姫猫日記

にゃ。あたち兄姫(えひめ)にゃ。
どーして兄姫かというと、四匹兄弟で拾われてそのうち二匹が女の子で、歴史好きなお母さんが、倭武尊の奥さんで姉妹だった兄橘姫(えたちばなひめ)と弟橘姫(おとたちばなひめ)からとったんにゃって。
ややこしいから兄姫(えひめ)、弟姫(おとひめ)とよぶことにしたんにゃ。
弟姫はわりとすぐに貰い手が見つかって、お兄ちゃん達も貰われていって、結局、あたちだけ売れ残っちゃったの。
だからこの頃は兄姫の兄までとれて、「姫ちゃん」て呼ばれているんにゃ。
お母さんは「名前負けしてるよね。」って言うんにゃよ。自分で付けといて、ね。
ご主人も弟姫は美猫で温和しくて、小さくて可愛かったけど、姫ちゃんは不細工だから。」なんて言っているにゃ。
あたちは不器量でお転婆。その自覚くらいあるにゃよ。
でも、ご主人はそこも含めてあたちのことが大好きだから問題はないんにゃ。
ただお母さんが今頃になって「やっぱり名前を付け間違えたかな。」なんて言っているにゃ。
あたちの顔を見る度に「源氏物語の末摘花(すえつむはな)」を連想するんにゃって。
そのお姫様は不細工で鼻が大きくて赤かったんにゃって。
あたちも鼻のところが変な風に黒いにゃよ。そうでなければ不細工って言われないですむのに。
まあ、お母さんがにゃんと思おうが、ご主人が「姫ちゃん」って呼んでくれているからいいんにゃけどね。
でも、お母さんは頭でっかちのすかたんだとあたちは思うんにゃ。