みぃ。朔太郎にゃ。
また地震にゃ。
この頃、よく揺れるにゃ。
日頃のんびり屋で鈍感な僕にゃから、多少揺れる分には気にしにゃいんだけど、今回ばかりは結構恐い…。
このおうちはお父さんより年寄りで、軽く築五十年は越えているんにゃって。
にゃからこの間の震度五の地震で、お母さんにゃんか、おうちが倒壊するかと思ったんにゃって。
なんとかおうちは無事だったんにゃけど、そのうちほんとに倒壊するかも?
こんなに地震に揺られて、なんだか世の中、殺伐としてきたにゃあね。
この辺りでも少しパニックじみている、ってお母さんが嘆いているにゃ。
スーパーに行ったら、お米やお水を奪い合っていたんにゃって。
おうちは曲がりなりにも東京都で、どう考えても物資が不足して手に入らないことなんてありえないんにゃ。
それなのに人間達は必要以上のものを買いだめしてしまい込んじゃっている、って、お母さんは嘆くことしきりにゃの。
関東でこんなことをしていたら、東北に行くはずの物資まで、関東で買われてしまう。そうなるといつまで経っても東北に食料は行き渡らない、んにゃって。
そうにゃあね。そのくらいの理屈なら猫の僕にもわかるにゃ。
僕は人間はもうちょっとお利口だと思っていたにゃあよ。
どうして同じ人間同士、思いやりを持って譲り合わないのかにゃあ?
こんな時だもの、多少の不便は我慢できるでしょ?
省エネも節電も、僕にはあんまりよく分からないけど、必要以上のものまで買い込む必要はもっと分からないにゃ。
普段からの用意と心構えが大事なのよ、って変に冷静なお母さんは言うけど、そういえばおうちにはラジオも蝋燭もあるにゃあ。
お母さんのお菓子袋なるものには非常食料になりそうなものが結構詰め込まれているし。
うにゃあ。お母さんは変な人、にゃのかもしれにゃいけど、ひょっとすると物凄い人なのかにゃあ?
ちょっとだけお母さんを見る目を変えた方がいいのかしらん…?