霧の中 21〜29話




闇を縫って明かりに近づく。やはり密猟者だ。肩に猟銃をぶら下げて、カンテラの明かりで足下を照らしながら用心深く進んでいる。片方の男の手には獲物らしい物が既に抱えられている。

(ちぃっ!)

リチャードは再び舌打ちしていた。楽しみのためだけに他の命を奪うことは許し難い、と考えていた。しかもその行為は、自らの私有地内で行われたのだ。

沸き上がってくる怒りに、リチャードは拳を握りしめた。この上好き勝手をさせておく理由はない。相手は密猟者だ。多少脅かせば退散するであろう。ある意味、単なる密猟者で良かった。

さて、どうしてくれようか。リチャードは親指の爪を噛んだ。

懐の銃で相手の猟銃に正面から対峙しても勝ち目はない。まあ、私有地で密猟しているという弱みを持っている故、相手も敢えて無謀な真似はしまいが、ただ追い払うだけではリチャードの気が済まない。増してや懲らしめることにもならない。

しかし、その命を取ろうとは考えていない。そこまでしては密猟者と同じレベルまで自らを貶めてしまう。

さりとて今、自分が身につけている武器は、懐の拳銃のみだ。リチャードは歯噛みした。

 

霧が流れていく。風が出てきたようだ。

ちゃぷん。

突然静かな水面に水音が響いた。

密猟者達がはっと振り向いて反射的に銃を構える。しかし次の瞬間、凍り付いたようにその動きを止めた。不審に思ったリチャードはその原因を見いだすべく、彼らの見ている方角に視線を向けた。そして、見た。

彼らから十メートルほど離れた水面の上、僅か数センチのところに白い影が浮いている。それは、確かに人型をしており、ふわりふわりと霧に漂いながら彼らの方に近づいてゆくのだ。

「ひいっ!」

片方の密猟者の口から小さな悲鳴が上がった。


白い影はゆらゆらと彼らの方に動いていく。

「ゆ、幽霊…。」

怯えきった声が男達の唇から漏れた。水面の数センチ上を重力に縛られずに動いていく様は、地上の生きとし生ける物の動きとは到底考えられない。それは、たちまちのうちに密猟者達のすぐ側まで近づき、やがて彼らの行く手に立ちはだかった。

「ひっ…。」

一人の口から微かな悲鳴が漏れる。彼らの動きは凍り付いてしまっている。

しかし、リチャードはその様子から目を離さずに、自らの行動を開始していた。姿を隠し、足音を忍ばせたまま、彼らの方へと移動する。白い影がはっきりと見られる位置まで。

ぼんやりと、輪郭のぼやけたその姿は、リチャードにイヤなプレッシャーを与えている。リチャードは、その原因を突き止めねば、と瞬間的に考えていた。

(まさか…。)

不思議なことに先程覚えた限りない絶望感が、ほんのりとした希望へと変化し始めている。だがそれは、考えるだに恐ろしい希望であった。それが現実であった時、より深い絶望へと突き落とされる事を、陰にはらんでいる希望であった。

ゆらり。

その白い影は、どうしても人型をしているように見える。そして、密猟者達の鼻先まで近づいた時、それはゆっくりと両手をあげて凍り付いた彼らのひきつった頬に触れた。

「…!」

彼らの目は恐怖のあまり信じられないほどに見開かれ、彼らの口からは言葉にならない悲鳴が溢れた。それは多分、彼らがかつて経験したどの恐怖をも凌駕していた。そしてその恐怖の源は彼らに向かってゆっくりと微笑んだ。


ちゃぷん。

水面が微かに波立つ。霧が流れていく。

リチャードの額には冷たい汗が流れていた。今、目にしたそれは、死の天使の微笑みだった。

その無造作に伸ばされた指先には、危害を加える事のできる何物も備わっているようには見えなかった。しかし、その青白い指先が触れた瞬間、彼ら密猟者達は雷に打たれたかのようにびくりと体を震わせ、次の瞬間、どうと地面に崩落れた。

