黒猫日記40

にゃー。朔太郎にゃ。
僕の傷が良くなったのを見計らって、ご主人ったら僕を夜のお散歩に連れ出したのにゃ。でも、僕はやっぱり「内弁慶の朔太郎」だったにゃ。
玄関から顔だけしか出せずにぐずぐずしていたら、ご主人は痺れを切らして僕を担いで一路近所の公園へ。そこで地面に下ろされたんにゃけど、僕は伏せるだけで一歩も動けにゃかったにゃ。見る物聞く物嗅ぐ物、みんなが僕にとって驚異にゃんだ。怖くて瞳孔は開きっぱなしになっちゃうし、心臓はばくばくいうし、鼻は乾いてかさかさになっちゃうし。にゃんで僕はこんな目に遭っているんにゃ?
にゃけど夜の闇は猫の味方にゃ。ひとけのない夜中の公園は、僕に少しずつ落ち着きをくれたのにゃ。
そうっと辺りを見回しながら一歩を踏み出すにゃ。にゃあ。お外はすんごく興味を引くんにゃけど、何が起きるかわからにゃい分だけ僕を怯えさせるんにゃ。世の中にはにゃんて僕の知らないことがいっぱいにゃんだろう。
きょろきょろして様子を窺う。ご主人はリードを引っ張って歩くよう催促するんにゃけど、やっぱり怖すぎる~。
そのうちにお散歩わんこがやってきて、僕とご主人は慌てて撤収。わんこに吠えられた僕は耳ぺたん、尻尾たらん。
にゃー!結局、僕が地面を歩いたのは、おうちの近所の曲がり角を曲がった後の二三メートルだけにゃったのにゃ。だけどその夜、僕は疲れ果てて夜明けまでぐっすり眠って、「お母さんを煩わせない良い猫」にゃったんだって。にゃあ、それってどーにゃの?