黒猫日記19

にゃん。朔太郎にゃ。

僕の毎日の日課に、黒猫探検隊があるんにゃけど、おうちにネズミが出るようになって、おまけにご主人が「ねず取って~。」と言うもんだから、ねず見張りタイムが付属するようになったんにゃ。台所の流しの下を見張れる位置に陣取って、じーっと見張っている様は「れおん君そっくりでなんかヤだ!」ってご主人は渋い顔をするにゃ。まったくどーしてご主人は、僕とれおん猫をいちいち比較したがるのかにゃあ。僕は黒猫であちらは白猫。それだけでも違うのに。僕としてはいい迷惑にゃよ。お父さんもなにかというと「お手しろ。」とか「お代わりは?」とか、普通猫がやらないことをれおん猫ができたからって僕にも要求するんにゃよ。お母さんだって僕の名前を呼ぶ度に「お返事は?」って要求するし。れおん猫ってそんなになんでも出来た猫だったの?おかげで僕は本当いい迷惑。「なーんにも出来ないおばかさんの朔太郎」呼ばわりされているにゃ。僕は何にも出来ないんじゃにゃいもん!ただまだ小さいからご主人達が何を要求しているのか、いまいち解っていないだけにゃもん。もっと大きくなれば、僕だってねずも取れるようになるし、多分いろんなことが出来るようになるにゃ。にゃあ。ご主人、僕はきっと大器晩成型にゃよ。いつかちゃんと期待には応えてみせるにゃ。温かく見守っていて欲しいのにゃ。

黒猫日記18

みぃ~。朔太郎にゃ。

僕、ネズミの付いたおもちゃが大のお気に入りにゃんだけど、この間、遊び過ぎていっぺんに三つ全部壊しちゃったにゃ。他にもいろいろおもちゃはあるんにゃけど、あんまり興味が長続きしないのにゃ。だからお父さんやご主人が遊んでくれようとしてもすぐ飽きちゃう。お母さんは猫じゃらしが元から下手だからもってのほか。僕が遊びに乗ってこないもんにゃから、お父さんもご主人も僕を構ってくれなくなって、そしたら僕は欲求不満と運動不足になっちゃたにゃ。結果、僕は夜中の運動会を始めてしまったにゃ。台所の流しに飛び乗ったり、うち中を駆け回ったり、柱という柱によじ登ったり、押し入れに入り込んだり。みんなが寝静まって熟睡する頃から、朝、お母さんの目覚ましが鳴るまで騒ぎっぱなし。タンスの上の物をお父さんお母さんの寝ている上に落っことしてみたり、お母さんのお腹にダイビングしてみたり。結構迷惑な行動を取るようになって、一番最初にお母さんが音を上げたんにゃよ。「一晩に三回もお腹の上に飛び降りられたらおちおち寝ていられない!」んにゃって。ご主人はあんまり被害を被っていなかったんにゃけど、お母さんからのクレームに飼い主として対応したにゃ。即ち、ペットショップにネズミ付きおもちゃを買いに走ったにゃ。その夜、久しぶりにねずで思う存分遊んだ僕はお母さんと一緒に熟睡したのでしたにゃあ。めでたし、めでたし。にゃんにゃん。

(まったく、人騒がせ猫なんだから。あんまり面倒ばかりかけないでよね。by飼い主)

