黒猫日記167

にゃん。朔太郎にゃ。
僕にだって得意技があるんにゃよ。
それはね、お父さんからご飯のおこぼれを貰う時に、ちゃんと「んにゃんー」って言えることなんにゃよ。
お父さんにはそれが「ごはんー」って聞こえるんにゃって。
あとはね、お手、お代わり、両手。それから抱っこてっ手。
これだけ出来れば十分だと思わない?
でもね、おうちでは点数が辛いんだよ。
なにせ先輩猫のれおん君がとっても覚えの早いお利口さんだったものにゃから、どうしても比べられちゃうみたい。
お母さんの携帯からご主人に電話をかけた話にゃんか、伝説になっちゃっているし。
んで、姫にゃあは、逆に僕と比べられてるから、かなりおばかさんでも許されているみたい。
にゃんだか不公平だよね。
時々姫にゃあばかり贔屓されているようで、僕、イジケちゃうんにゃ。
そりゃあ、姫にゃあは小さくて軽くて抱き心地が良い、ってみんなにモテているにゃ。
僕は重たくて抱っこが嫌いな猫にゃから、「かわいくない」って言われるにゃあよ。
にゃんだか、僕だけ割に合わない気がするにゃ。
僕がいけないわけにゃないのに、にゃあ。

黒猫日記166

みゃあ。朔太郎にゃ。
元気になった姫にゃあに凄い特技があることが判明したにゃ。
今までも一人で猫じゃらしで遊んでいたんにやけど、この頃、その猫じゃらしをくわえてご主人やお父さんの所に持って行くにゃあよ。
「遊んでちょうだい。」ってアピールにゃんだ。
お父さんにゃんか喜んで相手をしてやっているにゃ。
確か、「テニスの王子様」ってアニメの中のカルピンって名前の猫さんもそんな特技を持っていて、お母さんにゃんか凄く羨ましがっていたんにゃ。
にゃけど姫にゃあは、お母さんにはそれをしないんにゃ。
ご主人かお父さんだけなの。
お母さんはおかげで少しイジケているにゃ。
姫にゃあも、お母さんと遊ぶのは好きじゃないみたい。
しょうがないよね。
猫にだってお遊びの仕方の好みがあるんにゃから。
僕もお母さんと遊ぶのは苦手にゃんだ。
どうもお母さんは猫の興味を引かない人間みたいにゃ。

黒猫日記165

なあご。朔太郎にゃ。
姫猫の手術が終わったのにゃ。
避妊手術と一緒に、のの字を書いて曲がっていた尻尾の手術もしたんにゃよ。
おかげで姫にゃあは満身創痍。
お洋服を着せられて、エリザベスカラーを付けられて、尻尾は包帯で包まれて、一泊二日で帰ってきたにゃよ。
最初は痛さの余りか、僕にまで唸っていたけど、お薬も効いてきて、だんだんいつもの姫にゃあになってきたにゃあよ。
良かった、良かった。
誰だって痛いのは辛いよね。
にゃから僕は、姫にゃあをそっとしておいてあげたんにゃ。
我ながらよい子だと思うよ。
にゃって姫にゃあは僕のお嫁さんなんにゃもの。
いつの間にか、男の本能、というか、そんな感じになって、既成事実が出来ちゃったんにゃ。
でも、去勢されている僕にゃから、子供は出来なかったんにゃ。
お父さんは少し残念だったみたい。
でも、ご主人はしばらくは猫の人口を増やす気はない、って。
猫好きのくせに猫アレルギーを持っているからにゃんだ。
ご主人も大変にゃんだよ。
にゃん。

黒猫日記164

にゃ。朔太郎にゃ。
大変にゃ。
姫猫の様子がおかしいにゃ。
やたらにゃごにゃご言って、腰が引けているにゃ。
ご主人が言うには「さかりがきた」んにゃそうにゃ。
姫猫は僕と違って、まだ避妊手術をしていにゃかったにゃ。
僕もおうちに来た秋には去勢手術を受けたもんにゃあ。
姫猫はまだ小さいから、と油断していたらしいんにゃ。
んで、姫猫の手術は決定。
暴れたり、マーキングをしたりの男の悪さはしないけど、やっぱり鳴き声や仕草のおかしいのはしょうがない。
しばらくは僕も見守ってやるかにゃ。

黒猫日記163

ふにぃ。朔太郎にゃ。
ご無沙汰しましたにゃ。
お母さんがまた入院したものだから、僕も色々大変だったにゃ。
今回は一時かなり危なかったらしくて、ご主人もおろおろしていたにゃ。
今現在は、本人至って元気で、あの、救急車で運ばれた騒ぎはいったい何だったの?って感じ。
十日程で帰ってきたし。
まあ、ペースメーカーって言うものを埋め込んだんだって言っているにゃ。
僕には何だか良く判らないけど、普段と違うのは良く判っていたにゃ。
にゃから、しょげているご主人を元気づけようと、一緒に寝てあげたり、姫猫と一緒にすりすりしてあげたりしたんにゃ。
結構気を使っているんにゃよ、これでも。
全く、お母さんは今、大殺界だからろくなことがない、ってぼやいているにゃ。
来年は良い年になるといいね、って考える僕にゃのでした。
にゃんにゃん。