リチャードはごくりと唾を飲み込んだ。密猟者達が既に息絶えていることは誰の目から見ても明らかだった。横たわったその頭は、あらぬ方向にねじ曲げられ、見開かれた虚ろな目は宙を睨んでいる。

しかしリチャードが我が目を疑うかのように凝視しているのは、無惨な彼らの亡骸ではなかった。彼が見つめていたのは死の大天使の顔。密猟者達の死体を限りなく冷たい視線で見下ろしている顔。

「…サイラス…?」

そう、その顔はリチャードが日々鏡の中に見る顔。そして、そこに鏡があるのでなければ、可能性としてあり得るのは、リチャードの遺伝子をそっくり写した存在。

無意識にリチャードは彼らの方へと進んでいた。ふらふらと、信じ難い現実へと歩み寄っていった。

残り数メートルまで近づいた時、死の大天使はやっとリチャードの存在に気づいた。そして何の感情も持たぬ目を彼に向けた。その視線のあまりの無機質さにリチャードは衝撃を受けた。

「…サイラス…?」

その瞳は、リチャードに向けられているように思えた。だが、リチャードを見てはいなかった。

「サイラス?」

リチャードの頭は高速回転し始めた。

(何が起きた?何が進行している?考えろ。)

リチャードは奥歯を噛みしめた。現実が濁流のようにリチャードを飲み込む。しかし、彼にはパニックに陥っている猶予も余裕もありはしなかった。


衝撃は甚大であった。その衝撃に身を委ねられたら、まだ楽だったかも知れない。しかしリチャードはそれが出来るほど平凡な知能をしていなかった。彼は生まれついての科学者でもあった。

全てを分析し、科学に基ずいて考えを構築する。事実をねじ曲げることは決して出来ない。増してや今現在自分が自分の目で見ている光景を否定するなど出来よう筈はなかった。

そして、彼は一つの結論に達した。

(こいつらか…。)

足下に転がる死体にちらり、と視線をやる。

(母さんが言っていた。不完全な状態での他者との接触は場合によっては致命的なものとなる…。こいつらが…、サイラスを…。)

悔しさのあまり顔が歪む。自らの迂闊さに冷や汗が出る。

(僕が出かけたりしなければ…。)

「…サイラス…。」

ともかく、今はもっとデータが必要だ。リチャードは傍らに佇む白い影に、囁くように呼びかけた。それは、もはや彼の知っている「サイラス」ではない可能性の方が高かった。

しかし彼の呼びかけに白い影はゆらりと揺れたように思われた。それに勇気づけられてリチャードは再び呼びかけた。もしかしたら彼の魂にその声が届くかも知れない。そうすれば事態は改善に向かうかも知れない。

「サイラス。」

ぴくり、と白い影は揺らいだ。そして、焦点の定まっていなかった瞳がリチャードに向けられる

「サイラス。」

リチャードは声に力を込めた。全ての思いをそこに乗せる。

「サイラス。」

何度目かの呼びかけに、色素の薄いことを示している、そしてそれ故不完全さを露呈している真っ赤な瞳がリチャードの姿をとらえたようだった。

「…リチャード…?」

微かにその唇が動いて声を紡いだ。ひょっとしたら初めて発した声かも知れないそれは、冷たい木枯らしを思わせた。

しかしそれはリチャードにとってすがりつく希望となった。

「…リチャード…。」

やはりそれは「サイラス」だった。希望と絶望の相混じった思いでリチャードはその姿を見つめていた。触れれば溶けて無くなりそうで、敢えて手を触れなかったが、本当は抱きしめたかった。万感の思いを込めて。そうすれば全て、彼に伝わるような気がした。リチャードの希望も絶望も落胆も喜びも。

