黒猫日記85

にぃ。朔太郎にゃ。
おうちではこの頃、「もう一匹、子猫が欲しいね。」って話が持ち上がっているんにゃ。
「黒猫には飽きた。」と言うのがご主人の冷たい意見。
ふにゃ~。僕が黒猫なのは僕のせいじゃあにゃいやい!
ってイジケていたら「そんなところが可愛くないんだよね。だから、可愛い子猫がいいな。」
ご主人が追い打ちをかける。
「今度はしましまが良いなあ。」とはお父さん。
「白猫が長いこと頑張っていたからなあ。変わったのがいい。」
にゃー!だから、僕がいるってば!僕の立場はどーなのさ?!
「私は私だけの猫が欲しいなあ。」とはお母さん。
「さくにゃあは私と遊んでくれないし、私のことを一番下だと思っているもの。私を飼い主だと思ってくれる子猫が欲しい。」
にゃ?僕にはご主人しか目に入らないのがそんなに悪いの?
僕がこんな性格なのがそんなに悪いの?
確かに僕は、芸の覚えは悪いし、お返事は出来ないし、盗み食いはするし、ゴミ漁りはするし…。にゃー!悪いとこばっかり?!
ふるふるふる。僕にだって良いとこはいっぱいあるはずにゃ。
ってご主人に詰め寄ったら、「…まん丸きらきらお目々で首を傾げて人を見るところは可愛いかなあ。」にゃって。
それだけかい!って突っ込みを入れたくなったにゃ。
ご主人、さんざん考えて、「…他には、ない。」
にゃー!にゃー!にゃー!そんにゃあ!
「さくにゃあは重たいし、お散歩もしてくれないし、ケープも着てくれないし、お外に出てもくれない。私、リードでお散歩している黒猫さんに憧れていたんだよね。」とご主人は突き放す。
ふにゃあ。それって、僕はもういらないってこと?
ぺしゃんこになった気分でいたら、ご主人がそっと頭を撫で撫で。
「おばかなさくにゃあ。バカはバカなりに可愛い、って言葉を知っている?さくにゃあはさくにゃあでいいんだよ。」
にゃあ?僕には良く分からにゃい。
「みんな猫好きだから、一度、たくさんの猫に囲まれて生活してみたい、って思っているだけなんだよ。さくにゃあが嫌がったり、縁がなかったりしたら、おうちには他の猫は来ないよ。」
にゃ?ご主人は複雑な笑い方。僕には理解不能。結局、僕はまだまだ若い猫にゃんだね…。