黒猫日記162

みゃ。朔太郎にゃ。
ちび姫猫には困りものにゃ。
僕も夜中の運動会は時々やって、ご主人に怒られているけど、姫猫は、入っちゃいけない押入やか上っちゃいけない棚の上に上ってものを落下させるにゃ。
ご主人はその後始末に追われて大変なんにゃ。
その苛立ちのとばっちりが僕にもくるんにゃ。
朝っぱらからおかたずけを余儀なくされたご主人はえらく機嫌が悪いし、当の姫猫は隠れちゃって知らんぷり。
僕が同じ猫族として責任を取らされる羽目になっちゃう。
全く、割に合わないったらないにゃ。
僕がとろいせいだなんて言わないで。
男として逃げたりしないだけにゃ。
それに、姫猫にも可愛いところがあるにゃあよ。
だから僕は、少々のご主人の癇癪に耐えられるんにゃ。
まあ、もう少し大きくなれば、悪戯も収まるさ、きっと。
僕がそうだったように。

黒猫日記161

ふみぃ。朔太郎にゃ。
お母さんの視力が落ちて、ご主人はてんてこ舞いの忙しさにゃ。
一人で何にも出来ないほどまで下がっちゃったものにゃから、歩くのも大変だったみたいにゃ。
体調が良くなるとともに少しは良くなったみたいにゃけど、ご主人を独り占めしするのはよして欲しいにゃ。
ちび姫猫と僕とで、思いっきり寂しかったのにゃ。
僕はおかげで、トイレの窓からお外を見る癖が付いてしまったにゃ。
本当は一人で眺めるのがいいんだけど、いつの間にか姫猫も隣にいるようになったにゃ。
結構危険だから、姫猫には止めて欲しいんだけど、何でも僕のまねをするんだ、あの子は。
困ったものにゃ。
にゃんにゃん。

黒猫日記160

なぁ。朔太郎にゃ。
やっと僕も姫猫との生活に慣れてきたみたいにゃ。
ご飯は取られるのが判ったから先に食べるし、疲れたら押入のすみに隠れちゃう。
あの姫猫のエネルギーとバイタリティには本と、参ってしまう。
僕だってまだまだ若いはずなんだけど、その遙か上をいっているからね。
逃げるが勝ち、って言葉があるけど、その通りだと思うよ。
相手が女の子ならなおさらだよね。
と、言う訳で、僕の一日は過ぎていくのでした。にゃん。
ある意味、悲劇にゃ。

黒猫日記159

にゃん。朔太郎にゃ。
うちのお母さんったらこの頃、体調は悪いし、神経の方も病んできて、ご主人が困っているにゃあよ。
あんだけ図太そうに見える人が、今や大量のお薬のお世話になっているにゃんて、信じられないにゃ。
お母さんじしんもびっくりしているけどね。
僕たち猫と一緒に寝ていたお母さんが眠れなくて、消化管出血なんか起こしていたら、さすがの僕たちも気になっちゃう。
姫猫とどうしたらいいのか判らなくて小さくなっていたら、「猫は猫らしくしていてくれるのが一番。」って言ってくれたにゃ。
本当、早く良くなってくれなくちゃ、僕たちも困るんだからね。

黒猫日記158

みぃ~。朔太郎にゃ。
僕は怪我をしちゃったのにゃ。それも鼻の頭に擦り傷を…。
お母さんは「さくの綺麗なお顔に傷が付いちゃって勿体ないねえ。」なんて言っているにゃあよ。
どうしてそんなことになったのか、ぅてきくの?
あのね、僕にはトイレの高窓に乗ってお外を眺めるって変な癖があるんにゃ。
お外は怖くて出たい、なんて考えたりもしないんにゃけど、その時は偶然にも窓がいつもより広く開いていて、僕の足が細いさんからつるりと滑ったにゃ。
余りに突然で、窓の位置がかなりの高さだったものにゃから、僕は着地に失敗して頭から落っこちちゃって鼻の頭を擦りむいたんにゃ。
猫の運動神経はどうした?と聞かないで。僕だって不思議に思っているくらいにゃんだから。
それからは、落っこちたショックと傷ついたプライドと、未知なる外界への恐怖で僕の頭は瞬間真っ白になり、次にはパニックに陥ったにゃ。
どうしていいのか判らないから、とりあえずおうちとお隣の間の隙間に逃げ込んだにゃ。
そこで固まっているしかできなかったにゃ。
朝になってお家の中ではみんなが起きてきた気配。
でも、誰も僕がいないことに気づいてくれにゃい。
「普段の行いが行いだからねえ。」とはご主人の言葉。
「しょっちゅう隠れているからいないことにも気づかなかったよ。」にゃって。
その時に、大声でご主人を呼んでいたら、それでも気づいてもらえたのかも知れないけど、パニック中の僕には声一つ上げられにゃい。
結局、お母さんとご主人がお出かけから帰るまで、僕はひたすら狭い所で小さくなっておびえて過ごすしかなかったんにゃ。
その時間の長いこと。
僕はとことん後悔したにゃ。
ご主人が帰ってきた、と判った瞬間、僕は必死に声を出していたにゃ。
その声の異常さに気づいたご主人は、まずお家の中を全部捜索し、やっとお外で小さくなっている僕を発見して連れ戻してくれた乃にゃ。
お家の中に戻っても、姫猫は違う臭いの僕に敵意丸出しだし、僕は僕でショックから抜け出せていないし。
大したことはないだろうとは思われた僕の怪我も一応お医者さんに診て貰うことになって僕はゲージに入れられてお医者さんへ。
怪我は本当に大したことはなくて、僕はすごすごとご帰宅。
ただ姫猫だけは、次の日まで僕にうなっていました。おしまい。
ふにゃあ。ひどい目にあったにゃあ。