にゃー!朔太郎にゃ。
にゃん!にゃー!僕、本物のネズミを初めて見たにゃ!と言っても残念にゃがら僕がハンティングした訳じゃあにゃいの。実は、三日ほど前からおうちの天井裏でごそごそ音がしていたんにゃ。去年、先輩猫のれおん君が、全部のねずを退治して、おうちにはねずはいないはずにゃったんにゃ。だから、以前付いたラットマークとやらを辿って進入してきたんじゃないか、とお母さんは言っていたにゃ。そんなことはどーでもいいんにゃ。天井裏の音を本能で気にしていた僕にゃ。それが、いきなり運動会になったと思ったら、おバカなネズだったみたいでもう半年以上も前に仕掛けて放っておいたネズミ取りシートに捕まっちゃったんにゃ。お父さんもお母さんもご主人も、そんな物の存在をすっかり忘れていたくらいにゃ。三時間ぐらいネズは逃れようとして暴れて、僕はその間、どうにかして天井まで上ろうと、あっちこっちの柱をよじ登ろうとして落っこちたり、箪笥を駆け上ったり、襖に爪を立てたりしていたにゃ。「やっぱりいくら小さくても猫は猫だね。」って
褒めて貰えたくらいに頑張っていたにゃ。でも僕には一人で天井裏に上がれるわけもにゃく、結局ネズはおうちに帰ってきたお父さんに拿捕されたのにゃ。その時にお父さんがネズを見せてくれたんにゃけど、それが、僕のおもちゃのねずなんかより五倍くらい大きいドブネズミで、僕はすんごく驚いたにゃ。お目めの瞳孔が開いて、しばらく戻らなかったくらいにゃ。でも僕はネズを睨みつけたまま、お父さんがゴミ袋に入れちゃうまで逃げたりしなかったにゃ。お父さんもこんなに大きいネズを捕まえたのは初めてにゃって。僕はご主人に「朔猫、ネズはいらないからね。」って言われたけど、心の中で誓ったんにゃ。れおん猫がしたように僕もいつかご主人にネズをプレゼントするんだ、って。にゃって話に聞く先輩猫はいまだにご主人の中にいて、僕がご主人を独り占めするのを邪魔している気がするのにゃ。どうしてにゃんだかわからにゃいけどさ。