乗っかった。
「それって、ゾンビですか?」
そこで三人顔を見合わせて大笑いにゃ。
それはお父さんが今ハマっているアニメのタイトル。何かって言うと出てくるんにゃ。
ご主人はお腹をさすりながら「変なとこで笑わせないでよ。さくにゃあがお腹に落ちてきて物凄く痛かったんだから。」
「あら、さくにゃあったら実力行使したのね。」
お母さんは僕を撫で撫で。
ご主人は僕を睨みつけて、「さくにゃあ、覚えてなさいよ。」
僕は思わず耳をぺたんとして、こたつの中に逃げ込んだのでした。にゃんにゃん。
う~、後が怖いにゃ~。
黒猫日記77
にゃん。朔太郎にゃ。
お母さんったら、透析のベットの上で暇に任せて僕の替え歌を作ったんにゃって。
え?聞いてみたい?物好きにゃね。にゃったら自分で歌ってみて。
「めだかのきょうだい」のメロディで。
黒猫さくたろうは考えた
大きくなったら何になる?
大きくなったら黒豹に
大きくなったら化け猫に
にゃんにゃん食欲育ち盛り
にゃんにゃん食欲大魔猫
そして大きくなったら
見事な猫だるま
にゃんにゃん
ふみぃ~。ひどいよ~。
ご主人は笑いこけているし。
いくら暇だからと言って、お母さん、もうちょっと他のことを考えようよ…。
黒猫日記76
みゃ。朔太郎にゃ。
やっとこの辺りでは余震も落ち着いてきたみたいにゃ。
地震は嫌いにゃ。
そういえば、お母さんが楽しみにしていた水仙の花が咲いたにゃ。
可愛らしい黄色い花が14個。
僕もその匂いを嗅がしてもらったんにゃ。春の匂い。素敵にゃね。
でも、ね。そのお花を根本から切り取って持って行った人がいるんにゃよ。
次の日には侘びしく葉っぱだけになった水仙を見て、僕も悲しくなったんにゃ。
道路に面したプランターに植えられたお花。
通り過ぎる人々の目を楽しませて和ませる。
お母さんは春のお花が大好きなんにゃって。厳しい冬を生き抜いて、春が来たことを知らせてくれるから、にゃんだって。
だからみんなにお花を楽しんで欲しい、と思っていたのに、ね。
皆さん、きれいな物を自分だけの物にしたい気持ちはわかるけど、お花は眺めて楽しむものにゃ。
そしてみんなで「きれいだね。」って笑い合えば、みんな幸せになれるにゃよ。
こんな時期にゃから余計に、心だけでも温かくなりたいじゃにゃい?
僕も人間には優しくいて欲しいにゃ。
黒猫日記75
にゃお。朔太郎にゃ。
夕べ、みんなでご飯を食べていたら、なんだか変な気配を感じたんにゃ。
思わず気配のする方へ走って、じいっと見つめていたにゃ。
僕のそんな行動は初めてにゃったから、みんなびっくりして僕のことを見ていたにゃ。
でも僕はそんなことに構っていられにゃい。
ひたすら天井の隅と睨めっこ。
そして、天井に上ろうと柱を駆け上る始末。
終いには天井に向けて「にゃあ!にゃあ!」
それを見てお父さん曰く。「何かいるのかな?お化けか?」
お母さん。「私には何も見えないけど。」
お母さんは見える人なんにゃ。
「近くで葬式でもあるんじゃない?このうちは通り道だから。」
そうなんにゃ。このおうちはちょっと変わったおうちなんにゃ。
だけど僕の行動には別の意味があったんにゃ。
突然、がたがたがたん!天井裏を疾走する足音。
僕も足音を追って疾走。
みんなの視線も後を追う。
「…ねずみ…。」と、ご主人。
「地震で余所から逃げて来たのが住み着いたかな。」と、お父さん。
「ねずみが住んでいる家は潰れない、って言うからこの家ももう暫くは保つか。」
そこでみんな笑い声。
でも僕はそんなの聞いていにゃい。
ひたすら天井と睨めっこ。でもあいつはそれっきりなりを潜めてしまう。
そこでご主人の突っ込み。
「さくにゃあ。おもちゃじゃなく本物のねずを捕ろうね。」
「え?前にぬずを見て後ずさりしてたじゃない。」と、お母さんの逆突っ込み。
「う…。」と、詰まるご主人。
「根性無しで臆病だからな。」と、お父さんも。
そうなるとご主人は僕の飼い主である立場上、黙っていられにゃい。
「…さくにゃあだって、もう大人だし。れおん君だってねず捕ったし。」
そしてご主人は僕を呼び寄せて曰く。
「さくにゃあ。ねず捕ってきて。プレゼントにねずが欲しいな。」
ご主人、それはプレッシャーというものにゃよ。僕には僕の立場とか言い分とかあるんにゃよ。
なにせ僕はまだ本物のねずを捕ったことがないにゃ。対決すらしたことがないにゃ。
そんな僕が最初の対決で成功すると思うんかにゃ?