「…僕が判るんだね?サイラス。」

ゆっくりとはっきりとした口調でリチャードは呼びかけた。サイラスの瞳がそれに応えるように瞬く。

「じゃあ、君がしたことが判っている?」

リチャードは足下に転がる死体を目で示した。

サイラスの赤い瞳が見開かれる。その瞳が捉えた光景は彼にとってなにを意味しているのだろう。リチャードは一瞬危ぶんだ。


「これは…、人間…?」

しかし、サイラスの答えは至極真っ当なものだった。それは、彼が見たリチャード以外の初めての人間だったであろう。リチャードはまた唇を噛んだ。

こんな状況は誰も望んでなどいなかった。もう少し時間がずれていたら、彼がこんな不完全な状態ではなく完全体になってからであれば、何も問題はなかったのだ。彼らがどのような悪意に満たされていようが、残虐性を宿していようが、全ては問題外だったのだ。

それが今だったこと。それが彼らの、そしてリチャードとサイラスの不運と言えた。

「…何…?これ…?」

サイラスには自分がしたことの記憶がないらしい。初めて見る人間が、無惨な姿で転がっていることに理解がついて行っていない。

リチャードはそれを見て取ると小さく溜息を付いて首を振った。これはサイラスのせいではない。これは自業自得と言うものだ。彼らの残虐性が、サイラスという鏡に映され、自らに跳ね返ったのだから。それでも彼らは死んでしまった。この真実をサイラスにどう伝えたものだろう。

リチャードにとっては彼らの死よりもサイラスの受けるであろうショックの方が気がかりであった。この状況を説明出来るのは自分だけであった。リチャードはそのことを呪った。

「…サイラス…。」

リチャードはそっと声をかけた。まず、彼がリチャードを認識できているものかを知らねばならなかった。それによって彼への対応が変わってくる。

反応は、リチャードの期待に十分に応えるものであった。

サイラスはすぐにリチャードを振り仰いだ。

「…リチャード…?」

その瞳はしっかりとリチャードの姿を捉えていた。


リチャードは少し安心した。今のサイラスは彼の良く知っているサイラスに思えた。

「サイラス。」

それが嬉しくてその手に触れようとしてリチャードは、彼がまだ不完全であることに改めて気づいた。そして、もしそのまま触れていたら、彼は今の人型を保てていただろうか、という疑問にも気付いて、慌ててその手を引っ込めた。

「サイラス。」

リチャードは再び呼びかけた。

「僕が誰だかわかる…ね?」

彼はゆっくりと肯いた。

「リチャード…。」

それからすがりつくような視線をリチャードに向けた。

「…ねえ、これは何?…何が起きているの…?」

サイラスの疑問はもっともだったが、リチャードはそれに答えることを躊躇した。沈黙は重たく二人を押し包んだ。

 

途端、一発の銃声が闇を引き裂いた。銃弾はリチャードの頬を掠めてサイラスの腕に命中した。ぐらり、とサイラスの全体像が揺れた。まるでそれはサイラスという水面に石を投げ込んだかに見えた。

「サイラス!」

リチャードはサイラスを支えようと手を出しかけて、また慌てて引っ込めた。このまま触れればサイラスを壊しかねない。そして、代わりに銃声の元を探した。

探すまでもなくすぐに、一人の男が紙のような顔色で震えながら立っているのが目に入った。その手には猟銃が握られており、肩には獲物の鳥が数羽、ぶら下がっていた。

(密猟者の仲間か。)

瞬時にリチャードは判断した。

「…化け物!」

途端、男の震える唇がその言葉を絞り出した。瞬間、リチャードはその言葉に動揺した自分を発見した。客観的に見ればサイラスは異形で異質な、化け物としか言えないものであった。そのことを改めて認識した。それは、ある種の恐怖でもあった。