黒猫日記17

うにゃ。朔太郎にゃ。

僕、昨日お父さんに目一杯怒られたにゃ。どーしてかっていうと、台所の流しの中の三角コーナーに入っていた厚切りハムステーキを、夜中にこっそり食べちゃったからにゃんだ。ちゃんと夜ご飯にかりかりをもらって、おまけにお父さんからいつものようにお裾分けをしてもらっていたんにゃけど。言い訳すると、それは夜中じゃなくて明け方で、僕の朝ご飯タイム、というか、お母さんが起きる時間の一時間前だったんにゃ。わかる?一番お腹が空く時間にゃ。だから、おうちの中を探検隊していて見つけた美味しそうな物に食いついちゃったのにゃ。僕、それまで台所にそんな美味しい物があるにゃんて知らなかったのにゃ。お母さんもご主人も先輩猫さんの悪い癖に懲りていたから、三角コーナーに食べ残しを入れっぱなしになんてしていなかったんにゃ。それがついうっかりその日に限って忘れちゃったのにゃ。朝になってもお母さんに朝ご飯を催促しないのを訝しく思ったお母さんが、僕の悪さを発見して、「朝御飯抜き」って判断即決定。そのあと起きてきたお父さんとご主人に報告が行ったにゃ。お父さんは僕をお膝に抱き上げてこんこんとお説教。ご主人は一言。「さく猫、おまえもか!」そして軽蔑の眼差し。ふにぃ~。朝御飯抜きもお説教も辛かったけど、ご主人の冷たい目が一番堪えたのにゃ。ご主人は先輩猫のその野良猫時代の癖がとってもイヤだったんにゃって。だから僕まで野良猫みたいに盗み食いしたからすごく失望したんにゃって。野良猫だった時期もないはずなのにって。にゃあ。僕は捨てられてすぐ貰われてきた猫にゃから野良の経験はにゃいんだけど、少しだけひもじい思いはしたにゃ。だからつい、食べられるときに食べないと、って意識が働いたのかにゃあ。僕はそう分析するにゃ。ねえ、ご主人。僕、そんなわけでまた悪さをするかもしれにゃいけど、勘弁してくれにゃいかなあ?僕、まだ食べ盛り、育ち盛りにゃんだし。ね?

(…イヤだ、と言ってもやるんでしょう?あんたは。なにせこの頃、やることなすこと白猫れおん君に似てきたもの。しかもイヤなとこだけ。本当、今後黒れおん君と改名しない?by飼い主)

黒猫日記16

ふにゃあ。朔太郎にゃ。

僕がおうちに来てから二ヶ月が過ぎたのにゃ。「早いねえ。」ってお母さんはしみじみ言うにゃ。ご主人は「でっかくなった!」って言うにゃ。確かに僕は、体長は二倍以上、体重は三倍近くになったにゃ。お父さんには「この分じゃあメタボになりそうだ。」って言われているにゃ。でも、そのお父さんが一番、僕に餌付けしたがるのにゃ。僕も美味しいものが好きだから、お父さんの晩酌のお付き合いが大好き。僕の毛皮を撫でながら晩酌するとお父さんは癒されるんにゃって。「猫はころころしているぐらいの方がかわいくて良いんだよ。」ってお父さんとお母さんはご満悦だけど、ご主人は太りすぎて病気にならないかと心配してくれているんにゃ。「猫が病気になると、病院通いが大変なんだから。」って憎まれ口をきくご主人にゃけど、それって僕が大好き、って僕には聞こえるにゃ。ご主人、僕もご主人が大好きにゃよ。だからよそのおうちでおよその猫を構うのは止して。いくら僕がいない場所ででも臭いがくっついてくるんにゃよ。僕が面白い訳にゃいじゃにゃい!ご主人は僕だけのご主人にゃ!ほかの猫に目移りしちゃあいけにゃいんにゃよ!

黒猫日記15

にゃ!朔太郎にゃ。

僕、最近うちのご主人の左肩から妙な視線を感じるんにゃよ。最初にご主人に抱っこされた時から、変に敵意というか、イヤな感じを覚えたんにゃけど、気のせいだと思っていたにゃ。だけど、やっぱり気のせいじゃあにゃいみたい。ご主人もお母さんもお父さんも、僕がおうちに来る前にいた白猫れおん君の話をよくしているにゃよ。先輩猫さんにゃってことも僕、知っているにゃ。そしてご主人に執着していた猫だってことも教わったにゃ。にゃから、ご主人の左肩に乗っているのはそのれおん猫にゃんだ。きっと。僕、人間の肩とか胸とかお腹に乗っかるのが大好きにゃんだけど、この頃、ご主人の左肩に乗ろうとすると思いっきり顔に猫パンチを食らうようなショックを覚えるのにゃ。僕がたじろぐくらいのつよさで。そして左肩から追い出されるの。僕が反撃の猫パンチを繰り出しても何の効果もなくて空振りしているみたいな感触にゃんだ。ねえ、ズルいと思わにゃい?僕だけ一方的にやられているにゃよ。いくら先輩猫だからって卑怯にゃよ。ご主人を取られたくないのはわかるけど、にゃったらどーどーと決闘すればいいにゃ。にゃんて大きいこと言っているけど、実体のあるれおん猫さん相手じゃあ、僕、勝てないんにゃろうなあ…。大体貫禄も違う…。ふにゃあ。れおん猫さんがお化けで良かったかも…。左肩以外のご主人を僕が独り占めできるもん。にゃあ、僕が大きくなって対等に決闘できるようににゃるまで、しかたにゃいから左肩だけは貸しておいてやるにゃ。れおん猫、ありがたく思うにゃよ。