でも、ご主人の物凄い期待の眼差し。
にゃー!にゃー!にゃー!
窮地に立たされた僕。だ、誰か助けてにゃあ!
(ふふふ。大いに期待しているよ、さくにゃあ。れおん君はちゃんとプレゼントしてくれたからね。by飼い主)
黒猫日記74
んにゃ。朔太郎にゃ。
毎日よく揺れるにゃね。僕もなんだか神経過敏になっちゃって、地震でもないのに揺れているように感じて、思わず上を見ちゃうんにゃ。
お母さんもご主人も同じことをするにゃあよ。
蛍光灯からぶら下がっている紐を確認してしまうんにゃ。
お父さんたら僕達が一斉に上を向く、って大笑い。
にゃってあれから十日以上経つのに、一向に余震はおさまってくれないにゃん。
いい加減、体の方も揺れている状態が当たり前にゃんだと勘違いしだしているんにゃ。
にゃからつい、この揺れは本物の地震?って上を見ちゃうにゃ。
ね、分かるにゃよね?
それなのにお父さんは「臆病だな。男らしくない。」にゃって。
放っといてよ。地震なんて訳の分からない現象、猫に理解できると思うのかにゃ?
僕には世の中が震えている、大事件としか思えていないにゃ。
理解できないから余計に恐い、ってこと、お父さんに分かってもらうにはどうしたらいいのかにゃあ。
僕は男らしさの前に野生の本能に従順なだけにゃんだってこと。にゃん、にゃん。
(地震、恐いよねえ。避難しようとした時、さくにゃあはこたつの隅で小さくなって震えていました。引っ張り出すのが大変でした。猫も地震が恐いんだと初めて知りました。大丈夫だよ、さくにゃあ。君だけはちゃんと抱っこして逃げるからね。by飼い主)
黒猫日記73
にゃ。朔太郎にゃ。
イヤなご時世になったものにゃね。
って、お母さんのこの頃の口癖。人間の愚かしさと醜さに嫌気がさしているんにゃって。日本人の美徳はどこに行っちゃったんだ?ってひたすら嘆いているんにゃ。
そんなこと言われても、猫の僕には関係ないにゃ。
僕のかりかりはいつも少しストックがあるもん。
って、それはお母さんが用心深いからにゃんだよね。
だからおうちは買い占め買いだめに走らなくても、しばらくは大丈夫。食いしん坊のご主人も空腹になることもないにゃ。
でもご主人は僕に、「この機会にダイエットしようね、黒猫だるま。」にゃって。
例の夏目友人帳のにゃんこ先生が「猫だるま」って呼ばれていたのを見て以来、僕は「黒猫だるま」と呼ばれることが多いんにゃ。
にゃんこ先生は他にも「猫大福」とか、「へちゃむくれ」とか呼ばれていて、ことごとく僕にも当てはまるってご主人は手を叩いて大笑い。
この間はにゃんこ先生にそっくりな黒猫が出てきて、それが僕そのものだ、って家族三人に大ウケ。
「やっぱり白と黒、両方並べてみたいね。」という結論に達したみたいにゃ。
え?それって…?
