黒猫日記109

ふにゃあ。朔太郎にゃ。
僕ね、この頃やっと玄関の段々の下まで降りられるようになったんにゃよ。
この夏、ご主人が、植木鉢の蜜柑の木に産みつけられる揚羽蝶の卵と幼虫達を退治するのを見るために、おそるおそるだけど降りられるようになったんにゃ。
蜜柑の木は、お母さんが去年の春先に、食べていた柑橘類の種を植木鉢に試しに植えたものが芽を出した、という変わり者で、ご主人もお母さんも成長を楽しみにしているんにゃよ。
にゃから、蝶々の幼虫とはいえ、食べられて禿げ茶瓶になって枯れてしまうのはイヤにゃんだって。
にゃけどご主人は、未だうら若い女の子にゃ。
にゃから、葉っぱの上に幼虫さんを発見すると、「キャー!」って叫ぶんにゃ。
僕はその声を聞いて、途端に心配になって、ご主人の姿が見える段々の下まで降りざるを得なくなっちゃうの。
そういう訳で、今年の夏は揚羽蝶が大活躍してくれたおかげで、僕は段々の下、車道の上まで降りることが出来るようになったんにゃ。
でも、人間って不思議にゃね。
ご主人たら、「キャーキャー」言いながらも、ちゃんとミニスコツプで幼虫さんを捕獲すると排水溝へと落とし込む、というかなりすごい作業をこなしているにゃよ。
そんなに恐ろしければよせばいいのに、と思っているのは僕だけなのかにゃあ?