みぃ。朔太郎にゃ。
人間には守護霊さんといって、背中に何体かの霊を背負っていることを、皆さんは知っているかにゃあ?
それとは別に、猫にはお化けが見えている、ってことは?
この頃の僕としては、悩みの種はいつも先輩猫のれおん君にゃんだ。
この間も比べられてイヤになったお話をしたばかりにゃよね。
それはまだしも、もっと気にいらにゃいのは、ご主人の左肩の上に守護霊さんとして居座っているれおん猫さんにゃんだ。
今日も今日とて、ご主人が一緒に寝ようとお布団に呼んでくれたので、うきうきしながら腕枕で寝ようとしたら…。
ぺしっ!
何もないはずのところから飛んできた猫パンチ。
にゃ!僕は驚いて飛び退いたにゃ。
それはご主人も一緒だったみたい。
「さくにゃあ、どうしたの?」
びっくりお目目になってご主人の左肩を見ている僕に、ご主人も怪訝な顔。
ご主人には自分の肩の上の存在は見えていないんにゃよ。
でも、そこにれおん猫がいるのは、薄々気がついているみたいにゃ。
まあ、今までも僕がご主人と親密にひっついていると必ず、瞬間的に僕が飛び退いて逃げ出す、なんてことがよくあったから、なんにゃけどね。
お母さんにはご主人の肩のれおん君の尻尾とか前足が見えている時があるんにゃって。
だから、僕が何もないところで何かをじっと見ていても納得してくれるんにゃ。
でもご主人は頭からクレッションマークを出すばかりで全然解ってくれないんにゃ。
僕としては実体すらない奴にやられっぱなしではしゃくに障るし、腹も立つし。
反撃したいのはやまやまで、いつかは勝ちたいとも思ってはいるんにゃけと…。
いかんせん敵は最早実体のない存在。
僕がご主人に抱っこされる度に対決を試みるんにゃけど、こっちがいくら睨もうと全然効き目はないし、猫パンチは空を切るばかり。
それなのにあちらさんの猫パンチは確実に僕にヒットするんにゃ。
なんて不公平にゃんだろう。
僕はその痛みにすごすごと引き下がるしかなく…。
ふにゃあ。結局、このおうちに来て一年以上経つのに、僕はれおん猫さんに一度として勝てたことがないんにゃ…。
ぐすん。この分だといつまで経ってもご主人を独り占めに出来ないんじゃにゃいかと、今、すごく危ぶんでいるんにゃよ。
誰か、お化けに勝つ方法を教えてくれないかにゃあ…。
それが今一番の僕の望みなんにゃ。