黒猫日記207

みゃあ。朔太郎にゃ。
お母さんたらとうとうタブレットなるものを買ったんにゃよ。
ご主人と色々調べていたのは知っていたけど、どうせいつもみたいに話だけで終わると思っていたんにゃ。
でも、今回は本気にゃったんにゃね。
タブレットでなら、電子書籍を拡大することが出来るから、視力の落ちたお母さんでも読めなかった本が読める、ということが決め手になったみたい。
以来、お母さんは新しい玩具を手に入れたこどもみたいにタブレットにかじり付いて本を読んでいるにゃ。
おかげで僕と姫にゃあは、普段はしつこいお母さんの愛情表現から逃れることが出来て、ちょっと嬉しい。
なんていったってお母さんの愛情表現は、濃厚でしつこいの。
やたらと抱っこしたがるし、なで回すし。
猫には猫の都合とか自由がある、とか考えてくれていないんにゃよね。
僕も姫にゃあもご主人に抱っこされたりするのは好きなんだけど、そうやってしつこくするお母さんに抱っこされるのは嫌いにゃんだ。
まあ、お母さんだからしかたない、とは思うんにゃけどね。
これで暫くはお母さんからの愛情の押し付けが止むかと思うと、なんとなくほっとする僕達二匹なのでした。
にゃんにゃん。

黒猫日記206

にゃ。朔太郎にゃ。
僕、この頃思うんにゃけど、絶対おうちの人達は僕より姫にゃあを贔屓しているにゃあよ。
にゃんだかご主人を筆頭に、みんなして姫にゃあを甘やかしているように思えるんにゃ。
何か悪さをしても僕だと目一杯怒られるんにゃけど、姫にゃあだとそれほど怒られないし、呼ばれる時も姫にゃあの時は猫なで声にゃんだもん。
姫にゃあの毛皮はほわほわですごく抱き心地が良いとかで、みんな抱っこしたがるから、という理由はあるんにゃ。
それは判る。判るんにゃけど、納得がいかにゃい。
姫にゃあだと良くて僕だとだめ、ってことがちょこちょこあると僕だってイジケる。
ね、イジケていいにゃよね。
ご主人と一緒に寝ていても、僕はレオン猫に追い出されて朝まで一緒にいられないけど、姫にゃあは平気で一緒にいられるんにゃよ。
今やご主人の守護霊になっている先輩猫のレオン君にまで姫にゃあは贔屓されているにゃ。
僕の立場は弱くなる一方。
トイレの窓から落っこちてから余計に肩身が狭いし。
絶対おうちの人達は僕より姫にゃあの方が可愛いんにゃ。
これって、僕のやっかみだと思う?
そうだとまだ救われるような気がするんにゃけどね…。んにゃあ。

黒猫日記205

みゃお。朔太郎にゃ。
陽気が良くなってきたね。
おかげで僕には野生の呼び声が聞こえてきて、お尻がムズムズしてくるんにゃ。
にゃから必死でトイレの扉を開けるとついつい窓から顔を出しちゃう。
そうすると、足元が危ないので、そんな気はないのに足を滑らせておうちの外に出てしまう。
そして見つけてもらうまでお隣との狭間で縮こまっていることになっちゃうの。
お母さんは病気のせいで滅多にトイレに入らないから、ご主人が明け方トイレに入ったのを物音で判断して「ヘルプ!」の声を上げるんにゃ。
ご主人は流石に僕の声がすぐ判るみたい。
トイレの窓からまず、「さく?」って呼びかけてくれるの。
僕がお返事をすると慌ててお外に飛び出して、僕が隠れている場所を見つけてくれるんにゃ。
それでやっと救い出された僕は、安全なおうちに戻れるんにゃけど、それからがまた大変にゃんだ。
姫にゃあに嫌われるの!
お外に出て、違う臭いを付けてきた僕に、ふうっ!って怒るの。
「あたちの知ってるさくにゃあじゃない!知らない猫はあっち行け!」って言っているの。
にゃあ。大好きな姫にゃあに嫌われちゃったよお。
近づいたらふうっ!って言うものだから、ご挨拶も、親愛の情を示す毛繕いも出来やしない。
僕はただひたすら姫にゃあが許して受け入れてくれるのを待つ以外ないのにゃ。
前回は三日間かかったのにゃ。
気が立っている姫にゃあは怖いし、僕はしょげちゃうしで、ご主人も結構大変。気を使ってくれるにゃ。
家出する気はないのに家出した結果がこれにゃ。
全く良いことがないのにトイレの窓から覗くのを止められないのは何故なんにゃろう?
反省したくても誘惑には逆らえない僕なのでした。にゃあ。

