にゃ。朔太郎にゃ。
僕は、ご主人に言わせると変なところだけ器用にゃんだって。
まあ、我ながら偏屈で頑固なのは認めるところにゃんだけど、なににせよ、そうやってご主人に褒めてもらえるのはうれしいにゃ。
え?何をやらかしたかって?
にゃあ。あのね、おうちのトイレは、あ、勿論人間さん用の方ね、ドアじゃあなく引き戸にゃんだけど、僕、それを開けちゃうんにゃ。
以前から、お父さんやお母さんがトイレに入る時、どさくさ紛れのようにして一緒に入っちゃう癖があったんにゃ。
にゃけど、この頃、お母さんがおうちに帰ってくると、誰もトイレを使う人がいないのに、トイレの扉が少しだけ開いている、って現象が続いて、不思議に思っていたんにゃって。
それをご主人に話したら、ある晩、夜更かししていたご主人は、僕が爪を引っかけて扉を開けるところを偶然目撃したんにゃ。
驚いたご主人は思わず「さくにゃあ、あんた、まあ、なんて器用なことを…。」って呟いたのを僕は聞いたのにゃ。
僕の趣味には「黒猫探検隊」というものもあるにゃ。
好奇心の赴くまま、普段入ると怒られる場所なんかを、みんなが寝静まった夜中とか、お留守番をさせられている昼間に片っ端から入ってみるのにゃ。
おふろ場へ行くドアと押入とご主人の衣装ダンスはもうクリアしたんにゃ。
にゃからトイレは最後の砦みたいな場所だったんにゃ。
ご主人は「まあったくもう…。」って言いながら僕を見つめるにゃ。
僕は鼻高々で少しいい気分にゃ。
(あのね、さくにゃあ。私は決して褒めてはいない。どちらかというと呆れている。どうしてこう、どうしようもないことばかりをやらかすかなあ…。by飼い主)