みゃあ。朔太郎にゃ。
結局、涼しくなってきた夕方に、僕はご主人にお散歩に連れ出されたにゃ。ハーネスはやっぱり居心地が悪くて、僕はおうちのなかからもう気分はブルー。ころんと寝転がっていやいやをしていたんにゃけど、ご主人は徹底無視。僕を抱き上げてさっさと玄関へ。ご主人の肩の上で固まっている僕を玄関前の階段に引き剥がすようにして下ろしたご主人は一言。「ほら、お外は気持ちいいでしょ?」ふにぃ~。そりゃあ、ご主人は気持ちいいでしょうよ。でも僕は慣れないお外にどきどきびくびく。車が通っても飛び上がり、自転車が通っても固まり…。うー!お外は刺激が強すぎるにゃ!そんな僕をご主人たらけらけら笑いながら見ているにゃよ。「やーい!さく猫の弱虫!臆病猫!」にゃって。ふん!僕は弱虫でも臆病でもにゃいよ!ただずうっとおうち猫をしていたから刺激に弱いだけにゃよ!と、いくらご主人に抗議しても、うちのご主人には猫語は通じにゃい。仕方なしに僕は、ご主人の引っ張るハーネスの紐にずりずり引きずられるようにして移動を開始。それでもおよその猫さんの声が聞こえて来るまでの時間、およそ三メートルは歩いたかにゃあ。僕はそこで動けなくなったにゃ。肉球は痛いし、どこかでほかの猫さんに睨まれているようで、とてもお散歩を楽しむ気分じゃなかったにゃ。とうとう動かない僕に苛ついたご主人は僕を抱き上げてお散歩は終了。僕にとっては得る物の何もない出来事だったにゃ。ねえ、ご主人。僕にはお散歩よりもお家の中の運動会があっていると思うよ。人には人の、猫には猫の向き不向きってあるんにゃよ、きっと。