黒猫日記204

にゃおん。朔太郎にゃ。
うちの人達のアニメ好きはしょっちゅう話題に上らせているような気がするけど、またお気に入りが出来たみたいだから報告するね。
ご主人が今一番はまっているのが「鬼灯の冷徹」ってアニメにゃんだ。
地獄の鬼の鬼灯さまが活躍するアニメ。
お父さんと二人して楽しみにしているにゃ。
お母さんにはおもしろさが解らないみたいにゃけど。
オープニングの歌もお気に入りのご主人は「着うた」にしたぐらい。
あと、三人して気に入っているのが「となりの関くん」
十分しかない短いアニメなんにゃけど、アクセントが効いていて妙に笑えるところが面白いんにゃって。
こちらのオープニングはお父さんのお気に入り。
最後に入る台詞の「やめて」にはまっているんにゃ。
訳わかんにゃい。
にゃんだかアニメ好きが輪をかけてきているにゃあ。
この分だとこの家族、どうなっていくんにゃろう。
オタク街道まっしぐらかも。
笑えないにゃあ。

黒猫日記203

みゃお。朔太郎にゃ。
今年の冬は、変なお天気でびっくりしたにゃあよ。
あんなに雪が積もったのは何十年かぶりにゃんだって。
ご主人たら積もった雪に僕のことを立たせて喜んでいたよ。
白と黒のコントラストが面白いんにゃって。
僕の毛皮に付いた雪の結晶の形にも感動していたけどね。
まあ、所詮雪が珍しい人種にゃからしようがないのかな。
お母さんはもう雪はこりごりにゃんだって。
雪には良い思い出が一つもないから。
何があったのかは知らないけど、人間て大変なのかな。
僕たちよりずっと長く生きるものね。色々あるんだろうね。
でも、あんなに綺麗なものを楽しめないのは寂しいと思うよ。
僕は、寒くて冷たいのは苦手だけど、見ているだけなら雪も良いかも、って思っちゃう。
たまになら積もった雪でご主人と戯れるのも良いかな、なんてね。
猫の台詞じゃないか。
にゃんにゃん。

黒猫日記202

みゃ。朔太郎にゃ。
ご主人はほ乳瓶から育てた姫にゃあが可愛くってしようがないみたい。
姫にゃあがいたずらをしても滅多に叱ったりしないし。
円らな瞳で見つめられると、お顔がにまあ、としてるし。
お風呂を覗きに行かれても、僕の時だと怒るのに姫にゃあだと怒らないで、する事を見ているだけにゃ。
だからと言っちゃあにゃんだけど、姫にゃあったらお風呂場に行くと三度に一度は風呂桶に落っこちているにゃあよ。
毎回、風呂桶の縁に乗っかってつるりといくらしいにゃ。
ご主人もこの頃はそんな姫にゃあにも慣れたみたいで、慌てず騒がず姫にゃあを掬い上げるとタオルでゴシゴシ。
姫にゃあは半分濡れたまま引き上げてくるにゃ。
に、しても、姫にゃあは全然懲りないから不思議にゃよ。
僕にゃんかお湯をかけられそうになっただけで逃げ出すのににゃ。
にゃんだか落っこちるのを楽しみにしているみたいにゃ。
まあ、猫は普通、水を怖がるけど、姫にゃあは違うのかもしれにゃいね。
僕に言わせれば、怒らないご主人が助長させている気はするんにゃけどね。
僕としては、ご主人とお風呂に入るのは良いけど、溺れないようにね、ってことかにゃ。
あ、結局、僕もご主人のことは言えないほど、姫にゃあが可愛いのかしらね。にゃんにゃん。

黒猫日記201

にゃ。朔太郎にゃ。
この頃、うちの姫にゃあが、やたらとご主人の後追いをするんにゃあよ。
トイレに入っていてもトイレの前でナゴナゴ。
お買い物に出掛ける時もナゴナゴ。
お風呂に入る時も扉の前でナゴナゴ。
とうとう根負けしたご主人は、お風呂に一緒に入る羽目になっちゃったのにゃ。
とは言え、風呂桶に一緒に浸かる訳じゃなくて、洗い場をうろうろしてご主人を観察しているんにゃけどね。
そして風呂桶の縁に立つと、中のお湯を飲んじゃうにゃ。
これってうちの猫の伝統行動なのかしらね、とご主人は首を傾げるんにゃ。
なぜなら先代の白猫れおん君がそうだったんにゃって。
どこの猫もお風呂のお湯を飲むのか知りたい、って言っているにゃよ。
そうやっているうちに、姫にゃあはとうとうやらかしたにゃよ。
そう、バシャン!って風呂桶の中に落ちたの。
慌てた姫にゃあはご主人の胸に二本の爪痕を残して脱出。
お腹を濡らしただけで済んだんにゃ。
全く、お騒がせにゃんこなんだから、とご主人は苦笑しているにゃ。
本当だね。溺れたら大変だったもの。
でも、それで懲りたかと思いきりゃあ、全然そんなことはなくて、相変わらずご主人のお風呂について行っているの。
流石に風呂桶の細い方の縁には乗らなくなったんにゃけどね。
ご主人はまた落っこちないか見張らなくちゃいけなくて、のんびりお風呂に入っていられなくなっちゃったにゃ。
かとはいえ、閉め出すとずうっと鳴いているから仕方ない、って状態。
本当、困った姫にゃあにゃんです。

