黒猫日記8

にゃん!朔太郎にゃ。

僕がおうちに来てからもう一月が過ぎたにゃ。にゃんだか体長も体重も二倍になったみたい。お母さんなんか「重たくなったねえ。」ってしみじみ言うんにゃよ。まあ、これも僕がよく食べ、よく遊び、よく眠る、を地でやっているからにゃ。えへん、えらいでしょ。僕も大きくなってきたからいろいろ知恵もついてきたのにゃよ。朝ご飯が欲しい時はお母さんを起こすのが一番にゃってこととか、ご主人がパソコンをしている時は邪魔をすると怖い、とか、お父さんのおつまみは簡単に貰えてしかもおいしい、とか。毎日いろんなことがあって、いろんなことを覚えていくんにゃ。生きていくって楽しいにゃあ。僕、捨てられて人間不信になりかけたけど、やっぱり人間が好きみたい。拾われて良かったかも。

(…朔猫はそう言ってくれますが、毎日の悪戯のものすごさに困っております…。あと、せめて顔で練るのを止めてくれたら、助かるんですけど…。無理かなあ…。by飼い主)

黒猫日記7

にゃ~。朔太郎にゃ。

僕って育ち盛りの食べ盛りでしょ。にゃからすんごくお腹が空くのにゃ。ちゃんと朝ご飯にかりかりを一袋貰うんにゃけど、お昼前にはもう小腹が好いちゃう。にゃもんにゃから誰かが何かを食べているとつい「僕にもちょーだい!」っておねだりしちゃうにゃ。今日もおやつを食べているご主人におねだりしたの。そしたらご主人は呆れた顔をしながら分けてくれたんにゃ、ショートケーキ。ご主人は最初、スポンジの部分をくれたにゃ。僕がぺろりと平らげたので、ご主人たらクリームをたっぷりつけたままの欠片をくれたの。僕ははぐはぐいいながら口の周りを白くして、あっという間に食べちゃった。その後、顔を洗っている僕に、ご主人曰く「朔太郎は甘党なんだね。」

にゃん。そーいえば僕、ひじきの煮物も好きだし、甘い味付けの煮物なら何でも食べるし。この間はお母さんのミニクリームパンをお留守の時につまみ食いしちゃったし。うん、クリームパンはすんごくおいしかったにゃあ。僕、二つも食べちゃったんにゃ。お母さんも吃驚してたにゃ。あと、卵焼きも好きにゃ。ご主人は「これだけ雑食で甘い物好きの猫も珍しいよ。」にゃって。雑食ってなあに?おいしい物のことかにゃあ?

(まあ、何を好きでもいいんだけど…。この分だと絶対太るよねえ…。太い猫は好きだから良いんだけど、糖尿病猫にはならないでね。by飼い主)

黒猫日記6

にゃん!朔太郎にゃ。

お母さんったら僕がおうちに来てから睡眠不足にゃんだって。原因は僕にゃんだ。僕はおこたの中で寝ているんにゃけど、空腹のあまり夜明けとともに目が覚めちゃうのにゃ。まだその頃は寒いから、にゃんとなく暖かいところを探すと、そこにはぬくぬくの毛布の中のお母さん。お母さんは僕のおいたにもあんまり怒らないで許してくれるから、つい、お母さんの枕元に行って「入れてちょーだい!」をしちゃうの。お母さんは毛布を持ち上げて僕を引っ張り込んでくれるんにゃけど、僕は注文の多い猫なんにゃ。お顔が毛布の外に出ていなくちゃイヤだし、高いところにいたいし。一番好きなのは人間の顔の上にゃの。寝ている人のおでことかほっぺとか、最悪、頭の上でもいいのにゃ。だから何度お母さんが肩の上で寝かせようとしても無理矢理お母さんのほっぺによじ登っちゃうの。そうするとお母さんはアレルギーが出ちゃってくしゃみと鼻づまりがひどくなって寝ていられなくなっちゃうんにゃ。それで仕方なく起きるんにゃけど、それが目覚ましの鳴る一時間も前にゃの。お母さんが

起きると僕は朝ご飯が貰えるものだと思い込んでいるから「朝ご飯ちょーだい!」って催促するでしょ。お母さんは僕が騒ぐとお父さん達に悪いから早めにご飯をくれるんにゃ。そうするとお母さんはもう寝られにゃい。よって睡眠不足、にゃんだって。そのあとお母さんはアレルギーでおめめが痒くて大変にゃんだって。大量の目薬を差しているよ。僕には悪気がないから、ってお母さんは笑うんにゃ。僕はちょっと反省するんにゃけど、夜になると忘れちゃうみたい。ごめんね、お母さん。ねえ、この癖って治らにゃいのかしら?誰か教えて。

黒猫日記5

みゃあ。朔太郎にゃ。

食べ盛りの僕にゃんだけど、お父さんたら面白がっていろんな物を食べさせたがるんにゃょ。猫はかりかりのドライフードを食べさせるのが健康にも長生きにも一番良い、って知っているのにね。まあ、お仕事から帰ってきて猫を相手に晩酌をするのがお父さんの楽しみの一つにゃんだからしようがないね、ってお母さんは笑うのにゃ。僕もおいしいお肉やお魚をもらえるから文句はにゃいのにゃ。だけど、春雨やラーメン、もやしに人参、胡瓜にこんにゃく…。それって猫の食べ物?さすがに刺激物や香草類は絶対駄目なのを知っているから試そうともしにゃいけど、さ。何でも食べたがる僕が悪いの?にゃって興味があるんにゃもん。好奇心旺盛なお年頃にゃんだもん。それに、お父さんの食べている物って大体すごーくおいしいにゃ!でも、人参、キライかも…。