そうにゃの。おうちでは今度二匹目の猫を飼う方針みたいにゃ。しかも、白猫。
にゃあ…。それって、僕はみんなの愛情を独り占めできなくなるの?ご主人は僕のじゃなくなるにゃ?にゃ~!うにゃ~!
黒猫日記72
ふぎゃ。朔太郎にゃ。
揺れる、揺れる、世界が揺れているにゃ~。
にゃんなの、この毎日の地震は?!
落ち着いてお昼寝も出来なゃい…。
今日なんか、夜中と明け方に揺れたものにゃから、僕は完全に睡眠不足…。
まあ、あの寝坊助のご主人や一度眠ったら時間まで起きてくれないお父さんまで飛び起きたんにゃから、結構恐かったんにゃよ。
今月に入ってお仕事がたまにしかないお父さんがおうちにいる時で、気持ちは少し安心、なのかにゃあ。
家族が一緒にいられるだけ、幸せにゃのかも知れないにゃ。
僕がプルプル震えていると、ご主人が抱っこしてくれるにゃ。
ご主人の温もりがこんなに気持ちいいと思えるのはこんな時だからなのかにゃあ?
なにせ誰もいないよりはお母さんでもいてくれた方がいい、なんて考えるようになっている僕なのにゃ。
ある意味、ヤキがまわっている?
にゃあ。
黒猫日記71
みぃ。朔太郎にゃ。
また地震にゃ。
この頃、よく揺れるにゃ。
日頃のんびり屋で鈍感な僕にゃから、多少揺れる分には気にしにゃいんだけど、今回ばかりは結構恐い…。
このおうちはお父さんより年寄りで、軽く築五十年は越えているんにゃって。
にゃからこの間の震度五の地震で、お母さんにゃんか、おうちが倒壊するかと思ったんにゃって。
なんとかおうちは無事だったんにゃけど、そのうちほんとに倒壊するかも?
こんなに地震に揺られて、なんだか世の中、殺伐としてきたにゃあね。
この辺りでも少しパニックじみている、ってお母さんが嘆いているにゃ。
スーパーに行ったら、お米やお水を奪い合っていたんにゃって。
おうちは曲がりなりにも東京都で、どう考えても物資が不足して手に入らないことなんてありえないんにゃ。
それなのに人間達は必要以上のものを買いだめしてしまい込んじゃっている、って、お母さんは嘆くことしきりにゃの。
関東でこんなことをしていたら、東北に行くはずの物資まで、関東で買われてしまう。そうなるといつまで経っても東北に食料は行き渡らない、んにゃって。
そうにゃあね。そのくらいの理屈なら猫の僕にもわかるにゃ。
僕は人間はもうちょっとお利口だと思っていたにゃあよ。
どうして同じ人間同士、思いやりを持って譲り合わないのかにゃあ?
こんな時だもの、多少の不便は我慢できるでしょ?
省エネも節電も、僕にはあんまりよく分からないけど、必要以上のものまで買い込む必要はもっと分からないにゃ。
普段からの用意と心構えが大事なのよ、って変に冷静なお母さんは言うけど、そういえばおうちにはラジオも蝋燭もあるにゃあ。
お母さんのお菓子袋なるものには非常食料になりそうなものが結構詰め込まれているし。
うにゃあ。お母さんは変な人、にゃのかもしれにゃいけど、ひょっとすると物凄い人なのかにゃあ?
ちょっとだけお母さんを見る目を変えた方がいいのかしらん…?
黒猫日記70
ふぎゃ~!朔太郎にゃ。
地震、地震にゃ!
