黒猫日記58

にゃー!朔太郎にゃ。
僕がご主人様に「内弁慶の朔太郎」って呼ばれているのは知っているにゃよね?
本猫はそんなつもりは毛頭ないんにゃけど、相変わらず玄関の段々を一段しか降りられない僕には、否定する資格もないんにゃろうにゃあ。
そしたらまた余計にご主人に笑われるような事件が起きてしまったのにゃ…。
僕がおうちに貰われてくるきっかけになったのは、お向かいさんなんにゃ。それは最初の頃話したよね。そのお向かいさんに、新しい家族が増えたんにゃ。
もこもこでちっちゃくてすごくなつっこいわんこ。
ご主人もお母さんも一目見るなり「かわいー!」
ふん。僕だっておうちに来たばかりの頃は、小さくて軽くて、ご主人だって「可愛い。」って言ってくれていたんにゃよ。それが今は、「重たい!くまさんになりかけている!」にゃって。
僕は好きで大きくなった訳じゃあにゃい。まあ、美味しいご飯は大好きにゃんだけど。
でも、大きくなるのは仕方にゃいじゃない?
んにゃもんで、お向かいのもこちゃんをご主人があんまり可愛がるものだから、僕はつい玄関で抗議の声を上げたんにゃ。
そしたらご主人はその声に気付いてくれたんにゃけど、何を思ったのか僕を抱き上げてお向かいさんの前へ。
お向かいさんの腕にはもこちゃん。僕はご主人に拿捕されたまま、お見合い状態。
にゃー!にゃー!にゃー!
すっかり固まって身動き一つ出来なくなっている僕。対するに尻尾を振りまくって僕に興味津々のもこちゃん。
僕の目が、よりまん丸くなって、尻尾の毛が逆立ったのは覚えているにゃ。
固まったまま約十秒経過。完全なるにらめっこの後、僕は開きっぱなしになっていた玄関に一目散に駆け込んだにゃ。
「さくにゃあ!」
びっくりしたご主人の声が追いかけてきたけど、それどころじゃなかったにゃ。
ふにゃあ。あれのどこが可愛いんにゃ?
安全なおうちのおこたの隅っこに陣取って僕は思ったにゃ。
「ご主人達はほんとに趣味が悪い…。」

(ははは!いやあ、さくにゃあの逃げっぷりには笑えたよ。臆病にも程があるよ。by飼い主)

黒猫日記57

ふにゃ。朔太郎にゃ。
この頃とっても寒いにゃあね。
やっぱり寒がりの僕は、朝がすごく辛いにゃよ。
おうちで一番早く起きるのはお母さんにゃんだけど、目覚ましが鳴るとまずエアコンのスイッチを入れるんにゃ。それからテレビをつけて、十分ぐらいお布団の中にいるにゃ。
僕は暖かくなるのを待ちかねて、お母さんのお布団に行って、襟元に猫パンチ。お母さんの懐に潜り込むにゃ。
夜のうちにすっかり冷たくにゃった僕の毛皮を、お母さんは仕方なしに抱っこして暖めてくれるにゃよ。これはある意味、僕のおあいそにゃ。一石二鳥の、ね。
僕にはご主人が何よりも一番にゃ。その次が美味しいおつまみを分けてくれるお父さん。お母さんは一番最後なんにゃ。
にゃから時々お母さんは、イジケて寂しそうにするんにゃよ。猫ににゃって色々事情があるんにゃってことをどーして人間は解ってくれにゃいのかにゃあ。
そういう訳で、僕はお母さんにも気を使ってやらなくちゃいけないんにゃ。
なにせお母さんは僕のかりかりの買い出しや管理をしているからにゃあ。機嫌を損ねると損なんにゃ。
お父さんのおつまみの差配もそうなんだよ、ってご主人が笑っているにゃ。え?そーなの?!にゃー!
お母さんって、ほんとは人間社会ではえらい人なのかにゃあ?どう見ても、頼りなくて何も出来なくて、軽く見ていて良いような存在にしか僕には思えにゃいんにゃけど…。
(ふふふ…。さくにゃあ、お母さんを甘く見ていると怖いよお。まあ、そのうち思い知るだろうけどね。あの人、猫には甘いから。でも、私は本性を知っている。by飼い主)

