黒猫日記52

ふにゃあ。朔太郎にゃ。
お母さんたら、念願の卓上掃除機を手に入れたんにゃ。
以前使っていた奴が壊れてしまって、毎日大きい掃除機を引っ張り出すのが辛い、ってぼやいていたんにゃよ。
今度のはかなり使い易い、って大喜びのお母さんなんにゃけど、僕はとっても迷惑なんにゃ。
にゃんで、って、あいつったらこの僕に喧嘩を売るんにゃよ!
まあ、大きい掃除機の野郎も、毎回僕を追い回すから大嫌いなんだけど、卓上掃除機の奴はスイッチオンした途端にウィーンって唸って僕に宣戦布告をするんにゃ。それがすんごく気にいらにゃい。
にゃもんにゃから僕は尻尾の毛を逆立てながら反撃の準備をするにゃ。
お母さんが床のあちこちをお掃除し始める。掃除機の奴が宣戦布告する。僕が戦闘準備する。いざ対決。
掃除機、前後ろに牽制。朔太郎、サウスポーの構え、スタンバイ。
掃除機、一歩前進。出た、猫パンチ、ジャブの嵐だ。
掃除機、一歩退いた。朔太郎、猫ストレート。決まった。
しかし掃除機はたじろがない。また前進を開始。朔太郎、ピンチか?
いや、朔太郎も負けていない。後ずさりしながらの猫パンチの炸裂。
ぱんぱんぱん!しかし掃除機強し。猫パンチをものともせずに前進を続ける。
たまらず朔太郎、横にジャンプ。掃除機はそのまま構わず掃除を続けている。
朔太郎はまだ闘志満々。掃除機の後ろに回って猫ジャブを放つ機会を窺っている。
掃除機、方向転換。床の上を移動。朔太郎も微妙に向きを変えながら応戦体制。ひたすら絶好の機会を窺う。一撃の必殺技、炸裂か?
もう一度掃除機が向きを変えた!出た!朔太郎、ジャンプして体を半回転させた次の瞬間。両手パンチだ!朔太郎、絶対の必殺技、両手猫パンチが出た!
その威力のすざまじさ。掃除機のヘッドが外れた!
「朔太郎!こら!」
お母さんの声がゴングの代わりに響いて、この日の対戦は終わりを迎えたのでした。ちゃんちゃん。
(さくにゃあ、あんまりお母さんの邪魔しちゃいけないよ。まあ、見ていて面白いのは確かだけど。つい、実況してしまうほどに。by飼い主)