黒猫日記1

にゃん。初めまして。僕、朔太郎(さくたろう)。四月二十日の日に貰われて来たのにゃ。今、三ヶ月の黒猫にゃ。これからは僕が呟き、にゃらぬ日記を配信するにゃ。よろしくね。

四月二十日。雨がざあざあ降って思い切り寒い日。僕は公園の桜の木の下の段ボール箱の中に捨てられていたにゃ。最初、兄弟たちと一緒だったんだけど、小学生の女の子に出会った頃には僕一人になっていたんにゃ。女の子は僕をおうちに連れて帰って飼ってくれるつもりだったんにゃけど、おうちにはもう八匹の猫さん達がいて、「これ以上は無理。」ってお母さんに言われたんにゃ。女の子は仕方なしに里親を捜しにご近所のスーパーで片っ端から声をかけてくれたんにゃよ。やっぱり猫は猫好きを呼ぶ、ってお母さんは笑っていっていたけど、偶然、そこに居合わせたのがおうちのお向かいさん。おうちで先輩猫が天国に行っちゃったことを知っていたので、いち早くお母さんに電話してくれたにゃ。お母さんとお姉ちゃんは飛んできてくれたにゃよ。お姉ちゃんにおとなしく抱っこされた僕は、「うちの子になる?」ってお母さんの言葉にお返事も出来なかったんにゃけど、女の子の困った顔と冷たい雨と僕の小ささとで、お母さんは僕を連れて帰ることを即決したんにゃ。

その時は僕は、「おとなしい女の子」って触れ込みで「さくら」って呼ばれていたんにゃ。桜の木の下にいたからにゃ。だけど、おうちについておうちと家族に慣れてからの僕の行動のあまりのやんちゃさに、お母さんは「男の子じゃないの?」と思ったんにゃって。「そうじゃなければよっぽどのやんちゃ姫だね。」にゃって。そんなお母さんの考えは大当たり。三日経ってお医者さんに健康診断に連れて行かれた僕にお医者さんは「男の子ですね。」

僕の名前はその時から朔太郎になったんにゃ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です