黒猫日記75

にゃお。朔太郎にゃ。
夕べ、みんなでご飯を食べていたら、なんだか変な気配を感じたんにゃ。
思わず気配のする方へ走って、じいっと見つめていたにゃ。
僕のそんな行動は初めてにゃったから、みんなびっくりして僕のことを見ていたにゃ。
でも僕はそんなことに構っていられにゃい。
ひたすら天井の隅と睨めっこ。
そして、天井に上ろうと柱を駆け上る始末。
終いには天井に向けて「にゃあ!にゃあ!」
それを見てお父さん曰く。「何かいるのかな?お化けか?」
お母さん。「私には何も見えないけど。」
お母さんは見える人なんにゃ。
「近くで葬式でもあるんじゃない?このうちは通り道だから。」
そうなんにゃ。このおうちはちょっと変わったおうちなんにゃ。
だけど僕の行動には別の意味があったんにゃ。
突然、がたがたがたん!天井裏を疾走する足音。
僕も足音を追って疾走。
みんなの視線も後を追う。
「…ねずみ…。」と、ご主人。
「地震で余所から逃げて来たのが住み着いたかな。」と、お父さん。
「ねずみが住んでいる家は潰れない、って言うからこの家ももう暫くは保つか。」
そこでみんな笑い声。
でも僕はそんなの聞いていにゃい。
ひたすら天井と睨めっこ。でもあいつはそれっきりなりを潜めてしまう。
そこでご主人の突っ込み。
「さくにゃあ。おもちゃじゃなく本物のねずを捕ろうね。」
「え?前にぬずを見て後ずさりしてたじゃない。」と、お母さんの逆突っ込み。
「う…。」と、詰まるご主人。
「根性無しで臆病だからな。」と、お父さんも。
そうなるとご主人は僕の飼い主である立場上、黙っていられにゃい。
「…さくにゃあだって、もう大人だし。れおん君だってねず捕ったし。」
そしてご主人は僕を呼び寄せて曰く。
「さくにゃあ。ねず捕ってきて。プレゼントにねずが欲しいな。」
ご主人、それはプレッシャーというものにゃよ。僕には僕の立場とか言い分とかあるんにゃよ。
なにせ僕はまだ本物のねずを捕ったことがないにゃ。対決すらしたことがないにゃ。
そんな僕が最初の対決で成功すると思うんかにゃ?
でも、ご主人の物凄い期待の眼差し。
にゃー!にゃー!にゃー!
窮地に立たされた僕。だ、誰か助けてにゃあ!

(ふふふ。大いに期待しているよ、さくにゃあ。れおん君はちゃんとプレゼントしてくれたからね。by飼い主)