黒猫日記56

にゃあ。朔太郎にゃ。
お母さんの巾着袋の「さくたろう」は、より僕の印象に近づけるために、黒目の所にちいちゃいビーズを貼り付けたんにゃよ。
「お目々きらきらの朔太郎だからね。こっちのさくたろうもきらきらにしなくっちゃ。」にゃって。
まったくお母さんの考えることといったら、いつも突飛で面食らわされる、ってご主人がボヤいているにゃ。
いつまで経っても夢の世界にいる人なのかも知れない、にゃって。
まあ、本当にいい年だから、ご主人が嘆くのも無理にゃいにゃあ。
でも、こんな親から生まれたから、ご主人もちょっと変わっているんにゃよね。
人生には色んなことがあるんだよ、ってご主人はしみじみ言うにゃ。まだ若いくせにイヤに老けてしまって…、って今度はお母さんがボヤくにゃ。
このままいかず後家になりそうで怖い…、にゃって。そりゃあ、この親にしてこの娘あり、かにゃあ。
でも、こんなお母さんにもお父さんって旦那が出来たから、ご主人が生まれた訳にゃから…。
にゃー!ご主人が嫁に行く?!にゃー!にゃー!嘘にゃ!やめて!考えたくもにゃいにゃ!
(あのね、さくにゃあ。あんた、れおん君にまた似てきたよね…。人が嫁に行こうが行くまいがほっといてくれない?…そりゃあまだ貰い手はないけど、さ。by飼い主)

黒猫日記55

みゃ。朔太郎にゃ。
ねえ、あの掃除機をノックアウトする方法を誰か知らにゃい?
あいつったらねえ、ずえったい僕が嫌いにゃんだよ。いつもすごい勢いでう~って威嚇するんにゃ。
僕だって負けていにゃいけど、あまりの勢いについ及び腰になっちゃうんにゃ。
その後ずさりしながらの猫パンチに、ご主人が大笑いするんにゃよ。僕はそれがすごく悔しいんにゃ。
にゃからお母さんがお掃除を終えてあいつを立てかけてからそおっと行って猫パンチを浴びせかけるんにゃ。
ぱぱぱぱぱん。そうするとやつはわざと僕の方に倒れかかってくるにゃ。
何て憎たらしい奴。
僕はそれを避けながら、また猫パンチを食らわせるんにゃけど、あいつったら全然懲りない。
へーきな顔をしているから僕は余計に頭に血が上ってくるんにゃ。
身構えて、臨戦態勢のお尻ふりふりをしていると、お母さんが笑いながらやって来て、やつをひょいと持ち上げて別の場所にかたずけちゃう。
にゃー!僕は肩すかしを食らわされた状態で、お母さんに文句を言うと、お母さんは掃除機のノズルだけで僕にちょっかいを出すんにゃ。だけど僕の気持ちが収まる訳がにゃい。苛立ちが募るばかりにゃ。
う~。ほんと、あいつとは相性が悪いんにゃ。僕のこのイライラの日々はいつまで続くんにゃろう…。

黒猫日記54

にゃ。朔太郎にゃ。
明けましておめでとうにゃ。きちんとご挨拶はしにゃいとね。うちのご主人はあれでも礼儀にはうるさいんにゃよ。
にゃんて、お母さんの受け売りらしいんにゃけどね。
でも、一体にゃにがめでたいんにゃろうね?お正月?お正月って何にゃ?
あ、そーか。テーブルの上に猫の大好物ばかり並んでいるから嬉しくてめでたいんにゃ。にゃん!ハムも蒲鉾も卵焼きもみんな美味しい!
「お正月だから、さくにゃあにもご馳走、ね。」ってお母さんがお茶碗にいっぱい美味しいものを乗せてくれたにゃ。
にゃあ。にゃからお正月はめでたいのか。僕はまたひとつお利口になったにゃ。
にゃ。にゃから今、僕はとっても幸せ。美味しい物をいっぱい食べて、暖かいおこたでぬくぬくしていられるのは、僕だけじゃなく全猫にとってすごく嬉しいことだと思うにゃ。あ、あと、優しく撫でてくれるご主人の手があれば言うことないにゃあ。
お正月の期間はお休みで、ご主人もずっと僕のそばにいてくれたにゃ。それだけでも僕はお正月が好きかも知れないにゃ。
冬は寒くて嫌にゃんだけど、お正月があるだけで少しは許せる気がしてきたにゃよ。
僕にとって冬は初めてにゃから、まだまだきっと初めてのことが待っているんにゃろうにゃあ。少し楽しみかも。