背筋を走る戦慄におののきながらもリチャードは、咄嗟にその男を取り押さえようとした。だが、遅かった。

リチャードの頬をさっきと逆の方角に衝撃波が掠めていった。

「あ!」

次の瞬間、密猟者はその場に崩おれた。リチャードは彼の元に駆け寄った。だが、予想に反して彼は生きていた。気を失っている。リチャードは取り敢えずほっと安堵の吐息を付いた。もうこれ以上、サイラスに殺人を犯させたくはなかった。

その時、苦悶の呻きが背後から聞こえてきた。サイラスだ。続けて悲鳴が。

「うわあ!助けて!リチャード!」

リチャードは混乱した。

「助けて!頭の中に入り込んでくる!これは何?!」

サイラスもパニックを起こしているらしかった。

「殺してやる…。そう、殺してやるって言っている!」


それを聞いてリチャードは足元の男を見下ろした。たぶん彼の意識がサイラスに流れ込んでいるのだろう。するとぴくりと男は身動きし、かすかにうめき声を上げた。

「リチャード!頭の中に入り込んでくるこの声を止めて!」

サイラスは苦悶に満ちた表情で訴えかけてくる。リチャードは迷った。その躊躇が全てを決めた。

「イヤだ!僕が乗っ取られる!」

サイラスは一言そう叫ぶと、その場にしゃがみ込んだ。

「サイラス!」

リチャードはサイラスの元に駆け寄った。サイラスは荒い息を付いて必死に何かと戦っているかのようだった。頭を両手で抱える。その唇からは恐ろしい言葉が漏れ聞こえてくる。

「殺せ…。殺さなければ…、殺される…。」

リチャードはぎくりとした。

「化け物だろうと…鳥や獣と同じように…この銃で撃ってやる…。殺してやる…。」

サイラスは呟くように小さな声でそう続けた。リチャードはひたすら困惑した。

何も出来ずにいるうちに密猟者の男は、どうやらしっかりと意識を取り戻したらしい。起き上がりかけた姿勢のままこちらを睨みつけているのが目に入った。

(ヤツの意識にシンクロしている!)

リチャードは瞬時に理解した。見ると二人は同じ動きを始めている。サイラスの方は無意識なのだろうが、よろよろと立ち上がり、銃を構えようとしているかに見える。鏡に映したように同じ動きだった。ただ、サイラスの手に銃はない。

(このままでは…!)

パーン。引き金を引いたのはリチャードだった。全てはサイラスを守るために。

サイラスが密猟者とシンクロしているのは確かだった。それはサイラスを心身共に傷つける。そんなことは許さない。

狙いは違わず密猟者の胸を貫き、彼は血を吹いて倒れ込んだ。その姿を見てもリチャードの中には後悔の欠片もなかったことに、彼は自分でも驚いた。いや、サイラスのことしか頭になかった。

「サイラス!」

壊さないようにそっとサイラスの体に触れてみる。それはどこかゼリーに似た手触りがした。

サイラスは壊れはしなかったが無事でもなかった。銃で撃たれたところからは透明な液体が血液のように流れ出していた。そしてなによりその精神が異常だった。

「サイラス。」

リチャードの呼びかけに、脱力したように無反応だ。

リチャードはサイラスを担ぎ上げると地下室に戻ることにした。あそこでなければあらゆる意味で処置が出来ない。

霧が流れていく。全ての出来事を覆い隠すがごとく。霧が流れていく。


事は差し迫っていた。今のサイラスの状態を正確に把握することは、さすがのリチャードにも無理だった。だから文字通り腫れ物を触るかのごとくそっと、そしと出来得る限り速やかにサイラスを運んでいった。

