黒猫日記86

うにゃ。朔太郎にゃ。
日向ぼっこで出窓に佇んでいたら、お母さん曰く、「でっかい猫だわよねえ。」
それを受けてご主人曰く、「でかい猫ですよぉ。」
全く、何を言うのやら、って黙って聞いていたんにゃけど、単に四方山話らしいにゃ。
人間って、お天気の良いこんな日には、かなり頭がぼんやりするみたいにゃ。
「さくにゃあったら、また太ったみたいよ。」
出窓の僕を肴に、会話は続く。
「今、何キロあるんだろうね…?」
「う~ん、お米よりは重いんだろうねえ。」
「お腹のところの皮下脂肪、握れるくらい、たんとあるものねえ。やっぱ、若年性メタボ?」
「お父さんが悪いんだよねえ、余計なものばかり食べさせて。」
「だよねえ。猫にはカリカリだけを与えるのが一番猫にとってはいいのにね。」
「そうなのよね。でも、おつまみを猫にあげるのを唯一の楽しみにしているお父さんに、やめろ、とは言えないじゃない?」
「だよねえ。これじゃあさくにゃあは太る一方だね。長生きできないなあ。」
「可愛がる方法が間違っている、と言うか…。食べたがる猫が不憫、と思うんだろうね。」
「うん。分かる気はする。」
「貧乏で食べる物にも苦労したからね。例え猫でもお腹を空かせているのを見るのは忍びないんだろうね。」
「ふーん。色々あるんだね。」
「まあ、今も貧乏は変わらないけど、食うのだけはなんとかなっているから。昔のことはどうしようもないよ。」
にゃあ。にゃんだか暗い話だにゃあ。
「今現在、家族三人と猫一匹が、無事に生きていっている、ってことが大事なんだよねえ。」
「その通りだね。こうやって猫日和に日向ぼっこ出来る幸せ、ってすごいことだと思うよ。」
「そうだねえ…。」
あれ?静かになったと思ったら、お母さんもご主人も眠っちゃっているにゃ。にゃあ。やっぱりこんな日は人間も気持ちがよくてうとうとしたくなるんにゃね。
さて僕もご主人の隣で寝ようかにゃ。う~ん、ぽかぽか、良い天気。
おやすみにゃさい。