黒猫日記14

にゃ~。朔太郎にゃ。

僕はお父さんが帰ってくるのが楽しみにゃんだ。どうしてかって?にゃって、美味しいんにゃよ。

お父さんは毎晩、晩酌って言うのを習慣にしているんにゃ。そのために出ている「おつまみ」がスゴいのにゃ。僕が思うに、お父さんは絶対に以前は猫だったに違いないにゃ。にゃって猫の好きな物ばかり出ているんにゃもの。そりゃあ、日によって違うけど、お刺身だったり蒲鉾だったり焼き魚だったり…。もう、僕、ヨダレが出ちゃうにゃ。そのおつまみを僕がお膝に乗っておねだりすると惜しみなくくれるんにゃ。お母さんに聞くと、先輩猫さんにもそうだったみたい。だけどお父さんは先輩猫さんにはしなかったことを僕にはしてくれるんにゃよ。ブラッシングと猫じゃらし。お父さんは僕のつやつやの毛皮がお気に入りにゃんだ。毎日のようにとかしてくれるにゃよ。そしてビールを片手に遊んでくれるんにゃ。大好きなネズミ付きの猫じゃらしで、僕がくたびれるまでじゃらかしてくれるにゃ。僕の最近の必殺技は柱登りなんにゃ。ネズミを柱に沿わせて上に持ち上げるのを追いかけるにゃ。結構高く登れるにゃよ。みんな、それを見て喜んでくれるにゃ。さすがにこれは先輩猫さんもやらなかった技みたい。あれ?にゃんだか僕、先輩猫と張り合っている?ふぎゃ!う~!確かに…、白猫は嫌いかも知れにゃい…。

黒猫日記13

にゃ!朔太郎にゃ。

僕の名前がどうして「朔太郎」になったのかは最初に説明したよね?でも、お母さんは「もう一つの意味があるのよ。」って笑うんにや。それはね、秘密でもにゃんでもないんにゃけど、僕が黒いことと関係があるんにゃって。

お母さんが最初に僕を見た時、辺りが暗かったせいもあるんにゃけど、お目目がきらきらしていて黒い毛皮で、まるで月のない夜空のよう、って思ったんにゃって。その時は僕はもう「さくら」だったんだけど、お母さんは一瞬、夜にちなんだ名前を付けたいな、って思ったんにゃって。そのあと僕が男の子だって解って、名前をどうしよう、ってことににゃった時、ご主人は僕のことを「さく」って短く呼んでいたせいもあって「さくたろう」に決めて、字は「朔太郎」にしたんにゃ。朔は新月の日のことで、月のでない日にゃの。つまりお母さんの第一印象の、月のない夜空、ってことにゃ。

「朔太郎のお目目はきらきらだからね。」ってお母さんは満足そうにゃの。でも、ようするに僕は真っ黒つやつや、って言いたいだけにゃんじゃにゃいのかにゃあ?変に名前に拘って、自己満足しているお母さんにゃ。

黒猫日記12

うにゃ。朔太郎にゃ。

食べ盛りの僕にゃから、誰かが何かを食べているとつい気になっちゃうの。今日もお母さんに朝、かりかりを貰って完食したにも関わらす、お母さんが朝ご飯代わりのビスケットを食べ出すと「ちょーだい!」の猫パンチを繰り出したのにゃ。お母さんは、それがかわいい、って言っていつも欠片を分けてくれるんにゃ。猫かりかりと違う、甘くてとろける美味しさに僕は夢中にゃ。朝のおやつタイムかしらね、ってお母さんは笑うんにゃ。お母さんは僕にはお菓子並に甘いにゃよ。