地下室のカプセルに彼を収納すると、リチャードは大車輪の勢いでその頭脳と体を動かした。

何故か電力の落ちてしまっていた器機を修理し、カプセルを稼働させた。カプセルさえ生き返ればサイラスを救うことが出来る。本能的に持つ確信に揺らぎはなかった。

やがて小さく唸りを上げてカプセルが動き始めた時、リチャードは心の底から安堵の溜め息を吐いた。

カプセルの上蓋から覗いて見る限りでは、サイラスの体に変化は見られない。ただ心掛かりなのは密猟者に撃たれた銃弾だけだ。だが、それも杞憂だったらしい。その銃弾は、内圧に押し出されるかのようにじりじりと表面に浮かび上がってきているように見える。そしてやがてころりと転がり落ちた。

この方法がベストだと感じていた通りの経過に、リチャードは愁眉を開いた。取り敢えずこれでサイラスが失われることはなかろう。だが、油断はすまい。改めて心を決める。全てはサイラスが完全体になるまでの辛抱だ。リチャードはまたカプセルを制御する機器に立ち向かった。

 

そうしてリチャードがサイラスの体の保持にやっきになっている間に、外界ではゆっくりと事態が動いていた。朝になっても戻らぬ漁師達の仲間と思われる連中が、また私有地の中に紛れ込もうとしていた。それは、不安定なサイラスにとって致命的なこととなった。


サイラスの様態の他、今のリチャードの頭の中には何ものも入り込む余地はなかった。カプセルに収まったサイラスは、全てが順調にいくのではないか、と錯覚させる安定さを保っていた。カプセルに接続している機器とにらめっこしながら、しかしリチャードは考えておくべきであった。だが、所詮、天才的であったとしても彼はまだ少年であった。目の前のこと以外が見えなくなっていたとしても仕方のないことであったかもしれない。

霧が深い。

夜が明けてもなお朝日を遮って流れていく。

「…リチャード…。」

疲れのため、ついうとうとしていたリチャードはカプセルからの機械音の呼びかけに弾かれたかのように反応した。

「サイラス!気がついたのか?!」

慌ててカプセルに駆け寄る。そして覗き込んだ。まだ蓋を開け放つには早すぎる。しかし、半透明の蓋を通してでは中の様子は掴みにくい。だからカプセルの蓋に必死にしがみつくようにした。

「リチャード…。」

暗く重たい声だ。機械音でもその感情は十分伝わってくる。そのように調節され、またサイラスは感情をその機能に乗せることにたけていた。その声が訴えていた。不安と悲しみを。

「サイラス、大丈夫だよ。」

リチャードは優しく語りかけた。

「もう大丈夫。僕がついているからね。」

果たして視力があるのかどうか定かですらなかったが、サイラスを安心させるが為だけに、リチャードはカプセルの蓋に寄り添った。と同時にリチャードは自分も安心したかったのだ。そこにサイラスがいる、存在している、という現実に浸りきっていたかった。

だが、そんなささやかな望みもサイラス自身が打ち破った。

「…殺せ…。」

ぽつりとサイラスは呟くように言った。何の感情もこもらない声だった。

「!」

びくり、と反応したのはリチャードの方だった。

「殺せ…。獲物の死を楽しめ…。」

サイラスは呟き続ける。

「獲物が呻く…。のたうつ…。その最期の一瞬を楽しめ…。」

リチャードの背中を冷たい旋律が貫いた。

「サイラス!」

悲鳴に似た叫びがリチャード喉から溢れた。

「サイラス!しっかりして!」

虚ろに呟くサイラスに訴えかける。と同時にリチャードの頭脳は恐ろしい速度で事態の分析をしていた。

「共鳴しているのか…?」

その言葉の内容から推察されたのはその結論だけだった。サイラスの意識は密猟者達のそれとシンクロしているとしか考えられなかった。

「これか。」

リチャードは拳を握りしめた。この状態こそが彼の両親の恐れていた事態そのものであった。こうして悪意に晒され、まみれ、埋没して、自我を失ってしまえば、それではもうサイラスはサイラスとはいえない存在となる。果ては人類を抹殺しかねない実力を兼ね備えたモンスターが出来上がる。リチャードは震えた。