みぃ~。朔太郎にゃ。
僕は怪我をしちゃったのにゃ。それも鼻の頭に擦り傷を…。
お母さんは「さくの綺麗なお顔に傷が付いちゃって勿体ないねえ。」なんて言っているにゃあよ。
どうしてそんなことになったのか、ぅてきくの?
あのね、僕にはトイレの高窓に乗ってお外を眺めるって変な癖があるんにゃ。
お外は怖くて出たい、なんて考えたりもしないんにゃけど、その時は偶然にも窓がいつもより広く開いていて、僕の足が細いさんからつるりと滑ったにゃ。
余りに突然で、窓の位置がかなりの高さだったものにゃから、僕は着地に失敗して頭から落っこちちゃって鼻の頭を擦りむいたんにゃ。
猫の運動神経はどうした?と聞かないで。僕だって不思議に思っているくらいにゃんだから。
それからは、落っこちたショックと傷ついたプライドと、未知なる外界への恐怖で僕の頭は瞬間真っ白になり、次にはパニックに陥ったにゃ。
どうしていいのか判らないから、とりあえずおうちとお隣の間の隙間に逃げ込んだにゃ。
そこで固まっているしかできなかったにゃ。
朝になってお家の中ではみんなが起きてきた気配。
でも、誰も僕がいないことに気づいてくれにゃい。
「普段の行いが行いだからねえ。」とはご主人の言葉。
「しょっちゅう隠れているからいないことにも気づかなかったよ。」にゃって。
その時に、大声でご主人を呼んでいたら、それでも気づいてもらえたのかも知れないけど、パニック中の僕には声一つ上げられにゃい。
結局、お母さんとご主人がお出かけから帰るまで、僕はひたすら狭い所で小さくなっておびえて過ごすしかなかったんにゃ。
その時間の長いこと。
僕はとことん後悔したにゃ。
ご主人が帰ってきた、と判った瞬間、僕は必死に声を出していたにゃ。
その声の異常さに気づいたご主人は、まずお家の中を全部捜索し、やっとお外で小さくなっている僕を発見して連れ戻してくれた乃にゃ。
お家の中に戻っても、姫猫は違う臭いの僕に敵意丸出しだし、僕は僕でショックから抜け出せていないし。
大したことはないだろうとは思われた僕の怪我も一応お医者さんに診て貰うことになって僕はゲージに入れられてお医者さんへ。
怪我は本当に大したことはなくて、僕はすごすごとご帰宅。
ただ姫猫だけは、次の日まで僕にうなっていました。おしまい。
ふにゃあ。ひどい目にあったにゃあ。