にゃー!にゃー!にゃー!
ご主人はどこ?!僕は誰?!これは何?!
恐いよお!ヤだよお!訳分からにゃいよお!
…あれ?止んだ…?ふみぃ。あら、足が、腰が…。
ふにゃ?何で立てにゃいんだ?
前足が強ばっているにゃ。後足も…。にゃ。あ、また揺れてる?
にゃー!にゃー!ご主人、助けて!恐いよお!
あ、ご主人が帰ってきた!にゃー!恐いよお!
(おっと、さくにゃあに引っ付かれております。すごい地震ですねえ。思わず電柱にしがみついてしまいました。皆様、大丈夫ですか?さくにゃあは怯えていますが大丈夫です。by飼い主)
黒猫日記69
にゃ。朔太郎にゃ。
雪が降ってるにゃ!どーりで寒いと思ったにゃ。
今日は珍しいことに家族全員がおうちにいるにゃ。雪が降っていてお外に出かける気分になれないとかで、みんなでおこたに入ってテレビを見たり、パソコンしたり、ゲームをしたりでごろごろ。
僕は暇つぶしに猫じゃらしで遊んでもらえるし、撫でてもらえるし、ちょーご機嫌。
いつもなにかと忙しい人たちだから、こんなにまとめて遊んでもらったのは久しぶりにゃ。
そういえば僕のお気に入りの猫じゃらし、白尻尾ぽは、この間新しいのを買ってきてもらったんにゃけど、その日のうちに壊してしまったんにゃ。ぐすん。
にゃから、ねずさんで遊ばせてもらったんにゃよ。
ジャンプして空中回転。反復横飛びにピルエット。
でも、にゃんだかこの頃、すぐに息が切れるんにゃ。
ご主人が夕べ計ってくれた僕の体重は五キロ二百。ふにゃ~。また太ったかにゃあ。
「太りすぎて、動きが鈍いなあ。」ってご主人は笑っているし。
お父さんは「ジャンプするとどすんていうぞ。」だって。
ふにゃあ。そんなことを言って、原因はお父さんにゃんだよ。
僕は朝晩、お母さんから猫カリカリを一袋ずつもらっているんにゃ。
でも、お父さんの晩酌が始まると、その匂いに釣られて僕はお父さんの傍へ。
そうするとお父さんは喜んで、美味しいおつまみを分けてくれるんにゃ。そのせいで僕は食べ過ぎて太る一方…。
この分だと本当に「猫だるま」になりかねない、ってお母さんは危機感を抱いてお父さんに「猫ダイエット令」を発動したんにゃ。
でも、僕を相手に晩酌するのが大好きなお父さんは、僕におつまみをあげるのを止められない…。
そうなるとお母さんが黙っていにゃい。「さくにゃあを早死にさせる気なの?!」ってお父さんを責めるんにゃ。
困ったお父さんはおつまみのお皿と睨めっこ。出た結論は「もやし」。
そうにゃの。お父さんは僕にもやしを食べさせることにしたのにゃ。
まず、野菜炒めの中のもやし。それから煮浸しの中のもやし。
「野菜ならカロリーも低いからいいだろ?」って言うのがお父さんの言い分にゃ。
お母さんもお父さんの楽しみを奪うのは忍びない、と思ったのか、取り敢えずは黙認。
僕はお父さんがくれるもやしをはぐはぐ。
これを食べていればお父さんもご機嫌、お母さんもにこにこ、僕は太らない。八方丸く収まる…。筈にゃんだけど、やっぱり僕は無理!
僕は猫。猫は肉食にゃ!お肉とお魚が好物にゃ!もやし三昧は無理がありすぎにゃ。
にゃあ。たぶん、今晩ももやし、にゃんだろうにゃあ。いい加減、飽きちゃったし…。でも、お父さんとお母さん、それからご主人も…。
にゃあ。僕はどうしたらいいんにゃ?悩み多き年頃の僕にゃ…。