黒猫日記53

にゃん!朔太郎にゃ。
にゃんだか世の中が年の瀬だなんてうるさいのにゃ。ご主人もお母さんも忙しそうなのにゃ。でも、お父さんは暇そうにゃ。
お父さんのお仕事は今年はもうお終いなんにゃって。秋からこっちずっと忙しそうだったから、お母さんもお父さんがおこたでごろごろしていても文句が言えないんにゃって。
お父さんがお家にいると炬燵もあるし、エアコンもついているからぬくぬくで僕としては嬉しいんにゃ。
やっぱり誰もいないとお家はとっても寒いのにゃ。
お母さんは一日置きに病院にゃし、ご主人はお仕事やお出かけでいないし。
一人っきりでお留守番は寂しいし、寒いし…。猫の身にもなって欲しい…。
にゃから僕としては、お父さんでもいないよりはマシなんにゃよ。
お昼ご飯も分けてもらえるし、ね。
にゃんて言っている内に今年も終わるんにゃね。
僕にとっては初めての大晦日。どんなものかな、と思っていたんにゃけど、テーブルの上にはお刺身に蒲鉾に卵焼き。うにゃあ!僕の好物ばっかり。
にゃあ。なんだか結構良い日かも。これは、お正月、とやらも期待できるかにゃあ?

黒猫日記52

ふにゃあ。朔太郎にゃ。
お母さんたら、念願の卓上掃除機を手に入れたんにゃ。
以前使っていた奴が壊れてしまって、毎日大きい掃除機を引っ張り出すのが辛い、ってぼやいていたんにゃよ。
今度のはかなり使い易い、って大喜びのお母さんなんにゃけど、僕はとっても迷惑なんにゃ。
にゃんで、って、あいつったらこの僕に喧嘩を売るんにゃよ!
まあ、大きい掃除機の野郎も、毎回僕を追い回すから大嫌いなんだけど、卓上掃除機の奴はスイッチオンした途端にウィーンって唸って僕に宣戦布告をするんにゃ。それがすんごく気にいらにゃい。
にゃもんにゃから僕は尻尾の毛を逆立てながら反撃の準備をするにゃ。
お母さんが床のあちこちをお掃除し始める。掃除機の奴が宣戦布告する。僕が戦闘準備する。いざ対決。
掃除機、前後ろに牽制。朔太郎、サウスポーの構え、スタンバイ。
掃除機、一歩前進。出た、猫パンチ、ジャブの嵐だ。
掃除機、一歩退いた。朔太郎、猫ストレート。決まった。
しかし掃除機はたじろがない。また前進を開始。朔太郎、ピンチか?
いや、朔太郎も負けていない。後ずさりしながらの猫パンチの炸裂。
ぱんぱんぱん!しかし掃除機強し。猫パンチをものともせずに前進を続ける。
たまらず朔太郎、横にジャンプ。掃除機はそのまま構わず掃除を続けている。
朔太郎はまだ闘志満々。掃除機の後ろに回って猫ジャブを放つ機会を窺っている。
掃除機、方向転換。床の上を移動。朔太郎も微妙に向きを変えながら応戦体制。ひたすら絶好の機会を窺う。一撃の必殺技、炸裂か?
もう一度掃除機が向きを変えた!出た!朔太郎、ジャンプして体を半回転させた次の瞬間。両手パンチだ!朔太郎、絶対の必殺技、両手猫パンチが出た!
その威力のすざまじさ。掃除機のヘッドが外れた!
「朔太郎!こら!」
お母さんの声がゴングの代わりに響いて、この日の対戦は終わりを迎えたのでした。ちゃんちゃん。
(さくにゃあ、あんまりお母さんの邪魔しちゃいけないよ。まあ、見ていて面白いのは確かだけど。つい、実況してしまうほどに。by飼い主)