(好き嫌いはいけないんだよ、朔太郎。でもお父さんの相手をしてくれるのは嬉しいな。あの人、結構気難しいんだ。by飼い主)

黒猫日記4

にぃ~。朔太郎にゃ。
遊び盛り、育ち盛り、食べ盛りの僕は、毎日大きくなる、ってお母さんは言うのにゃ。最初、ご主人の片手に乗れた僕は、今は両手にも余るにゃ。肩の上に飛び乗って遊んでいた僕が、今は乗れずにずっこけるにゃ。問題にゃのは、僕自身がどのぐらい成長しているのかを自覚していにゃいことにゃんだ。ご主人の肩にしてもそうにゃ。もう、どう足掻いても寸法的に無理にゃのに、つい乗っかろうと飛びついちゃう。そしてずっこける。その時に落っこちたくにゃいものにゃから爪が立つにゃ。そうするとご主人も傷だらけ…。そんな風に怪我をさせるつもりはにゃいのににゃあ。ごめんね、ご主人。大きくなったらネズミをプレゼントするから、許してにゃ。

黒猫日記3

ふみぃ。朔太郎にゃ。僕は黒猫だと思っていたけど、実は全身真っ黒ではないのにゃ。腋の下にちょびっとと下腹に一文字、白い毛が生えているのにゃ。あと、頭に何となく黒と言うよりは濃い茶色に見える部分があるのにゃ。それじゃあ三毛猫なのかしら、とお母さんは笑うのにゃ。三毛猫の雄はすんごく珍しいんにゃって。今度お医者さんに聞いてみるんにゃって。お母さんは学校時代、生物の授業が好きで、遺伝の法則に興味があるんにゃ。にゃからもし僕が三毛猫の雄ならすごく嬉しい、って言っているにゃょ。僕はおうちでみんなにかわいがられていれば、何でも良いんにゃけど。

それはそうと、僕はご主人がお出かけする時、玄関で追っかけ鳴きをするんにゃけど、それが先輩猫のれおん君にそっくりだってご主人は言うんにゃよ。僕はれおん猫のことは知らないんにゃけど、大好きなご主人を追いかけるその気持ちは良く分かるのにゃ。だからご主人に、れおん二世、って呼ばれても敢えて否定はしないのにゃ。でもれおん猫は真っ白猫だっていうのに、どうして僕に似ているんにゃ?訳分かんにゃい。ご主人、僕をからかっているのかにゃあ。

(姿形は違うけど、性格が…。どうして私がご主人な訳?by飼い主)

黒猫日記2

にゃ!朔太郎にゃ。
にゃんだか世の中は連休だとかで騒がしかったにゃあ。僕がおうちに来てから、もう半月が過ぎたんにゃよ。毎日、お腹いっぱい食べて、ひたすら遊んで、よく眠って。お母さんは「さく猫はなんだかふた周りくらい大きくなったよね。」って言うんにゃよ。確かに僕が貰われて来た時には、お母さんの片手の手のひらに乗っていられたにゃあ。今は片手では持ち上がらなくなりつつある…。にゃあ、やっぱり将来はデブ猫候補かにゃあ。あ、ご主人が笑っているにゃ。そうにゃの。お母さんにひっついていた僕にゃんだけど、ご主人様と認めたのはお姉ちゃんなの。にゃんでかにゃあ?僕にもあまり良く分からにゃいにゃ。でも、ご主人がおうちからいなくなるのがイヤなの。僕を置いて行かれちゃうのがイヤなの。お留守番がイヤなの。だからつい追いかけ鳴きしちゃうの。お母さんやお父さんがおうちからいなくなっても全然平気なのに、ご主人はイヤなの。変だよね?でも僕は、やっぱりご主人一筋で行くんにゃ。これって、このおうちの伝統にゃのかも…。

黒猫日記1

にゃん。初めまして。僕、朔太郎(さくたろう)。四月二十日の日に貰われて来たのにゃ。今、三ヶ月の黒猫にゃ。これからは僕が呟き、にゃらぬ日記を配信するにゃ。よろしくね。

四月二十日。雨がざあざあ降って思い切り寒い日。僕は公園の桜の木の下の段ボール箱の中に捨てられていたにゃ。最初、兄弟たちと一緒だったんだけど、小学生の女の子に出会った頃には僕一人になっていたんにゃ。女の子は僕をおうちに連れて帰って飼ってくれるつもりだったんにゃけど、おうちにはもう八匹の猫さん達がいて、「これ以上は無理。」ってお母さんに言われたんにゃ。女の子は仕方なしに里親を捜しにご近所のスーパーで片っ端から声をかけてくれたんにゃよ。やっぱり猫は猫好きを呼ぶ、ってお母さんは笑っていっていたけど、偶然、そこに居合わせたのがおうちのお向かいさん。おうちで先輩猫が天国に行っちゃったことを知っていたので、いち早くお母さんに電話してくれたにゃ。お母さんとお姉ちゃんは飛んできてくれたにゃよ。お姉ちゃんにおとなしく抱っこされた僕は、「うちの子になる?」ってお母さんの言葉にお返事も出来なかったんにゃけど、女の子の困った顔と冷たい雨と僕の小ささとで、お母さんは僕を連れて帰ることを即決したんにゃ。

その時は僕は、「おとなしい女の子」って触れ込みで「さくら」って呼ばれていたんにゃ。桜の木の下にいたからにゃ。だけど、おうちについておうちと家族に慣れてからの僕の行動のあまりのやんちゃさに、お母さんは「男の子じゃないの?」と思ったんにゃって。「そうじゃなければよっぽどのやんちゃ姫だね。」にゃって。そんなお母さんの考えは大当たり。三日経ってお医者さんに健康診断に連れて行かれた僕にお医者さんは「男の子ですね。」

僕の名前はその時から朔太郎になったんにゃ。