後はお三時が楽しみにゃんだ。とは言っても丁度その時間がお母さんとご主人のお昼兼夕ご飯の時間にゃんだ。二人とも大体一日二食主義で、見ているとお母さんなんかまともな物を食べていにゃいような気がするにゃ。お母さんはいっぱい病気を抱えているから、人と同じ物がたべられにゃいんだって。だけど食いしん坊で我が儘だから一日に一度だけでも好きな物を気の済むまで食べたいんにゃって。だから僕の分けてもらえる物もスゴいにゃよ。僕の一番のお気に入りは卵焼き。甘くて美味しいにゃ。次はマカロニサラダ。あ、麺類はラーメンが一番好き。お父さんも晩ご飯のお供にミニラーメンを付ける人にゃんだけど、僕に「この麺食い猫!」って言うんにゃ。いつも僕がおねだりするものにゃから。ラーメンって美味しいよね!僕はまだ上手くすすれないけど、そのうちじょうずになってみせるにゃ。

(いっぱい食べていっぱい大きくなるのは解るけど、朔太郎は雑食猫なんだね。あんまり甘い物ばかり食べていると猫糖尿病になっちゃうよ。ガスも臭いし。スカンク並なんだもの、勘弁して欲しい…。by飼い主)

黒猫日記11

みゃあ、朔太郎にゃ。

良いお天気が続いているにゃ。僕はまだハーネスを着けるには小さいので、お外に出る時はご主人に抱っこされているにゃ。ひとりでお外に出てみたいけど、おうちの周りは車が危ないって、お母さんなんか怖い声で怒るにゃよ。にゃから僕は素直にご主人にお外に出たい、っておねだりして出して貰うんにゃ。お外のお日様に当たると僕の毛皮はつやつやと黒光りするようになってきたんにゃよ。僕の自慢なんにゃ。だけどご主人たらひどいんにゃよ。僕のことをまるで「ごきぶり」みたいだって言うの。黒くてつやつや光っているところがそっくりだって。にゃー!なにそれ!僕はまだ実物のごきぶりを見たことはないんにゃけど、そいつがとても嫌われていることぐらいご主人の話し方で分かるにゃ。ご主人たら、僕があんまりやんちゃだから意地悪を言っているだと思うんにゃ。だって「今度悪いことをしたら、朔太郎からただの『太郎さん 』に改名させるからね。」って笑いながら言っていたもん。あ、お母さんから聞いたんにゃ。『太郎さん』ってごきぶりさんのことを内緒で呼

ぶときの言葉にゃんだってね。ご主人ってユーモアのセンスがあるんにゃよ。でもその後が悪い。「今度そのおでこに触角を着けたげるね。そうするともっとそっくりになるから。」にゃって!それ、どーいう意味?そしたらお母さんが笑いながら、「お願いだからスリッパで叩き潰さないでね。」って、僕、にゃにがなんだかわからにゃいよー。僕、黒くちゃいけないのかしら?

黒猫日記10

にゃ!朔太郎にゃ。

僕も生後六ヶ月目に入ろうとしている今日この頃。体重も身長も大幅に増えたけど、毛皮もつやつやになってきたのにゃ。ふやふわで手触りがいいのも自慢にゃんだ。先輩猫のれおん君がやっぱり毛皮が自慢の猫だった、ってお母さんが僕を撫でながら言うにゃ。僕はそんな先輩猫の話を聞くのがイヤじゃあないんにゃけど、ご主人が僕と先輩猫を比較する話をするといらっとするにゃ。何故にゃろう?ご主人は僕を時々「黒れおん」って呼ぶにゃよ。僕はそれも気にいらにゃいんにゃ。でも僕の性格がれおん猫にそっくりにゃんだって。白と黒の違いはあれどもご主人に対する思いは同じってことにゃんだろうなゃあ。そういう先輩の気持ちは分からないでもにゃいけど、僕としてはやっぱり、かなり面白くないにゃ。それに、なんだかいつもご主人の左肩の上に、白猫が居座っているような気がするのは僕の思い過ごしかにゃあ?にゃんだか、ライバルはお化け、ってことになりそうな予感がする、ある意味、気の毒な僕にゃ。