黒猫日記51

にゃ!朔太郎にゃ。
おうちにおこたが出来たのは話したよね?僕はそのおこたで遊ぶ術を覚えたんにゃ。
ある意味、おこたって猫にとって遊園地みたいにゃんだよ。何故って?にゃって、いきなりあっちこっちから手やら足やら入って来てじゃらけられるし、毛布の向こうで動く気配にも飛びつけるし。でも、それがお母さんの移動中だと僕はご主人に目一杯怒られちゃうんにゃ。お母さんは足元が危ないから、そんなことをして万が一怪我をしたら大変なんにゃって。そうは言ってもこたつの中からじゃ見分けがつかにゃいよね。
僕がそんな風にして遊んでいるのを知って、お母さんたら猫じゃらしをおこたの縁に出し入れして僕をじゃらす作戦に出たにゃよ。いっぱい遊ばせて疲れさせておいたをしないように、って。
そんな作戦に乗りたくなんかないんにゃけど、白いしっぽぽにはつい手が出ちゃうのは猫の性かしらね?
寒いと夜中の運動会がやりにくい、っていうのはあるんにゃ。だから僕はこのところ運動不足気味。にゃからかにゃあ。僕は丸々ぷくぷく猫になってしまったにゃ。
ご主人たら、「さくにゃあはどこを目指しているんだろうね?以前は黒豹になるをだっていっていたようだけど、今は熊さんになるつもり?」にゃって。
要するに僕は熊さん並にまあるくなっている、って言いたいのか?!
にゃー!全ては寒いのが悪いのにゃ!にゃんで急にこんなに寒くなっちゃったの?冬ってなあに?春になれば暖かくなる、ってお母さんは言っているけど、春ってなあに?何時来るの?
僕はやっぱり寒いのが苦手にゃ!

(春生まれのさくにゃあは寒いのが苦手なんだあ。分かる気がする。でも、寒いのが好きな猫ってお目にかかったことないしなあ。by飼い主)

黒猫日記50

ふにゃあ。朔太郎にゃ。
寒いにゃね。このところの朝晩の冷え込みは猫の身にこたえるにゃよ。
んにゃものにゃからお父さんが音をあげて、やっとおうちにはおこたが設置されたのにゃ。
お母さんが「おこたが出来るとあったかいよぉ。」って言っていたのが本当だったって、僕はしみじみ思ったにゃ。
ほんわかほこほこぬくぬく。おこたの中は猫の天国にゃ。どんなに寒い夜でもこの中にいれば大丈夫。
にゃんて喜んでばかりもいられないんにゃよ。
それがね、このうちはにゃんかお父さんがいないとおこたは付けない主義らしいのにゃ。
お母さんはエアコンで室温を上げて、しかも台所にいる確率が高いから、っておこたの必要性はあまりないんにゃって。
ご主人はほかほかトレーナーを着始めたから暑いぐらいだって言って、やっぱりおこたに見向きもしにゃい…。
にゃ~。にゃのでこの頃僕は、ひたすらお父さんの帰りを待っている日々なのにゃ。まあ、お父さんが美味しいおつまみを分けてくれる、っていうのもあるんにゃけど、寒いのにはどーしても勝てないのは猫の身の侘びしさかしらね?にゃあ。

黒猫日記49

みゃ。朔太郎にゃ。
お母さんたら、ご主人とお出かけしたな、と思ったら、巾着袋をぶら下げて嬉しそうに帰って来たのにゃ。
それがね、猫の顔と手足と尻尾、それに肉球が備わった巾着にゃの。そしてね、そのお顔が僕にそっくりにゃの。
黒くて、大きなまん丸お目目をしているんにゃ。お母さんはその目と目が合って、一目惚れしちゃったんにゃって。笑えるでしょ?さすが猫好きのお母さんにゃよね。
んでね、その子にも名前が付いたんにゃ。平仮名で「さくたろう」にゃって。紛らわしい、っつーの!
ほんと、この猫好き家族はちょっとどころじゃなく異常だと、猫の僕にさえ思えるにゃよ。
先月のご主人のお誕生日にはお友達とやらがいっぱいお祝いをしてくれたんにゃそうだけど、そのプレゼントの中身はほとんどがにゃんこグッズだったんにゃよ。それも黒猫ばっかり。にゃんでだろーね?先輩猫の白猫れおん君がいた頃は、白猫グッズが集まったんだそうにゃ。でも、僕が来て、世の中も黒猫ブームになっているのかにゃあ。
そう言えばニャンパイアって知ってる?あれって簡単に言えば羽の生えた黒猫にゃよね。あの表情が僕に良く似ている、って、喜んでいるお母さんとご主人にゃんだけど、僕は蝙蝠さんのような羽じゃなく天使さんの羽の方が似合うと自分では思うんにゃ。

(え?悪魔並に悪さがひどい子が何を言っているか!いつになったらそのやんちゃが治るのかしらねえ…。by飼い主)