黒猫日記200

にゃおん。朔太郎にゃ。
なゃー!おうちにこたつができたにゃよ!
やったね。これでもう寒い思いをしなくてすむにゃ。
思えば、去年から今年にかけての冬は寒かったにゃあ。
お父さんが足をつっこんでいる電気毛布とエアコンだけにゃんだもの。
勿論、エアコンは利いてるんにゃよ。
でも、猫族は寒がり、って決まっているんにゃ。
いくら電気毛布の上に乗っけて貰っていても、寒くってたまらにゃい。
お母さんの調子が悪かったから、こたつを出す暇もなかったし、お掃除が面倒になる、っていう理由からこたつを出さなかった、なんて結局は人間の身勝手だと思うにゃよ。
にゃって、冬のこたつは猫の天国にゃもの。
それに、今回はご主人がこたつの中に猫ベットを入れてくれたのにゃ。
これで夜中、電気が切れても暖かく眠れるんにゃ。
ご主人は流石に僕たちの気持ちを判ってくれているんにゃね。
これで僕たちの冬支度もできたし、今年は良い冬になりそうにゃよ。
にゃんにゃん。

黒猫日記199

みゃおん。朔太郎にゃ。
寒くなってきたにゃあね。
ご主人達は今年はあの暖かいこたつを出すつもりらしいにゃ。
僕としては楽しみな限りなんにゃ。
やっぱり冬はこたつにゃよね。
猫族にとってはこたつは天国にゃんだよ。
人間の歌には「猫はこたつで丸くなる」ってあるけど、あれは嘘だよ。
僕ら猫は、こたつに入ると長く伸びるんにゃ。
下手をするとこたついっぱいになるぐらい。
それを見たご主人はいつも呆れているにゃよ。
まあ、去年はお母さんが長期入院したりしたから、こたつの準備が出来なくて、お父さんはちゃぶ台の下で電気毛布を使っていたんにゃ。
勿論エアコンは付いているんにゃけどね。
にゃんだか足腰が寒いんにゃって。
うち中でこたつがなくて寂しいのはお父さんと僕たちにゃんだ。
ご主人とお母さんはなくても平気なの。
かえって掃除が楽だからない方が良いみたい。
でも今年は出してくれるんにゃ。
にゃあ。待ち遠しいにゃあ。

黒猫日記198

んなあ。朔太郎にゃ。
ご主人が忙しくて、お母さんの調子が余り良くないと、おうちではお寿司を出前して貰うんにゃ。
お父さんの分だけの場合が多いんにゃ。
そうなると好き嫌いの多いお父さんのこと、僕たちにもおこぼれが貰えるんにゃ。
お寿司は好物らしいけど、イクラに穴子、甘エビに赤貝、白身にホタテ貝とトリガイ、雲丹なんて物を食べないんにゃよ。信じられる?
お寿司屋さんにとっては敵みたいなものだよね。
僕たちはそれらを食べさせて貰うんにゃ。
ある意味、猫の好物ばかりにゃもん。僕たちはがっついて美味しくいただくにゃ。
にゃもんだから、お寿司の出前が届くと、僕たち二匹はお父さんのお膝の横に一列に並んでスタンバイ体制を取るにゃ。
お寿司は匂いで一発で判るからね。
故に、二人前のお寿司は大概、シャリばかりが残る有様になるんにゃ。
おにぎりがころころ。
ちょっとみっとも良くないと思うんにゃよ。
でも、手つかずのお寿司をそのまま捨てるよりはいいか、と考えてくれているみたい。
おかげで僕たちはお腹いっぱい。
おいしい物でお腹をいっぱいになれるなんて幸せこの上ないことだと思わない?
僕たちは最上級の幸福感に包まれて、ご主人のお布団で眠るのでした。にゃんにゃん。